ワインって、みんなで飲んでもけっこう残ってしまうことがありますよね。
残ったワインをどうするか、意外と迷ってしまうところ。
とりあえず栓をし直して冷蔵しても、何か飲むのは気がひける感じがして料理に使ったり、結局そのまま捨ててしまったり、、、している方も多いのでは?
「ワインは開けたらその日に飲みきらなきゃ」 とか、「開けてからも2,3日はおいしく飲めるよ」 とか、いろんな『説』を耳にしますが、それはきっと、『ワインは酸化によって変化しやすいよ』という知識をもとに、言われているのでしょう。
でも、それって本当? 実際のところ味わいはどう変わっていくの??
あれこれ考えても想像の域を出ないので、、、とりあえずやってみよう!
ということで、栓を抜いてからの【味わいの経時変化】と【保管方法の違いの変化】を今回まず『赤ワイン』で実験してみることにしました! 結果はいかに!?
▼ さっそくやってみた!!
ワインは次の2種類でそれぞれ試してみました。
●カジュアルな軽めの輸入ワイン:
カルロ ロッシ カリフォルニア レッド
●力強い味わいの輸入ワイン:
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
【実験1 ワインの経時変化】
検証方法は、4人のメンバーで「開けた当日、翌日、3日後、1週間後、2週間後」に試飲して、味わいの要素を最高5点で数値化、時間変化を追っていきました。なお毎日少量ずつ飲むシチュエーションを想定して、試飲した各日に100mlずつ減らしていきました。また、スクリューキャップのものはキャップを閉め直して、コルクの栓のものはコルクを差し直して、冷蔵庫で保管しました。
さてさて、2週間後なんて飲めるような味わいなのか??
【実験2 ワインの保管方法の違い】
残ったワイン、中には常温で保管している人もいるのでは?そこで、常温で保管した場合と冷蔵庫で保管した場合についても比較実験を行いました。なお、試飲のタイミングや減らしていく量などの条件は実験1と同様です。実験は7月中旬~下旬にかけて行ったので、気温が30度超えの日も、、結果やいかに!!
『冷蔵庫に保管』 冷蔵庫に入れて保管しました。
『常温で保管』 冷蔵庫に入れずに常温で保管してみました。
▼ ざっくりと結果まとめ!!
【実験1 ワインの経時変化】
今回も実験をやってみると、ワインの味わいの変化をかなり感じることができました。
そしてなんと!!
開けてから数日経った方がおいしく感じるものもありました! 驚きです…。
細かい話は後にして、結論は、
★★ その日のうちに飲みきる必要なし! ★★
★★ カジュアルなワインは3日、力強いワインは1週間はおいしく飲める! ★★
ということに!
どちらのワインも、翌日まではほとんど変化を感じませんでした。3日後~1週間後にかけて、酸味や渋味がまろやかになって、これまで感じなかった香りも現れ始めました。1週間後には、カジュアルなワインは果実味を中心に弱くなってしまいましたが、力強いワインは果実味がより強く、全体のバランスがグッとよくなって、開けた当日よりおいしく感じました!
2週間後には、どちらのワインも果実味や香りの要素が弱くなってしまって、少し単調な味わいに感じるように。ただ、酸化して悪くなってしまったような印象はほとんど感じませんでした。「捨てるにはもったいない。まだぜんぜん飲める!」というのがメンバーの結論です!
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【実験1 ワインの経時変化】~カジュアルな赤ワイン~
★開けて、3日くらいはおいしい★
開けた当日よりも翌日~3日後の方が、香りの複雑さが増して、酸味や渋味も穏やかになって、バランスよく感じました。
1週間経つとさすがに各要素が弱くなってしまったのがわかるレベルに。さらに2週間後にはかなり単調な味わいに。
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【実験1 ワインの経時変化】~力強い赤ワイン~
★開けて、1週間後でもおいしい★
なんと、1週間後までは少しずつ果実味や香りの複雑さが増して、おいしくなっていきました!その後2週間後にもなると、香りや果実味がちょっと弱く。ただ、熟成感が現れ始めたり、渋味・酸味がさらにまろやかに感じたりして、落ち着いた味わいが楽しめました。
【実験2 ワインの保管方法の違い】
★★ 常温保管でも、1週間までは冷蔵保管と変わらない結果に!★★
実験中、30度を超える暑い日が続いたので、常温保管ではすぐに味わいが落ちるかと思いきや、1週間後までは冷蔵保管とほとんど変わらない結果に。さらに、力強い赤ワインでは、常温保管の方がおいしく感じるタイミングもありました。これは驚きの結果でした。。
2週間後には、常温保管は痛んだ印象が出てきてしまい、どちらのワインもおいしく飲めなくなっていました。
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【実験2 ワインの保管方法の違い】~カジュアルなワイン~
★常温でも冷蔵でも1週間後までは大きな違いは見られず!★
とても意外な結果ですが、1週間後までは保管の仕方による違いはほとんど見られませんでした!2週間後はさすがに違いが出てきて、冷蔵はまだまだ飲める印象だったのですが、常温は少し痛んだ印象で飲みたくないと感じてしまいました。。
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【実験2 ワインの保管方法の違い】~力強いワイン~
★常温保管で1週間経ったものが一番おいしい!★
1週間後では冷蔵保管より常温保管のほうが、豊かな果実味が感じられて、その中身もより多くの要素を感じることができました。
2週間後は逆転。冷蔵保管がまだまだおいしく飲めるのに対して、常温保管のものは痛んでしまった印象を感じてしまいました。
味わいの変化の仕方など、詳しくは「検証結果をくわしく!」で。
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
【実験1 ワインの経時変化】~カジュアルな赤ワイン~
カルロ ロッシ カリフォルニア レッド
【ワインの特長】 ?ブランドサイトはこちら
ブラックチェリーのような黒い果実やスパイスの香りが特徴のワインです。豊かな果実味で酸味・渋味がまろやか、口当たりはやさしい味わいです。持っている要素が多くなく軽めのワインなので、開けてからの変化が大きそうです。
【検証結果】
どの要素も翌日~3日後ではほとんど変化がなく、香りの複雑さは増す結果に!華やかになった印象でした。その日のうちに飲みきる必要はなさそうです!
その後は果実味を中心にどの要素も減っていく傾向で、3日くらいまでに飲みきった方がよいかも。
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『翌日』
★開けたてとほとんど変わらず。いろんな香りが出てきて華やかに!★
当日はブルーベリーのような黒い果実の印象が強かったけれど、1日経ってクランベリーのような赤い果実の印象も現れてきました。もともとあったスパイスの香りも強くなってきた感じ。
酸味や渋味は少しまろやかになって飲みやすくなった印象。
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『3日後』
★引き続きほとんど変わらず★
見た目に少しだけ色が淡くなった印象。果実味がやや弱くなった感じはあるけれど、変わらずおいしく飲める。
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『1週間後』
味わいが変化したのがはっきりわかるレベルに。
香りや果実味が弱くなって、これまでより単調に感じるように。ただ、渋味や酸味がよりまろやかに感じて、バランスも悪くない。ワインのアルコール感や渋味、酸味が苦手な方は飲みやすく感じるかも。
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『2週間後』
見た目にもけっこう変化、楽しめるレベルではないかも。
色がオレンジがかってきて、見た目でも変化がわかるレベルに。果実味と香りの要素がガクンと弱くなった感じ。酸化して痛んでしまったようなネガティブな香りはないので、飲めるには飲めるけれど、かなり単調な味わいに。
【実験1 ワインの経時変化】~力強い赤ワイン~
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
【ワインの特長】 ?ブランドサイトはこちら
濃密で熟したカシスなどの果実を思わせる香りが特徴のワインです。南国の太陽を浴びた豊かな果実味と、骨太のタンニンの力強い味わいです。色々な要素が強いので、若いワインでは開けてからもしばらくはおいしく飲めそうです。
【検証結果】
正直、開けて3日後まではほとんど変化がなくて、むしろ1週間くらい日をおいた方が楽しめる結果に。当日より豊かな果実味や香りの複雑さを感じられました!2週間後では全体的に弱くなってしまうけれど、これまで感じられなかった要素も現れ始めました。
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『翌日』
★開けたてとほとんど変わらず。ぜんぜんおいしく飲める★
黒や赤い果実が少しだけ強く感じられるように
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『3日後』
★これまたほとんど変わらず。ぜんぜんおいしく飲める★
スパイスのニュアンスが少しだけ強く感じられるように
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『1週間後』
★★当日よりおいしい!果実味や香りの複雑さがより豊かに!★★
スミレの花やカシスのような香り、スパイスのような香りが強く現れはじめた。これまで少し強く感じた渋味や酸味がまろやかになって、果実味はより華やかに!全体のバランスがかなり良くなって飲みやすくなった感じも。
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『2週間後』
全体的に少しスケールダウン。落ち着いた味わいに。
果実味や香りの要素が落ちてきたけれど、新たにカシスリキュールのような香りや、シェリー酒のような熟成したニュアンスが現れてきた。渋味や酸味の感じ方はまろやかで、ちょっと落ち着いた印象に。これまでの華やかさはないけれど、これはこれで楽しめる。
【実験2 ワインの保管方法の違い】
~カジュアルな赤ワイン~
カルロ ロッシ カリフォルニア レッド
【実験前の予想】
軽めの赤ワインで持っている要素も多くないので、保管状態による影響も大きそう。常温保管ではすぐに痛んでしまうんじゃないか。。
【検証結果】
なんと、1週間後までは保管方法の違いはほとんど見られず!2週間後はさすがに違いが出てきました。冷蔵保管はまだフレッシュな果実味やいろんな香りの要素が感じられるのに対して、常温は痛んだ果実の印象で、香りもかなり単調に。
【実験2 ワインの保管方法の違い】~力強い赤ワイン~
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
【実験前の予想】
力強い赤ワインなので、保管の仕方による影響は少なそうだけれど、さすがに真夏に常温だとすぐに痛んでしまいそう。。
【検証結果】
なんと!このワインは常温保管の1週間後が一番おいしく感じました!
開けたてよりも、冷蔵保管したものよりも、果実味を豊かに感じられて、その中身もより多くの要素を感じることができました!ある程度の時間、高い温度で空気に触れさせることで、ワインのポテンシャルがより引き出されるということもあるのかもしれません。
このまま2週間後も常温保管の健闘に少し期待していたのですが、これはさすがにだめでした。果実味も香りの要素もガクンと下がって、傷んだ果実のような不快な印象も。木樽からくる木の香りと渋味が残った感じでした。一方で、冷蔵保管はまだまだ楽しめました。
このワインは常温保管で良い結果が出るタイミングがありましたが、ワインによってはあっという間に味わいがガクンと落ちることもありそうです。。
編集後記(やってみてわかったこと!!)
【結局のところは??】
「開けてその日のうちに飲みきる必要なし!」
「カジュアルなワインは3日、力強いワインは1週間はおいしく飲める!」
実験前は、おいしく飲めるのは翌日くらいまでだろうと勝手に思っていたのですが、、意外や意外、特に力強いワインの力を低く見てしまっていたようです。。
むしろ一回開けて、ある程度空気と触れさせてあげた方が引き出される要素もありました。レストランではこれをするために『デキャンタ』という道具を使うのですが、家では何日かかけてゆっくり飲むことで、同じような効果が期待できる結果になりました。グラスを回しながら飲むことでも期待できそうです!ちまたで「ワインがひらいてきた」とか耳にすることもありますが、こういったことを言っているのかもしれないですね。
【味わいはどう変わっていくの?】
今回のワインでは各要素、次のような傾向がありました。揮発性の違いや酸化の仕方などが影響していそうです。
<果実味>基本的に減少傾向↓。ただ、力強いワインではちょっと違う傾向で、1週間くらいは減ってこない感じ。それどころか強くなったように感じることも。
<酸味>量はあまり変わらず→。性質が変わってまろやかに感じる傾向。
<渋味>量はあまり変わらず→。性質が変わってまろやかに感じる傾向。
<香りの強さ>基本的に減少傾向↓。
<香りの複雑さ>翌日~1週間の間で増加傾向↑、その後減少傾向↓。
【開けて数日経った方がおいしいの??】
今回実験したワインでは、軽めのワインは開けて翌日が、力強いワインは開けて1週間後が、おいしいという結論になりました。どちらのワインも、渋味や酸味がまろやかになってバランスよく感じられるようになったし、開けた当日には感じれない香りの複雑さが現れてくることを実感しました。
とはいえ、好みの味わいは人それぞれ、ワインによっても変化の仕方はさまざまになりそうなので、みなさんも一度、1週間くらいかけてゆっくりワインを味わってみては!?いつも飲んでいるお気に入りのワインがより一層楽しめるかもしれません!
【保管の違いは?常温でもいいの??】
今回は実験のために常温保管でも試しましたが、一度開けたら原則冷蔵保管するのがいいと思います。
また、実験とは別に、開けた当日2,3杯飲んだきり冷蔵庫に入れっぱなしにしたものも、2週間後に試飲してみました。実はこれがかなり優秀で、開けたてとほとんど変わらない結果に。
これは冷蔵庫から出し入れする頻度が少くて温度変化が少なかったことや、ワインを開けたり注いだりする回数が少なくて空気との接触が少なかったことが要因に考えられそうです。保管温度も大事ですが、こういった要素にも気をつけることで、よりワインを長く楽しむことができそうです。
【2週間以降は??】
実は4週間後も試してみましたが、常温保管はまず×。リキュールやマディラ酒のような、違う種類のお酒のような印象に。冷蔵保管でも、どの要素もかなり薄くなってしまっている感じでした。
【この次。】
今回赤ワインで試してみましたが、次は白ワインで試してみます。
色はもちろん、味わいの要素や強さも違うので気になるところですね!お楽しみに!!