- 実験編「赤ワイン」
グラスの形でワインの味わいは変わる?
~赤ワイン編~
2015年06月
「グラスの形が変われば、ワインの味わいが変わる。」
常識のようにそう言われています。でも、それって本当?
もし変わるとしたら、実際にどう変わるの??
今回の実験では、4種類のグラスで比較してみます。
その結果はいかに?
- 目次
▼ さっそくやってみた!!
まずグラス。今回はこの4つの形で違いがあるか、実験します!
1.ビール用タンブラー
2.小さめのワイングラス
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
ワインは3種類でそれぞれ比べてみます。「スーパーでワンコインくらいのカジュアルな国産ワイン」、「華やかな香りが特長の軽めの輸入ワイン」、「力強い味わいの輸入ワイン」でそれぞれ実験!!
グラスには同量(100ml)を注ぎ、社内メンバー4名で実際に試してみました。
味わいは「果実味、酸味、渋味、香りの強さ、香りの複雑さ」の5つの要素を点数化。
最大5点で数値化して比較していきます!
▼ ざっくりと結果まとめ!!
同じワインでも、4つのグラスで感じる味わいは大きく異なりました!
グラスというのはワインの味わいを引き出すものですが、
グラスの種類によってはワイン本来のバランスを崩してしまうものも・・・。
今回の実験で、赤ワインを味わうときに最もオールマイティーなグラスは、
★ 3番:大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
が良さそう!! という結果になりました。
また、欲を言えば、このボルドータイプのグラスでも、少し小さいサイズが良さそうです。
でも、考えてみるとこれって一般的な赤ワイン用のグラス。
グラスって、やっぱり良く出来ているものですね。
そして、4番のブルゴーニュタイプのグラスは意外な結果に・・・
詳細は下の「検証結果をくわしく」をクリック!!
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
-
1.ビール用タンブラー
果実味や渋みといった赤ワインの味わいを、ストレートにドンと感じさせるグラス。
ただ、複雑な味わいは引き出せず、ワインの良さが分からないので×。 -
2.小さめのワイングラス
味わいを拡大も縮小もせずに、そのまま感じさせるグラス。
カジュアルに赤ワインを楽しむには良さそう。 -
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
どの赤ワインを試しても、滑らかで上品な味わいが感じられました!!
★★ 赤ワインならこのグラスがオススメ!! ★★ -
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
良くも悪くもワインのさまざまな味わいを拡大させてくれるグラス。
いざ飲んでみると、不思議とアンバランスに感じてしまいました。
ぴったりとマッチする赤ワインは、意外に少ないかも…
【ワイン1】酸化防止剤無添加のおいしいワイン 赤
【このワインの特長】 ?ブランドサイトはこちら
ぶどう由来の素直な果実味が感じられるワインです。酸味・渋味はとてもまろやかで、少し甘さのある柔らかで軽やかなな味わいです。デイリーに楽しみたいので、何かの味が突出する事のないグラスが美味しく感じられると思います。
【検証結果】
グラフを見ると、ブルゴーニュタイプが優れているように見えますが、それぞれの要素は強く感じるものの、全体の味わいとしてはバラバラに感じます。グラフの円は大きくなりますが、実際に飲んだ印象ではそれほど美味しいと感じるわけではないのが、面白いところです。渋味の部分がほぼ共通の数値となりましたが、これはワイン自体にほぼ渋味のない軽い赤だからです。あまり強いワインではないので、大きなグラスだと香りが鼻まで届いてこない感じでした。グラス1が生きるとすればこのタイプのワイン。あまり色々考えずにシンプルに楽しむなら悪くない組み合わせかもしれません。
-
1.ビール用タンブラー
要素はシンプルだが、味自体は意外にしっかりと強い。 -
2.小さめのワイングラス
果実はより甘く、まろやかな味わい。少し最後に苦味が出る。 -
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
軽やかな味わいで上品な果実味が印象的。酸が後からゆっくり出てくる。 -
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
滑らかな果実味と印象的な引き締まった酸味。中盤から急に味わいが消えてしまう。
【ワイン2】ジョルジュ デュブッフ ボジョレー 2013
【このワインの特長】 ?ブランドサイトはこちら
イチゴなどの赤い果実を思わせる華やかな香りが特徴のワインです。渋味は比較的穏やかで、イキイキとした酸味とフレッシュな果実を楽しむ軽やかなタイプです。軽やかな果実味が命なので、そこが魅力的に感じられるグラスが美味しく感じられると思います。
【検証結果】
グラス1だけ全く異質な味わいとなり、残り3つのグラスの味わいの構造はほぼ同じで、グラスが大きくなればなるほど各要素が強く感じられるという図式になりました。グラス3とグラス4は味わいを数値化した結果はほぼ同じ形のグラフになっているのですが、実際の味わいの印象は結構違っていて、グラス3のグラスは各要素がまろやかにまとまっている感じなのが、グラス4だと各要素がバラバラという感じで面白いなと思いました。
-
1.ビール用タンブラー
渋味が突出。黒い果実味を感じる一つだけ異質な味わいの構造。 -
2.小さめのワイングラス
フレッシュな赤い果実味。「ああボジョレーだなあ」という安心感のある味わい。 -
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
まろやかでまとまった味わい。きちんとした酸と果実に上品さも。 -
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
酸とアルコール感が目立つ、凸凹した味わい。酸っぱくて、バランスが崩れる。
【ワイン3】ロス ヴァスコス グランド レセルブ 2013
【このワインの特長】 ?ブランドサイトはこちら
濃密で熟したカシスなどの果実を思わせる香りが特徴のワインです。南国の太陽を浴びた豊かな果実味と、骨太のタンニンの力強い味わいです。色々な要素が強く、特にタンニンがしっかりしているので、要素をきちんと引き出してくれて、タンニンがまろやかに感じられるグラスが理想です。
【検証結果】
ワインの味わいがキッパリとした性格なので、どのグラスでもそれなりに味わいは強く出てきました。しかしグラス1だとワインの味にまだポテンシャルがありそうなのにそれが出てこないもどかしさのようなものを感じましたし、グラス2でもまだまだ香りの全てがつかみきれない印象でした。グラス3くらいの大きさではじめて複雑な香りを楽しめるという感じでした。やはり要素の多いワインにはそれなりの大きさのグラスが必要になりそうです。
-
1.ビール用タンブラー
果実のボリュームはあるが、不思議とピンボケみたいな焦点の合わない味。 -
2.小さめのワイングラス
それぞれの要素は小さいながら、きちんと各要素は確認できる。
バランスは崩れない。 -
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
ぶどう品種の特徴が良くわかる。
タンニンの感じ方が滑らかで心地よい。 -
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
香りのボリュームは見事。
果実は色っぽいが、タンニンがゴツくて不思議とアンバランス
編集後記(やってみてわかったこと!!)
同じワインでも4つのグラスで大きく味わいは異なりました。同じワインとは思えないものもありました。
今回思ったのは、「グラスは大きければいいというものではない」という事でした。大きなグラスは拡大鏡のようなもので、そのワインのいい所を大きく見せてくれるのですが、
そのワインの欠点と言える部分もまた大きく見せるのです。逆に小さなグラスは「欠点をあまり見せないけど、良いところも別に拡大してくれない。」という事になります。
今回の実験で、ワインに合わせた大きさのグラスを選ぶという事には確かに意味があるのだという事を実感しました。ただし、便利な道具を選べばあまり細かい事は考えなくてもよさそうです。
結論としては、最もオールマイティーなグラスは、形は3のボルドーグラスで、もう少しサイズの小さいものという事になりました。1種類で済ませるならこのタイプ。考えてみると、これって最も一般的なワイングラスの形。やっぱり良く出来てるものです。
-
1.ビール用タンブラー
タンブラーは良くも悪くもシンプル。
果実味や渋味といった要素をストレートにドンと出してくるので、シンプルなワインをデイリーに楽しむ場合には結構あり。ただし、複雑なワインの場合は良さがあまりわからないので×。 -
2.小さめのワイングラス
小型のワイングラスは色々な味わいを拡大も縮小もせずに、そのまま見せてくれる感じ。カジュアルに楽しむにはいい。 -
3.大きめの縦長ワイングラス(ボルドータイプ)
ボルドーグラスは味わいのバランスがいい。
どのワインを飲んでも滑らかで上品な味わいに感じられる。
ただし、サイズが大きいのでワインの味わいにボリュームがないと、少し物足りなく感じてしまう。 -
4.大きめのバルーン型ワイングラス(ブルゴーニュタイプ)
ブルゴーニュグラスは良くも悪くもワインの色々な要素を拡大して伝えるグラス。
それぞれの要素は強めに出てグラフで見ると円は大きいのだが、いざ飲んでみると不思議に何かの味わいが突出する感じでアンバランスに感じてしまう事が多い。
ピッタリくるワインは意外に少ない気がする。円が大きいから美味しいわけではなく、味わいはバランスだと実感。