ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
毎月1つのテーマに絞って連載していきます。

  • 実験編「白ワイン」

バックナンバーはこちら

グラスの形でワインの味わいは変わる?
~白ワイン編~

2015年07月

「グラスの形が変われば、ワインの味わいが変わる。」
常識のようにそう言われています。でも、それって本当?
もし変わるとしたら、実際にどのように変わるの??

前回は赤ワインを試してみました。今回は『白ワイン』で実験です!!

みなさんは『白ワイン』を飲む時、グラスにこだわりますか?
赤ワインでは“ほどほどの大きさ”の一般的なワイングラスが一番よかったけれど、白ワインでのベストマッチは?結果はいかに?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【ワイン1】酸化防止剤無添加のおいしいワイン 白
  4. 【ワイン2】ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
  5. 【ワイン3】ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

▼ さっそくやってみた!!

 

img_02_1.jpg img_02_2.jpg

 

まずはグラス、今回はこの4つの形でどのぐらい違いがあるか、やってみます!


1.ビール用タンブラー
2.小さめのワイングラス
3.口が小さめの縦長ワイングラス(ソーヴィニヨン・ブランタイプ)
4.口が大きめのバルーン型ワイングラス(モンラッシェタイプ)


グラス1、2はどこの家庭にもあるようなものを、グラス3、4はワインのタイプごとによりおいしく飲めるようにつくられたちょっといいものを想定しています。

 

そしてワインはこの3種類。「スーパーでワンコインくらいのカジュアルな国産ワイン」、「ハーブのような爽やかな香りで、すっきりした味わいの輸入ワイン」、「マンゴーなど南国系果実のような香りで、コクのある飲み口のリッチな輸入ワイン」

 

グラスには同量(100ml)を注ぎ、4人のメンバーで実際に試してみました。
味わいは「果実味」「酸味」「甘味」「香りの強さ」「香りの複雑さ」の5つの要素を最大5点で数値化してくらべていきます。

 

img_02_3.jpg img_02_4.jpg

 

▼ ざっくりと結果まとめ!!

今回も、同じワインでもグラスを変えると違う顔を見せてくれました!
(とはいえ、正直なところは、赤ワインのときより違いがわかりにくかった、、です)

 

白ワインも基本的には前回の赤ワインと同じで、グラスが大きければ大きいほどワインのいろんな要素を拡大してくれました。その上、赤ワインと大きいグラスの組み合わせで感じたようなバランスの崩れはあまり感じませんでした。

 

今回の実験で、白ワインを味わうときに最もオールマイティーなのは、
★★ グラス4:口が大きめのワイングラス(モンラッシェタイプ) ★★ 
が良さそう!! ということに。

 

どのグラスよりも華やかな香りをたくさん引き出してくれましたし、味わいもとてもバランスよくボリューム感たっぷりで、今回の条件では単純に「グラス大 ≒ おいしい」と感じました。

 

赤ワインとはちょっと違う傾向が見られたのは、つくり方の違いやワインが持っている
要素の種類が影響しているのかもしれません。この話はまた後ほど「検証結果をくわしく!」で。

 

  • 1.ビール用タンブラー
    やっぱりこれは、シンプルなワインをデイリーに楽しむ場合にだけ。
    甘味は感じられるけれど、それだけな感じ。酸味や果実味、香りの要素がぜんぜん感じられず、なぜか苦味を強く感じる。苦味が苦手な方は特に×
  • 2.小さめのワイングラス
    大人数でわいわい食事したり、あまりワインを意識せずに楽しむにはいいかも。
    香りは感じにくいけれど、酸味がしっかり感じられて他の味わいの要素もバランスよく感じられるので、料理をしっかり引き立ててくれそう。
  • 3.口が小さめの縦長ワイングラス(ソーヴィニヨン・ブランタイプ)
    とにかくバランス型。どの白ワインを飲んでも、キレの良い酸味で端正なワインに。
    ワインの特長もシンプルによく現してくれる。ただ、強い要素だけを切り取って現している感じで、多くの要素を持ったワインだと現しきれていない感じも。
  • 4.口が大きめのバルーン型ワイングラス(モンラッシェタイプ)
    ☆☆白ワインならこのグラスがオススメ!ワンランク上のワインに☆☆
    色々な要素をもれなく引き出して豪華にしてくれる感じ。前回赤ワインの大きめのグラスで気になったアンバランスさはなくて、終始バランスも良い感じでした。他のグラスでは感じられないミネラル感やコク、熟れた果実感も現れてとってもリッチな印象に!

 

ここで気になってくるのが、「もっと大きいグラスだとどうなるんだろう??」ということ。実験の後、本編とは別でためしに前回の赤ワインの実験で使った大きいグラスでも試飲してみると・・・、なるほどーと思わせられる結果が得られました!

 

そして、グラス以外にも検証したいアイデアがぞくぞくと。

 

詳細は下の「検証結果をくわしく!」をクリック!!

※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。

【ワイン1】酸化防止剤無添加のおいしいワイン 白

【このワインの特長】  ?ブランドサイトはこちら 

ぶどうの素直な果実味が感じられるワインです。酸味は穏やかで、少し甘さを感じる軽やかな味わいです。デイリーに気軽に楽しみたいので、何かの要素が突出しないグラスがマッチすると思います。 

 

【検証結果】
どのグラスもほとんど差がない結果に。
おそらく、このワイン自体がシンプルな味わいの軽めの白だからでしょう。持っている要素が少ないので大きめのグラスでも香りが鼻まで届いてこない感じです。グラス1で楽しめるとすればこのタイプ。お家で気軽にワインを楽しむなら悪くない組み合わせかもしれません。

 

  • 1.ビール用タンブラー
    香りは意外と一番いい☆
    ぶどう果実そのままのようなフレッシュな香り。味わいはシンプルで悪くないけれど、後味に少し苦みが。
  • 2.小さめのワイングラス
    香りがイマイチ。
    味わいは各要素しっかりと感じられる。ただ、香りは弱くて、しかも少し鮮度に欠けた印象、、あまりおいしそうに感じない。
  • 3.口が小さめの縦長ワイングラス(ソーヴィニヨン・ブランタイプ)
    バランス重視☆
    香りも味わいも各要素しっかり感じられる。よい要素だけに焦点を絞ってシンプルに現す感じ。
  • 4.口が大きめのバルーン型ワイングラス(モンラッシェタイプ)
    ワインを華やかに☆
    香りはみずみずしいぶどう果実を感じて、味わいは少しコクやボリューム感が加わった印象も。酸味だけ少し物足りない感じも。

【ワイン2】ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン

【このワインの特長】  ?ブランドサイトはこちら 

ソーヴィニヨン・ブランという品種の特長がよく現れたワインで、青草やハーブ、柑橘のような爽快な香りと、キレの良い酸味が特長です。個性的な特長を持つので、シンプルにその個性を楽しみたい場合と、個性はほどほどにバランスよく楽しみたい場合で、使うグラスも変わりそうです。

 

【検証結果】
小さいグラスと大きいグラスの違いがはっきりとわかる結果に。
小さいグラス1、2は香りや味わいの要素が弱く、全体的にぼんやりとした地味な印象。大きいグラス3、4はどちらも捨てがたくて、おいしく飲める。グラフの形はほぼ同じではあるけれど、香りや味わいの内容はけっこう違いました。グラス3は、このワインの特長に焦点を絞ってキレイに現している感じ。一方グラス4だと、すべての要素を拡大して表現、このグラスでしか感じられない要素も。
このワインでは、グラス3、4は楽しみ方しだいで好みが分かれるかも。

 

  • 1.ビール用タンブラー
    正直いいところが見つからない感じ。
    甘味は感じるものの、その他の味わいや香りが弱くて、鮮度がない感じ。苦味だけが残る。
  • 2.小さめのワイングラス
    香りは楽しめないけれど、味わいはそこそこ。
    甘味や酸味といった味わいはしっかり感じられる。香りは弱くて単調な印象。
  • 3.口が小さめの縦長ワイングラス(ソーヴィニヨン・ブランタイプ)
    ☆「これぞソーヴィニヨン・ブラン」と言わんばかり☆
    ぶどう品種の個性がよく感じられる。青草やハーブ、柑橘のような香りとシャープな酸味でかなり爽やかな印象。
  • 4.口が大きめのバルーン型ワイングラス(モンラッシェタイプ)
    ☆「これぞソーヴィニヨン・ブラン」と言わんばかり☆
    ぶどう品種の個性がよく感じられる。青草やハーブ、柑橘のような香りとシャープな酸味でかなり爽やかな印象。

【ワイン3】ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

【このワインの特長】  ?ブランドサイトはこちら 

洋ナシやマンゴーのような果実の香りや、ナッツのような香りも感じられる豊かな香りの白ワインです。また、爽やかな酸味と飲み口にコクを感じるリッチな味わいです。
色んな要素が強いワインなので、それぞれの要素をバランスを崩すことなく、しっかり引き出しきってくれるグラスがおいしく感じると思います。

 

【検証結果】
こちらも大きいグラスの実力がはっきりわかる結果に。
グラス1だと、どの要素も弱くてアンバランスに。グラス2は少しバランスがとれてくるが、まだどの要素も弱くて薄い。グラス3になってはじめて複雑な香りや、酸味・果実味を楽しめるようになって、グラス4ではさらに豊かな香りが現れて、味わいにもコクが増す。とても豪華な印象に。白ワインでもやっぱり、要素の多いワインにはそれなりの大きさのグラスがよさそうです。

 

  • 1.ビール用タンブラー
    これまた、いいところが見つからない。。
    甘味だけがストレートに感じられ、それ以外の要素は弱々しい。後に苦味だけが残る。
  • 2.小さめのワイングラス
    香りは楽しめないけれど、、味わいはいい感じ
    香りが弱い上にかなり単調、正直飲む前は低評価。ただ、味わいの要素のバランスはよく、酸味や果実味がしっかり感じられる。
  • 3.口が小さめの縦長ワイングラス(ソーヴィニヨン・ブランタイプ)
    ザ・バランス型
    味わいも香りもとてもバランスがよい。このワインの酸味はこのグラスが一番楽しめる。小さいグラスでは感じなかった洋ナシやナッツのようなリッチな香りも少し出てきた。
  • 4.口が大きめのバルーン型ワイングラス(モンラッシェタイプ)
    ☆ワインが華やかに変貌☆
    全要素が大きく表現されてまったく違う顔に!香りはマンゴーやトロピカルフルーツ、香ばしいナッツのようなリッチな印象。酸味が主張しすぎず穏やかに感じられて味わいのバランスがとてもよく、さらにアルコール感やコクといった要素も加わった感じです。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
今回も、同じワインでもグラスで大きく味わいが変わりました。
前回の赤ワインのときと同じで、白ワインでもグラスは拡大鏡のような役割を果たしてくれて、大きければ大きいほどいろんな要素を大きく見せてくれました。ただ、赤ワインで大きいグラスを使ったときに気になったアンバランスさが今回は見られず、単純に「グラス大≒おいしい」と感じました。

 

ということで、白ワインで最もオールマイティなグラスは、一番大きいグラスの
★★グラス4:モンラッシェタイプ★★
ということに。


【赤ワインとちょっと違う傾向だけれど??】
これは、一般的に赤ワインをつくる際にはぶどうの果皮や種を使うのに対して、白ワインをつくる際には使わないことが影響しているのかも。
ぶどうの果皮や種は、渋味や苦味を感じる成分を多く含んでいて、ワインの味わいに複雑さを与えてくれますが、ときにこの渋味や苦味が目立ってバランスを崩してしまうことがあります。白ワインはこの要素が少ないから、いろんな要素を拡大してもバランスが崩れた感じがしなかったのかもしれないですね。

 

【もっとグラスを大きくしたらどうなる??】
試していくうちに気になってきたので、前回赤ワインの実験で使った大きめのグラスでも試してみました。
するとなんと、どのワインでも一番おいしく感じたのはブルゴーニュタイプ(赤ワイン編の4番目)!とくにビニャ マイポ ビトラル シャルドネは、まるで格の違う高級な白ワインを飲んでいるかのようでした。モンラッシェタイプよりも豊かな熟れた果実感やバニラを思わせるような上品な樽の香りが現れて、さらにどの要素も大きいのに突出することなく、キレイに溶け合っている印象でした。
とはいえ、他のグラスを実験したときからけっこう時間が経過していて、いろいろ条件も違うので、この結果はあえて数値化しませんでした。


やっぱり白ワインでは 「グラス大≒おいしい」 のかも!とうっかり納得しかけるところですが、、ただ、大きいグラスと言っても膨らみ方や口の大きさもそれぞれ。それが違うと、香りを採るにも鼻とワインの距離もぜんぜん違うし、味わいを採るにもワインが口に入ってくる量や入り方もぜんぜん違う。実験を通して実感しました。
この影響も大いにありそうだなと思いながら、どうにか検証できないかと、、模索しています。

 

「グラスの次。」
ここでさらに気になるのは、ブルゴーニュタイプで試したときの衝撃。
グラスの違いもあるだろうけれど、飲む時間帯やワインの温度、抜栓してからの時間なども変わっていたのでその影響もありそう!
みなさんも耳にしたことがあるのでは?

 

実際のところはどうなんでしょう??
さっそく次回以降に検証していきます!お楽しみに!!

上にもどる

実験編「白ワイン」バックナンバー