ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
毎月1つのテーマに絞って連載していきます。

  • 実験編「白ワイン」

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ワイングラスをくるくるまわすとおいしくなるの??
~白ワイン編~

2016年09月

ワイングラスをくるくるとまわしてからワインを飲んでいる人を見かけたことはないでしょうか。

これは、グラスをまわすことでワインの香りが引き出されたり、少し空気に触れさせることで味わいがまろやかになるという定説からなのですが、どんなワインでも言えるんでしょうか?

ワインをよく飲んでいるワイン通と言われる人ほどまわしているイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょう。なにごとも試してみないとわかりません!
さて、結果やいかに!?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【ワイン1】~フレッシュで軽めのやや辛口白ワイン~
    カルロ ロッシ ホワイト
  4. 【ワイン2】~すっきりした味わいの辛口白ワイン~
    ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
  5. 【ワイン3】~キレのある酸味が特長の辛口白ワイン~
    ウィリアム フェーブル シャブリ
  6. 【ワイン4】~フルーティでほのかに甘い白ワイン~
    ファルケンベルク リープフラウミルヒ <マドンナ>
  7. 【ワイン5】~リッチな味わいの辛口白ワイン~
    ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

▼ さっそくやってみた!!

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まずはワイン!次の5つのタイプで試してみました。
 
ワイン1.
フレッシュな果実味で飲み口が軽めのやや辛口の白ワイン:
カルロ ロッシ ホワイト
 
ワイン2.
すっきりした味わいの辛口白ワイン:
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
 
ワイン3.
キレのある酸味が特長の辛口白ワイン:
ウィリアム フェーブル シャブリ
 
ワイン4.
フルーティでほのかに甘い白ワイン:
ファルケンベルク リープフラウミルヒ <マドンナ>
 
ワイン5.
リッチな味わいの辛口白ワイン:
ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
 
試してみる条件は次の5つ。ワインをそれぞれグラスに注いで、A~Eの回数グラスをまわしたものを比較試飲しました。
 
 A:まわさない
 B:10回
 C:20回
 D:30回
 E:50回
 
また、グラスは小ぶりのティスティング用のグラスを使用しました。
検証の仕方は、4人のメンバーで試飲して、味わいの要素を最高5点で数値化して比較しました。
 
さてさて、グラスをまわすとワインはおいしくなるんでしょうか??
 

▼ ざっくりと結果まとめ!!

いきなり今回の結論ですが、
ワインによっては・・・
★★おいしくなるものもあれば、おいしくなくなってしまうものも・・・★★
 
そして、どの白ワインでも共通で、
★★白ワインはまわしすぎ厳禁!★★
ということに!
 
総合的な点数で見ると、ワイン2と3は10回まわしたものが一番良い結果に、ワイン5は20回まわしたものが一番良い結果になりました。
これらのワインは少しまわした方が楽しめそうです。とはいえ、まわせばまわすだけ良いというわけではなく、30回以上だとどれもまわさない方が良い結果でした。
 
一方、ワイン1と4はまわさないものが一番よい点数で、まわすごとに点数が下がっていく結果になりました。これらのワインはわざわざまわさない方が良さそうです。
 
  • 【ワイン1.カルロ ロッシ ホワイト】
    ★グラスはまわさずそのまま飲んだ方がよさそう★
    グラスをまわすごとに果実味や香りが感じにくくなる傾向。とくに20回から一気に変化する。
  • 【ワイン2.ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン】
    ★少しまわした方がおいしい★
    10回まわしたものが一番果実味や香りが感じられる結果に。これも、20回まわすと一気に果実味や香りが感じにくくなる。
  • 【ワイン3.ウィリアム フェーブル シャブリ】
    ★これも少しまわした方がよい★
    これも10回まわしたものが一番果実味や香りが感じられる結果に。とはいえ、今回試したワインの中では一番変化が少ない。
  • 【ワイン4.ファルケンベルク リープフラウミルヒ <マドンナ>】
    ★グラスをまわさずそのまま飲もう★
    今回試した中で一番まわさない方がよい結果に。まわすごとに果実味や香りが急激に感じられなくなる。甘味だけが残って、他の要素が薄まっていく感じ。
  • 【ワイン5.ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ】
    ★少しまわした方がおいしい★
    これは20回まわしたものが果実味や香りが一番感じられる結果に。30回以上まわすと果実味や香りを感じにくくなっていく。

 

ワインごとの変化の仕方など、詳しくは「検証結果をくわしく!」で。
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
 

【ワイン1】~フレッシュで軽めのやや辛口白ワイン~
カルロ ロッシ ホワイト

【ワインの特徴】 ?ブランドサイトはこちら 

甘味と酸味のバランスがとれた、すっきりとした味わいの軽めのワインです。
 
 
【検証結果】
★まわさずそのまま飲んだ方がワインの特長が楽しめる!★
 
まわせばまわすほど、果実味や香りを感じにくくなっていって、もともとあったフレッシュな印象もなくなっていく。特に20回から一気に変化が大きくなる。
 
一方でまわすごとに酸味が穏やかに感じられて飲み口がまろやかになる。
 

【ワイン2】~すっきりした味わいの辛口白ワイン~
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン

【ワインの特徴】 ?ブランドサイトはこちら 

青草や柑橘、青いりんごのような爽快な香りと、キレの良い酸味が特長です。
 
 
【検証結果】
★少しまわすとおいしくなる★
 
まわさないものは、青草のような香りが主体で果実の香りが少し弱い印象だったのが、10回まわすと熟したグレープフルーツのような果実の印象がしっかり出てくる。
20回以上まわすと、果実味や香りが薄れていって、フレッシュ感も感じられなくなっていく。
 
ただこのワインも、まわすごとに酸味が穏やかに感じられて飲み口がまろやかになっていく。
 

【ワイン3】~キレのある酸味が特長の辛口白ワイン~
ウィリアム フェーブル シャブリ

【ワインの特徴】 ?ブランドサイトはこちら 

キレのある酸味が際立った、軽快で心地よい辛口の白ワインです。フレッシュな柑橘系のような香りも特長です。
 
 

【検証結果】

★少しまわした方がおいしい。でもそんなに変化しない★

 

まわさないものは果実味や香りがあまり感じられず、ワイン用語では「硬い」と言われるような、ワインの特長が閉じこもってしまって、あまり感じられない状態。これを10回まわすと果実味や香りが感じられるように。

このワインは20回以上まわしても、他のワインほどは変化しない結果に。

 

他のワインでは飲み口がまろやかになっていったけれど、このワインは飲み口もそんなに変わらない。

【ワイン4】~フルーティでほのかに甘い白ワイン~
ファルケンベルク リープフラウミルヒ <マドンナ>

【ワインの特徴】 ?ブランドサイトはこちら 

華やかな香りで、新鮮なフルーツの酸味とほのかな甘味を持ったワインです。

 

【検証結果】

★まわさず飲もう!★

 

このワインはまわしても良いことなし。10回まわしただけでももともとのフレッシュさが失われて、果実味や香りを感じにくくなる。まわすごとにその傾向は進んで、30回以上まわすと傷んだ果実や枯れた花のような違和感のある香りも。

 

飲み口もまわすごとにどんどんもったりして飲みにくくなっていく。

【ワイン5】~リッチな味わいの辛口白ワイン~
ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

【ワインの特徴】 ?ブランドサイトはこちら 

熟れたリンゴやマンゴーような果実の香りと、ナッツやバニラのような香りも感じられる香り豊かな白ワインです。また、爽やかな酸味と飲み口にコクを感じるリッチな味わいです。

 

【検証結果】

★少しまわした方がおいしくなる★

 

このワインは20回まわしたものが一番いろんな要素が楽しめる結果に。ナッツのような香りやトロピカルフルーツのようなリッチな香りが感じられるようになる。また、酸味が穏やかに感じらるようになって飲み口もコクが出てきて、香りのイメージと飲み口が合ってくる。

 

30回以上まわすと、果実味や香りが感じにくくなって、飲み口も少しもったりした印象に。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
★★まわした方がいいものもあれば、そうでないものも・・・★★
★★白ワインはまわしすぎ厳禁!★★
 
今回の実験では、それぞれのワインで微妙に違う傾向が見られました。単純にワインのタイプで傾向を見出すのは難しそうでしたが、まわさない状態では香りが感じにくいものや、酸味を強く感じるものはまわしてみるとよいかもしれません。
まわさない状態でも十分にいろんな要素が感じられておいしく飲めるものは、わざわざまわす必要はなさそうです。
 
【ワイングラスのまわし方は?】
これは決まりがなくて、宙に浮かせた状態でまわす人もいれば、テーブルに置いたままの状態でまわす人もいます。回転する方向も時計まわりの人もいれば、反時計まわりの人もいます。
唯一のマナーは、他のものに当てたりワインをこぼしたりしないように、十分に注意を払うことだけです。
 
【ワインによって傾向が違う理由は?】
ワインが持っている特長や要素の量などによると考えられます。
 
グラスをまわすことで香りの成分の揮発やいろんな要素の酸化が促されるのですが、繊細な香りやフレッシュさを楽しむようなワインの場合、この揮発や酸化によって特長の香りやフレッシュさを失っていってしまいます。そのため、グラスをまわさず飲んだらおいしいものが、グラスをまわしすぎると、あまりおいしく感じられなくなります。
 
一方で、多くの要素を持ったワインであれば、グラスをまわして揮発を促すほどにより香り豊かに感じられますし、要素が多いために酸化がそれほど急には進まず、要素の多様性が増していくと考えられます。
 
【この次。】
今回は白ワインで実験しましたが、ワイングラスをまわすイメージは赤ワインの方が強いのでは?次回は赤ワインで試してみます!お楽しみに!
 

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