The Scotch


『ザ・スコッチ』バランタイン17年物語

The Story of Ballantine's 17 Years Old


書籍の本文全てを収録しています。各章あたりテキストが10〜20KB、扉の写真1点のJPEG画像が20〜30KBになります。
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第1章:ヒース咲く丘
物語はマスターブレンダー、ロバート・ヒックスのテイスティング・ルームから始まり、<バランタイン17年>の香りの話、ピートとヘザー、ガウディーの神話(サクラソウ)、香りのサンプル、スコットランドの自然、その成り立ち、気候の特徴などへと展開。

第2章:クランとウスケボー
スコット人の国スコットランドはクランの国。厳しい自然の中での暮らしは、タータンとウイスキーが織り上げてきた。キルトやスポーラン、クエイクといわれる酒杯、また、ウイスキーの語源や昔の飲み方、とくに葬式で痛飲したことなど、逸話も一杯。

第3章:反乱
農家の四季と蒸溜、最初の酒税、増税と密造、徴税官と密造者のの戦い、ボニープリンスチャーリーの反乱、タータン着用の禁止、弾圧と抵抗、ロバート・バーンズ、和解、合法蒸溜所の誕生、――19世紀初頭までのウイスキー史は“密造時代”と呼ばれている。

第4章:ジョージ・バランタイン
密造時代の終焉は近代スコッチ産業の夜明け――G・バランタインなどの起業家が、スコットランドの地酒にとどまっていたモルトウイスキーを連続式蒸溜機によるグレーンウイスキーとブレンドし、洗練された現代スコッチへと磨き上げていった。

第5章:世界へ
20世紀にはブレンデッド・スコッチは国際的な名酒へと成長。しかし、米国に禁酒法が、また、世界に大戦が続き、ウイスキーの伝統を守るためにスコッツたちが大活躍。バランタイン社が個人商店から世界企業へと発展していく道を、幾度もの荒波が襲い続けた。

第6章:創造
ガウディーの神話(はしご)、名ブレンダー、ジョージ・ロバートソンと“究極のスコッチ”づくり。戦時下の苦労。エリザベス女王の載冠と日本市場への初上陸など、“ザ・スコッチ”と称えられる名酒「バランタイン17年」の誕生秘話と以後の歩みの物語。

第7章:紋章
この章から12章までが、いわば第2部。伝統あるスコットランド紋章院の話。バランタイン社の紋章の由緒と紋章各部の説明。次章以降では紋章の盾に掲げられた「大麦、清流、ポットスチル、樽」の順で、ウイスキーづくりの実際が技の匠たちの言葉で綴られていく。

第8章:大麦
バランタイン社のウイスキーづくりは、原料大麦の品種改良という地道な作業から始まる。モルトウイスキーにモルト(麦芽)が何故欠かせないのか? どうしてスコットランド産の大麦はウイスキーづくりに最適? なるほどが連続する、楽しい蘊蓄話がたっぷり。

第9章:水
名酒は名水のあるところに生まれます。それ故にスコットランドでは各蒸溜所が仕込みの水を自慢し、ときには水争いに命懸けとさえなったほどだ。ユニークな水占い師の話、いろいろな地質と水質の関係……ウイスキーの品質を左右する水の逸話の数々。

第10章:ポットスチル
ポットスチルとは、錬金術師の時代とほとんど変らない原始的な銅製蒸溜釜。その形は蒸溜所ごとに異なり、さまざまな風味のモルトウイスキーを生む。蒸溜操作やウイスキー原酒を採取するタイミングなどすべては、経験豊かなクラフツマンの熟練の技の賜もの。

第11章:熟成
ウイスキーは樽を揺り籠にして熟成するが、その仕組みは、まだ現代科学でも十分に解明されていない。庫人たちはただ経験だけで、樽の違い、貯蔵場所の違いがどういう香り、味を生むのか――その神秘を読み、良い樽を選んで、ウイスキーを育てている。

第12章:スコッチ・ウォッチ
かくて「大麦、清流、ポットスチル、樽」の4大要素が結合してバランタイン・スコッチは生まれた。その熟成を見守り、警備するのがガチョウのガードマン。スコッチ・ウォッチとして有名なガチョウ軍団の活躍なくして、「バランタイン17年」も生まれない。

第13章:マスターブレンダー
ここからが、「バランタイン17年」を“ザ・スコッチ”と言わしめる理由を探ったドキュメント。その複雑な香り、味の世界へと迫っていく。まずは、4000種もの香りを記憶するマスター・ブレンダー、ロバート・ヒックスとその師匠ジャック・ガウディーの話。

第14章:モルトウイスキー
アイラ島のアードベッグ、ラフロイグ、ハイランド北部のバルブレア、スペイサイドのミルトンダフ、グレンバーギー、ハイランド南部のグレンカダム、オークニー島のスキャパ……40種近くの原酒を使った「バランタイン17年」の中核モルト原酒とその蒸溜所の話。

第15章:グレーンウイスキー
ブレンデッド・ウイスキーにはモルトウイスキーとともにグレーンウイスキーが欠かせない。そのグレーンウイスキーとは何か? その役割は? ここまで踏み込んでグレーンウイスキーを語った類書は少ない。ウイスキー通の知りたかった情報がいま、ここに。

第16章:ブレンダーの芸術
ブレンドとは何か。ブレンダーはどのようにして彼の作品を創造するのか。マスター・ブレンダー、ロバート・ヒックスが「バランタイン17年」を例にあげ、ブレンディングの実際を巧みな比喩で説明する。芸術創造の現場に立ち合ったかのような興奮を覚える章。

第17章:17年の歓び
ふたたびテイスティング・ルーム。ウイスキーのテイスティングの仕方についてロバート・ヒックスがノウハウを伝授してくれる。読者のあなたは、彼と共に「バランタイン17年」のノージングを楽しみ、複雑な香り、味の奥へ、奥へと誘われていくことだろう。

ウイスキー用語辞典
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『ザ・スコッチ―バランタイン17年物語』(グレアム・ノウン著/マイケル・ジャクソン序/田辺希久子訳/定価3,000円)は、英語版 The Scotch, The Story of Ballantine's 17 Years Old とともに、TBSブリタニカから発刊されています。