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ワインの味わいを決める要素は、原料であるぶどうと、気候[天]、土壌と地形[地]、つくり手[人]の4つです。それぞれがワインの味わいにどのような影響を与えるか、見てみましょう。
赤ワインになるぶどうの中から、世界で広く栽培されている主要品種12種をご紹介します。
白ワインになるぶどうの中から、世界で広く栽培されている主要品種10種をご紹介します。
天気がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
緯度が高く寒い国と、緯度が低く暖かい国とを比較すると、やはり暖かい国の方がぶどうがよく熟します。ぶどうは熟すにつれて糖分が増し、酸度が低くなっていきます。そうなると、出来上がるワインについてもそのぶどうの特性が出た味わいになっていきます。
わかりやすく例を挙げると、世界で最も緯度の高いワイン生産国の一つであるドイツのワインは酸が強くて軽やかな味わい。逆に太陽が燦々と降り注ぐ南欧スペインのワインはアルコール度数が高くてリッチな味わいと言った感じです。
実際のワインの味わいの変化例としては、「りんご」を思わせる香りが特徴のぶどうを寒いところから暖かいところにかけて栽培すると、寒いところでは「青りんご」、少し暖かくなると「黄色いりんご」、もっと暖かくなると「蜜入りりんご」と言った感じで、同じ系統ながら、より熟して甘くて色の濃い果実を感じさせるようになっていきます。
ただし、ワインの酸味やアルコール度数は、ぶどう品種の個性やぶどうの収穫時期などもワインの味わいに影響を与える一つの要素になりますので、一概に寒い国のワインが酸っぱくて軽やかな味わいで、温かい国のワインがアルコール度数が高くて丸い味わいだとは言い切れません。
近年は地球温暖化の影響によって、これまでワインを生産していなかった北の国(イギリスなど)のワインが評価されていたりしますし、温かい産地ではより標高の高い土地に畑をつくったり、これまでよりも早めに収穫したりして、味わいのバランスを取っているようです。
気候がワインの味わいに与える影響として、もう一つ要素があります。それが「ヴィンテージ」です。たとえ同じ土地であったとしても、自然は毎年異なった天候を我々に与えます。農産物であるぶどうの味わいにはその年の天候が反映され、その結果としてワインの味わいにも、その年の天候の影響が刻まれます。同じ銘柄のワインでも、暖かかった年のワインは、果実味が豊かでまろやかに、反対に涼しかった年のワインは、酸がしっかりしてボリューム感よりもエレガントさが表現されるといったように、ぶどうが収穫された年の天候によって味わいに違いが出ます。
ワインのラベルにぶどうの収穫年が表示される事が多いのは、ぶどうが収穫された年によってワインの味わいが変化するのが当然だからです。
現在では古くて価値のあるものを「ヴィンテージ」と呼んでいますが、英語のVintageの本来の意味は「ぶどうの収穫」。そこから、ワインになるぶどうが収穫された年の事をヴィンテージと呼びます。
ヴィンテージワインというと、晴れが多くてぶどうがよく熟した年のワインの事を言う事が多いのですが、毎年の気候を「いい」「悪い」ではなく、それぞれの「個性」と捉えると、ワインが農産物である事をより実感出来るかと思います。
ちなみに、低価格の量販ブランドワインなどでは、色々なぶどうをブレンドする事でブランドの味わいを表現しているので、ヴィンテージの個性は現れにくくなっています。
ぶどうを育む大地がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
ぶどうは土から養分を吸収するため、ぶどうが植わっている畑がどのような土壌であるかという事も、 ワインの味わいに影響を与えます。一般的にぶどうは痩せた水はけのよい土壌を好むと言いますが、これは植えられたぶどうの品種によっても異なってくるので、ワイン用のぶどうにはこのタイプの土壌がよいと言い切る事は出来ません。また、ぶどうは地中10m以上にも深く根を伸ばすこともあるため、表面の土だけでなく、深いところの土壌も味わいに影響すると言われています。
ではどのような土壌だと、どのような味わいになるのかというところですが、これを証明するのはなかなか難しく、まだまだ飲み手の感覚の部分に委ねられているようです。ただ、つくり手・製法・エリア・年度・ぶどう品種までが同じで、そして土壌だけ異なる畑から取れたぶどうでつくったワインの味わいを比較した場合に、確かに違いは感じられます。
もう一つの地形が味わいに与える影響ですが、同じ畑でも微妙な傾斜や畑の向きによって、日照条件や水はけ、風通しなどが異なる事はよくあります。微妙とは言え自然条件が異なれば、ぶどうの熟し方も変わってきますので、これもまたワインの味わいに影響を及ぼす要素と言えるでしょう。
ワインのつくり手である人がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
「気候や天候」や、「土壌と地形」などと同様に(もしかしたらそれ以上に)、ワインの味わいに影響を与えるのが、「ワインのつくり手」です。
イメージとしてはお料理を考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、3人の方に同じ材料を渡して、「肉じゃが」を作ってくださいとお願いしたとします。3つの「肉じゃが」が出来るわけですが、それぞれの見た目や味わいは当然同じではありません。素材の分量が違ったり、調味料の配合や種類が違ったり、加熱時間が違ったりする事で、同じ「肉じゃが」という料理ながら、異なる味わいになります。ワインも同じ事。同じ産地で同じヴィンテージの同じ品種のぶどうを使って仕込んだとしても、つくり手が違えば違う味のワインが出来上がります。
出来上がるワインの味わいに影響を与える要素(の一部)としては、以下のような事が挙げられます。それぞれがどのように影響を与えるかはここでは割愛しますが、ワインのつくり手が考える必要がある事はものすごく沢山あるという事ですね。
ぶどうの栽培方法 | 品種の選択、剪定の方法、密植度、栽培管理、収穫時期、収量など |
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ワインの仕込み方 | 選果のレベル、圧搾の道具、圧搾率、発酵容器の素材や大きさ、 発酵管理の方法、発酵温度や期間、酵母、 複数品種を使うワインの場合ブレンド比率など |
熟成の方法 | 熟成させる容器の素材や大きさ、 熟成させる場所(温度や湿度)、熟成期間など |
その他のちがい | 瓶や栓の選択、価格設定など |
温度でワインの味わいは結構変化します。ワインを愉しむオススメの温度をご紹介します。
●赤ワインを高めの温度で飲むのは、低い温度で飲んでしまうと、折角の香りがあまり感じられず(一般的に赤ワインの方が白ワインよりも香りの要素が多い)、渋みを必要以上に強く感じてしまうからです。なので、タンニンの少ないボジョレーヌーヴォーのようなワインは赤ワインでも少し冷やして飲むことが多いのです。
●甘口のワインを低い温度で飲むのは、甘さをさっぱり、酸味(これがしっかりする事で、甘さをあまり感じさせなくする)をしっかりさせて、べったりとした味わいに感じさせないためです。
●辛口の白ワインの場合、フレッシュでフルーティーな軽やかなタイプは、低めの温度で爽やかさ・酸味を立たせるようにして飲むのがおすすめです。コクのある重いタイプは、香りやコクが強く感じ取れる高めの温度で飲むと、よりおいしく味わえます。
●スパークリングワインは基本しっかり冷やしてください。きちんと冷やさないと、抜栓の際に栓が飛び出したり、ワインが吹き出したりする可能性があります。(▶詳しくはこちらの動画をご覧ください)辛口でコクのあるものは、抜栓した後に常温に置いて、温度を上げながら飲むと味わいの広がりを楽しむ事が出来ます。
赤ワインは「室温」で飲むとよい、と一般的には言われることが多いです。空調してある日本の室温は大体25~28℃くらいでしょうか。そこで、上の飲み頃温度表で赤ワインを見てみると、日本の室温はやや高すぎるという事になります。ここで言う「室温」とはヨーロッパの昔の石造りの家の室温なんですね。日本では赤ワインでも飲む前に少し冷やしてあげた方がおいしく感じる事が多いようです。
※室温25℃のワインを冷やす事を想定しています。冷蔵庫は機種による差もありますので、大体の目安の時間とお考え下さい。