ワインスクエアTOP>ワインの基礎知識>ワインとは?
ワインとはどんなお酒なのか、色々なワインのつくり方、主な生産国、歴史など、ワインの基本となる部分を見てみましょう。
ワインと他のお酒の違いや、色々なワインのタイプをご紹介します
お酒は原材料が「穀物か、果実か」、製法が「醸造か、蒸溜か」の大きく4つのタイプに分類されます。その中で、ワインは「果実」原料の「醸造酒」になります。
蒸溜酒をつくるためにはまず醸造酒をつくって、それを蒸溜する必要があります。ワインを蒸溜して出来るお酒が「ブランデー」です。混成酒はどのタイプのお酒からもつくられるもので、お酒にハーブや果実などの成分を抽出したものです。日本で最も良く知られているものとしては「梅酒」が挙げられます。
アルコールは原料に含まれる糖分が酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスに分解されることで生まれます。ということは、元々糖分を含んでいない「穀物」をそのまま置いておいても、決してお酒になる事はありません。しかし、「ぶどう」は元々糖分を含んでいますので、潰して置いておくだけでも、条件が整えば自然に発酵してワインになります(ちなみに日本では個人でぶどうを醸造してワインにしたものを消費する事は法律で禁じられていますので、ご注意ください)。
また、穀物をお酒にする場合には必ず仕込み水が必要になり、その味わいが出来上がるお酒の味わいに大きな影響を与えます。それに対してワインの場合、ぶどうがそのままワインに変化しますので、原料であるぶどうの出来・不出来が大変重要になってきます。
ワインは「ぶどう」そのものがお酒に変化した自然なお酒です。
「よいワインはよいぶどうから」つくられます。
つまり、ワインづくりは農業の要素がとても大きいお酒づくりです。
ワインの味わいの80~90%はぶどうの品質で決まるとも言われます。
ほとんどの国でぶどうが実るのは1年に1度。つまりワインは1年に1回しか仕込む事が出来ません。生産者たちは、よいぶどうを得るために、春から秋まで畑で一生懸命働きます。「よいワインはよいぶどうから」。ワインづくりは農業の要素がとても大きいお酒づくりです。
●スティルワインは赤・白・ロゼという、いわゆる普通のワイン。ワインという言葉は下表4つのカテゴリーを全て含んだものの総称となりますので、普通のワインの正式名称はスティルワインです。これは泡立ってシュワシュワ動いているスパークリングワインに対して、じっとしているワインという事でこういう名前になっています。
●スパークリングワインはご存知の通り、中に炭酸ガスを含んだもの。しっかり発泡するタイプと微発泡のタイプがあり、ほとんどの国では呼び名も異なります(例えばフランスではしっかり発泡はヴァン・ムスー、微発泡はペティヤンと言います)。
●フォーティファイドワインはワイン(もしくはぶどう果汁)にブランデーなどの強いアルコールを持つお酒を加えて、全体のアルコール度数を高めたもの。通常のワインより高めの15%~20%を超えるアルコール度数を持ちます。アルコール度数が高い方が保存性が高まるので、暑い国々で発展しました。
●フレーバードワインはワインに何かの風味が加わったもの。最近人気のサングリアはワインに果物や スパイスを加えたもの。カクテルのマティーニの原料として知られるベルモットも実はワインの1種です。ギリシャのレッチーナのようにワインに松脂を加えた珍しいものもあります。
種類 | 特徴 | 代表的なワイン |
---|---|---|
スティルワイン | 炭酸ガスを含まないワイン (赤・白・ロゼという、 いわゆる普通のワイン) |
|
スパークリングワイン | 泡を含んだ発泡性のワイン | シャンパーニュ(フランス) カヴァ(スペイン) スプマンテ(イタリア) ゼクト(ドイツ)など |
フォーティファイド (酒精強化) ワイン |
ワイン(もしくはぶどう果汁)に 度数の高いアルコールを 加えたワイン |
シェリー(スペイン) ポート、マディラ(ポルトガル) マルサラ(イタリア) |
フレーバードワイン | ハーブや果実、蜂蜜等を加えて、 独特の風味をつけたワイン |
サングリア(スペイン) ベルモット(イタリア等) レッチーナ(ギリシア)など |
スティルワインとスパークリングワインのつくり方をご紹介します。
赤ワインと白ワインで決定的に違うところが2点あります。一つは外見。赤ワインは赤い色で白ワインは黄色(白じゃないですね)をしています。
二つ目は味わいで、赤ワインが渋さ(タンニン)を持つのに対して、白ワインには渋さがありません。その違いはつくり方の違いから出てきます。
赤ワインと白ワインのつくる手順で異なるところは実は一つだけ。それは「ぶどうをいつ搾るか」というところです。白ワインはぶどうをいきなり搾って果汁にしてしまい、それを発酵してワインにします。それに対して、赤ワインは最初はぶどうを潰すだけで、果汁と一緒に皮も種も発酵してワインにします。ぶどうの色素はご存知の通り皮に含まれます(皮の黒いぶどうも果肉の色は黄緑色ですよね)。そしてぶどうの渋さ(タンニン)は種に含まれます。つまり、赤ワインは皮と種を果汁と一緒に発酵する事で、液中に色素とタンニンが溶け出して、あの色と味になっているのです。
ではロゼワインはというと、幾つか製法がありますが、最も主流の製法は、赤ワインと同じ様に皮と種を果汁と一緒に発酵して、ある程度色を抽出した時点で皮と種を取り除くというつくり方です。皮を除いた時点でそれ以上ワインの色は濃くならないので、あのロゼワインの色が保たれるということです。では、ロゼワインと赤ワインの境界線がどこか?というと、これには明確なきまりがありません。作っている方が「色も渋さも全部出した」と思えば赤だし、「途中で抽出をやめた」と思えばロゼになるという事になります。ロゼワインよりも色の淡い赤ワインに出会う事があるのはこういう理由からなんですね。
最後に一つ余談を。赤ワインは当然白ぶどうからはつくれませんが、白ワインを黒ぶどうからつくる事は出来ます。皮をつけこまず、皮の色を出さないように優しく搾れば、白い果汁が取れ、それを発酵すると白ワインになります。そうやってつくられる一番有名なワインはシャンパンです。
逆に、白ワインでも赤ワインのように皮と種を一緒に発酵すると、渋さのある白ワインが出来上がります。赤ワインと白ワインの味わいの差は、使用するぶどうの果皮の色だけでなく、製法の違いによるところも大きいんですね。
ほぼ全てのスパークリングワインは、一度アルコールを得るための一次発酵を行って(要は一度普通のスティルワインをつくって)から、再度そのワインに糖分と酵母を加えて、今度は泡を得るための二回目の発酵を行う、という手間のかかる製法でつくられます。
この泡を得るための二回目の発酵をどのような容器で行うかで大きく二つの製法があります。一つ目は「伝統的製法」や「瓶内二次発酵製法」と呼ばれる、ワインの瓶の中で泡をつくる製法。二つ目は「シャルマ法」と言って、ワインの瓶のかわりに、圧力のかかる大きなステンレスタンクの中で泡をつくる製法です。それぞれに長所・短所がありますが、簡単に言うと、瓶内二次発酵は「手間がかかるが、複雑な味わいを生む」、シャルマ法は「大量生産しやすく、果実のフレッシュ感が保たれる」という特徴があります。
また、スパークリングワインのラベルには必ず「Brut」や「Semi Seco」などの甘さをあらわす言葉が記載されています。全てのスパークリングワインは泡をつくる二次発酵が終わった時点では完全な辛口で、工程の最後に甘いリキュールをどれだけ入れるかで味わいが決まってきます。ここで甘いリキュールを足さなければ辛口で、沢山足せば甘口になるわけです。スパークリングワインの甘辛表示は下記の表をご覧ください。ちなみにBrut~Brut Natureのところ(12g/ℓ未満)がいわゆる「辛口」です。
甘口のワインをつくるために必要な事は、まず出来るだけ糖分の高いぶどうを得る事です。通常、ぶどうの糖分は酵母によって全てアルコールに変えられ、辛口のワインになります。しかし、ぶどうの含んでいる糖分が極端に高い場合、酵母がいくら頑張っても全ての糖分をアルコールに変える事が出来ず、糖分が残ったまま発酵が終了します。このようにしてつくられるのが甘口ワインです。自然の条件が整わなければ生産出来ないワインのため、昔から非常に貴重なものとして珍重されてきました。
通常よりも遅く収穫する事で糖分が凝縮したぶどうからワインをつくる。
糖分がアルコールになりきらず甘口のワインとなる。
右の写真のように、特殊な菌(ボトリティス・シネレア)が付着する事で、生きながらレーズンになったぶどうからつくる甘口。水分のみが蒸発し、他の味わいが凝縮した素晴らしいワインを生むため、甘口ワインの帝王と呼ばれる。
氷点下になり、水分が凍りついた状態のぶどうを圧搾する事で得られる、
濃縮した果汁からつくられる甘口。
収穫したぶどうを干してレーズンの様にして、水分を抜き甘みを凝縮させてから搾り、
その甘い果汁からつくる甘口。
世界の主要なワインの生産国をご紹介します。
世界の主要なワイン生産地は北半球では北緯30~50度、南半球では南緯30~50度の間に位置しています。近年は地球の温暖化の影響や、世界的なワイン文化の広がりによって、冷涼すぎてぶどうが栽培されてこなかった国々(イギリスやベルギーなど)や、伝統的にワインが生産されてこなかった国々(インドやタイなどのアジア諸国など)でも、ワインが生産されるようになってきています。
数量・品質ともに世界のトップを争うワイン王国。ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュなど、世界が憧れる銘醸ワインが揃っている。現在世界中で広く栽培されている多くのぶどうの故郷でもある。
世界最北のワイン産地の一つ。冷涼気候ならではの、キレのある酸味を活かしたワインを産する。以前は強い酸とのバランスを取った、少し甘口のワインが多かったが、近年は辛口も増えており、味わいも素晴らしい。
フランスと生産量の世界一を毎年争うワイン大国。2000年を超えるワインづくりの長い歴史と、多様な固有品種から、多彩で高品質なワインを生む。食事との相性がよく、楽しく飲めるワインが多い。
フランス、イタリアに次ぐ大ワイン生産国。高品質化が急速に進んでおり、恵まれた気候を活かした、果実味豊かで力強い味わいのワインを生む。スパークリングワインのカヴァや、酒精強化ワインのシェリーも有名。
シャルドネなどの国際品種をほぼ使用せず、固有のぶどう品種からワインを生産するため、他国と一線を画した個性豊かなワインが揃う。ポート、マデイラなどの酒精強化ワインの産地としても名高い。
世界第4位のワイン生産量を誇るニューワールドの盟主。リッチでコクのある果実味のカリフォルニアのワインが有名だが、スタイル・産地・ぶどうなども多様で、実に多彩なワインを生む国。
恵まれた気候と環境からくる圧倒的なコストパフォーマンスで、世界の市場を席捲する脅威のワイン生産国。果実味に溢れながら、きちんと酸も併せ持つ、魅力的な味わいのワインを生む。
世界有数の大ワイン生産国の一つ。アンデス山麓の標高の高い畑で、太陽をいっぱいに浴びて育ったぶどうから、強いアロマと豊かな果実味を持つワインを生む。代表的なぶどうはマルベックとトロンテス。
ワイン生産量で常にトップ10に入るワイン大国。近代設備と技術を駆使した大型ブランドワインを世界に輸出してきたが、近年小規模生産者が急増し、大きな変化が起きている注目の生産国の一つ。
小さな国ながら、冷涼な気候を活かした、他のニューワールド諸国とはスタイルの異なるワインで存在感を示す。鮮やかな香りと果実味のソーヴィニヨン・ブランで知られるが、その他のワインも高品質。
環境に配慮したワイン生産が最も進んでいる国の一つ。ワイン産地の多くが世界自然遺産の中に位置し、風景の美しさにも定評がある。
1990年代から急激な伸びを見せ、ワインの生産・消費ともに世界のトップ10に入る、知られざるワイン大国。自国内で消費される事が多く、まだあまり輸出はされていない。
ワインがどのようにして世界中に広がっていったのかを見てみましょう。
最古のワインに関する記述は「ギルガメシュ叙事詩」(紀元前2000年頃)と言われ、エジプトのピラミッドからもぶどう栽培を描いた壁画が見つかっています。旧約聖書にも箱舟の「ノア」がワインを飲んで酔っ払ったという記述があります。
記録には残っていませんが、それ以前から人類はワインをつくっていたと考えられています。近年、ジョージアで紀元前6,000年頃のワイン製造の跡が発見されました。
穀物原料のお酒(ビールや日本酒など)と比べると、ワインは作るための工程が一つ少なく(糖化)、酵母もぶどうの皮に自然に付着しているため、添加の必要がありません。
「ぶどうを放置すればそのままワインになる」とも言えるため、他のお酒よりも歴史が古いのです。
ワインは原産地のコーカサス地方からフェニキア・エジプトに渡り、フェニキア人・ギリシャ人によって地中海世界全域に広がったと言われています。その後はローマ帝国の広がりとともに、ローマ人達によって、フランス全土、イギリス南部、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア等、ヨーロッパ全域に広められました。
地図にも見られる通り、帝政ローマ末期(400年頃)には、ローマの領土全域にぶどう畑が広がっていました。美食で鳴らした民族だけに、ローマ時代には既に、良いワインを生み出す産地や良いヴィンテージという概念が生まれていたと言われています。
当時は甘口のワインが主流で、水で薄めたり、スパイスを入れたりして飲まれていたそうです。
中世のヨーロッパは戦乱に明け暮れ暗黒時代と呼ばれた時代でした。この時代に文化を保護したのは、キリスト教の教会と修道院で、ワイン文化はキリスト教とともに発展します。
中近東とアフリカはイスラムの台頭で基本的に禁酒、アジアはワイン文化圏外、新大陸は未だ「発見」以前でワイン文化未到達でした。ワインはヨーロッパ文化とともに発展したお酒です。
イエス・キリストが「最後の晩餐」で「このパンは私の肉、このワインは私の血」と弟子達に言った事で、ワインはキリスト教と切っても切り離せないものとなりました。
現在でもキリスト教会では毎月の「聖餐式」という儀式で赤ワインを飲んでいます。
下の図に示される通り、ヨーロッパ人の植民活動とともに、ワイン生産も植民地となった各国に持ち込まれました。ヨーロッパ人の植民活動は広く世界中に亘ったため、結果として世界中でワインが生産されるようになっています。
現在、新世界ワインと呼ばれるほとんどが、旧世界であるヨーロッパから来た人々によって根付いたものです。
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今日使える「ワインコラム」 ~ワインの熟成~
ワインの熟成ってどういうこと?
ワインは時間とともに味わいの変化するお酒です。どのように変わるのか?何が熟成に影響を与えるのかなどを見ていきましょう。
ワインの熟成には、ワインが出荷されるまでに行われる、樽熟成やタンク熟成などもありますが、ここではワインが容器に入ってからのボトル内熟成についてお話しします。
ワインのボトル内熟成とは、瓶内に微量に残された酸素(及び、栓の種類によってはごくわずかに透過する酸素)による、ゆっくりとした酸化作用によって起こる変化が主体です。酸化と同時に成分の重合も進み、それによって若いうちにはなかったまろやかな味わいに変化していきます。それぞれは飲み頃があり、人間と同じように1本1本異なる時間を過ごしていきます。まだまだ解明されていない事の多い神秘的な領域ですが、いくつかのポイントをご紹介します。
1本1本のワインにはそれぞれ飲み頃というものがあります。ぶどうが収穫されたその年内に飲むためにつくられる新酒もあれば、10年、20年、30年、50年、時には100年を超えて魅力を持ち続けるワインも存在します。
そして、飲み頃は1本1本のワインで異なります。例えば同じ3年という熟成期間でも、あるワインではちょうど良い飲み頃の時期かもしれないところ、新酒だと味わいのピークを過ぎてやや枯れた印象を受ける時期に差し掛かっているでしょうし、凄くポテンシャルのあるワインの場合だと、まだまだ本当の飲み頃は先だということになります。
有機酸の量 | 酸の量が多いほど熟成のスピードは遅くなります。酸の量はぶどう品種、産地の緯度や標高、原料ぶどうが収穫された年の気温、収穫時期などで決まります。 |
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ポリフェノールの量 | 言い換えれば色素とタンニンの量。色が濃く、タンニンが多くて渋いほど熟成のスピードは遅くなります。色素やタンニンの量も、酸と同じくぶどう品種、産地、その年の気温、収穫時期などで決まります。またタンニンは樽からもワインに与えられるので、樽熟成の有無も寿命に影響を与えます。 |
糖分の量 | 糖分が多いほど熟成のスピードは遅くなります。貴腐ワインをはじめとする、極甘口のワインは長い寿命を誇ることで有名ですが、極甘口のワインは糖分が多いだけでなく、有機酸やエキス分など、全ての味わいの要素が凝縮されているのも大きな理由です。 |
アルコール度数 | アルコール度数が高いほど熟成のスピードは遅くなります。 |
エキス分の強さ | エキス分が高いほど熟成のスピードは遅くなります。 |
ボトルの大きさ | ボトルのサイズが大きいほど、瓶内のワインの量に対する酸素量の比率が低くなるので、熟成のスピードは遅くなります。(例750mlよりも1.5Lのほうが長持ちする) |
酸化防止剤の量 | 添加物の項でも説明していますが、酸化防止剤である亜硫酸塩の添加量が多いほど、ワインは酸化しにくくなるため、熟成のスピードは遅くなります。亜硫酸塩についての詳しい説明は(▶こちら)へ。 |
果実味 | 時間の経過とともにフレッシュさが感じられなくなっていき、ドライフルーツのようなコクと甘さのある果実感に変化していきます。 |
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酸味 | 量は変化しませんが、出来たてはイキイキして刺激的だった酸が、時間の経過とともに角がとれてまろやかに感じられるようになります。 |
渋み | 出来たては粗く、ゴツゴツするように感じられた渋みが、時間の経過とともにタンニンの重合作用により、キメ細かく、まろやかに感じられるようになります。 |
甘み | 量は変化しませんが、他の味わいの要素が変化するため、時間の経過とともに甘みもまろやかでコクを感じるようになります。 |
香り | 時間の経過とともにあらわれる香りで、ブーケとも呼ばれます。香ばしい香り、動物っぽさ、スパイス系の香り、カラメル、腐葉土など、色々な香りがあります。 |
若い頃は鋭くて、自己主張が強くて、時に飲む人を疲れさせてしまうようなワインが、長い時間の経過とともに角が取れて、丸くなって、じんわりと体や心に染み込むように変化していくというのが、人間が年を経た際の変化にも似ていて、大変興味深いですね。
白ワインの基本色は淡い黄色です(白じゃないですね)。この黄色をベースに緑と茶色という2色が白ワインの外観の変化に影響しています。
緑色は出来たてのワインに多く、これは時間の経過とともに減少していきます。
逆に茶色は出来たてのワインには見られない色で、時間の経過とともに増加していきます。
そのため、白ワインの色は時間の経過とともに、
緑の強い黄緑色 ⇒ 黄緑色 ⇒ 黄色 ⇒ 淡い金色 ⇒ 深い金色 ⇒ 飴色 ⇒ 褐色
というような経過を辿ります。
では赤ワインはというと、赤ワインの基本色はルビー色です。このルビー色をベースに紫と茶色という2色が赤ワインの外観の変化に影響しています。
紫色は出来たてのワインに多く、これは時間の経過とともに減少していきます。
逆に茶色は出来たてのワインには見られない色で、時間の経過とともに増加していきます。
ですので、赤ワインの色は時間の経過とともに、
濃い紫色 ⇒ 紫がかったルビー色 ⇒ ルビー色 ⇒ オレンジがかったルビー色 ⇒ 褐色がかったルビー色 ⇒ 褐色
というような経過を辿ります。
紫色が強い赤ワインであれば若い状態。茶色が強い赤ワインであれば熟成したワインだという事になります。最も紫色が強い赤ワインの一つにボジョレー ヌーヴォーがあります。白い紙に一滴垂らしてみると、紙が真っ青に染まります。本当に出来たてのワインだという事が良くわかりますね。
良い熟成をするためには、ワインがゆっくりと休むことの出来る良い環境である事が必要になります。最も良いのはワインがつくられたワイナリーの地下セラーで移動させずに熟成させることですが、現実的にはなかなかそうもいかないところです。
理想的な保管状況については、(▶こちら)から。
また、熟成の際にワインの栓の状態も大切です。きちんと密閉されているからこそ、ゆっくりとした酸化熟成が可能になります。
コルク栓については、(▶こちら)から。
これまで見てきたとおり、ワインの味わいは時間によって変化していきますが、ボトルによっては望ましくないタイプの変化をしてしまうものもあります。その場合は熟成ではなく「劣化」と呼びます。ワインが劣化してしまう原因は以下のようなものがあります。
栓の不良 | きちんと密閉できずに隙間ができて、そこから空気が侵入することで、急激に酸化が進み、劣化してしまいます。個体差の大きい天然コルクに起きやすい現象です。 |
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保管場所の湿度が低い | コルク栓のワインの場合、保管場所の湿度が低いとコルクが乾燥して収縮が起こり、コルクと瓶の間に隙間が出来てしまいそこから空気が侵入し、劣化につながります。 |
高温または急激な 温度変化 |
熟成は温度が高いほうが早く進むため、恒常的に高温にさらされると急激に熟成が進み、劣化につながります。また、短期間の温度変化が激しすぎることもワインにダメージを与えます。 |
日光や蛍光灯の光 | 直接光があたるとワインは変質します。直射日光の下や、常に蛍光灯の光が当たるような場所での保管はやめましょう。 |
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今日使える「ワインコラム」 ~ワインの添加物~
ワインに使用されている添加物にはどんなものがある?
ワインに使用される添加物は、日本の食品衛生法によって規定されており、亜硫酸塩(酸化防止剤)と、ソルビン酸(保存料)が主要な添加物です。
ワインの酸化防止剤としては、硫黄を燃やした際に発生する亜硫酸塩が主に使われています。古代ローマ時代からワインの保存のために使われてきた物質であり、現在でも殆どのワインに使用されています。食品衛生法によって0.35g/kg(350ppm)未満と使用量が決められているため、人体への悪影響は基本的にありません。
ワイン以外の食品では、ドライフルーツなどにも広く使われています。例えばりんごを切って放置しておくと、だんだんと表面の色が茶色に変化して、風味も変わりますがこれが酸化です。酸化防止剤は名前の通り、この酸化を抑え、新鮮な果実味を保つために使用されています。瓶詰めする際に添加されているイメージがありますが、実際には亜硫酸塩はワイン醸造の色々な過程で添加されています。
上図のように代表的な例を挙げると、まずは仕込時のぶどうの破砕のタイミング(収穫と発酵の間)、他にはワインの滓引き時(熟成中)、ワインを瓶詰めする時などがあります。基本的にワイン(もしくはぶどう)が大量の酸素に一気に触れる際や触れた後などに添加され、酸化を抑える役目を果たします。
ワインを醸造する際に亜硫酸塩を使用しなければ、赤ワインも白ワインも外観が茶色っぽくて、フレッシュさのないぼんやりとした味わいのものが多く市場に出回ることになる可能性があります。そういう意味では、私たちが世界中から日本に運ばれてくるワインを、フレッシュで果実味溢れる状態で愉しめているのには、亜硫酸塩が大きな働きをしていると言えるでしょう。
さらに亜硫酸塩は酸素と結合して吸収する抗酸化(還元)の効果だけではなく、それ以外の役目も果たしています。
●酸化酵素阻害
酸化のスピードを速める酸化酵素の働きを阻害(酸化しにくくなる)
●抗菌
酵母や細菌(乳酸菌)などの微生物の活動を阻害(雑菌の増殖を抑えたり、発酵を途中で止めたりすることが出来る)
単に酸化の防止だけではなく、発酵のコントロールなどでも亜硫酸塩は活躍しているんですね。
スーパーなどでよく見かける、酸化防止剤無添加のワインですが、これには名前の通り、亜硫酸塩が入っていません。普通は亜硫酸塩を入れないと酸化したワインになってしまうハズですが、どのようにして酸化を防いでいるのでしょうか?
●醸造の過程で酸化しないような機材や発酵工程をとる
●瓶詰めの際に瓶内に炭酸ガスや窒素ガスを充填して、酸素を追い出して充填する
●酸化に強いぶどう品種を選択する
などなど多くの努力によって、酸化防止剤無添加のワインはうまれています。
ただし、亜硫酸はぶどうがワインになる発酵の際にも産出されるため、添加はしていなくても、少量の亜硫酸は酸化防止剤無添加のワインにも含まれています。もちろん、人体に悪影響を及ぼすような量ではありません。
ソルビン酸は微生物の働きを抑える効果があるために保存料として使われています。多くの場合は糖分の残っているワインの再発酵を防止するために添加されています。
こちらも亜硫酸塩同様、食品衛生法によって使用の最大値が決められているため、人体への悪影響はありません。ソルビン酸の使用量の上限は0.2g/kgです。