ガバナンス
サントリー食品インターナショナル株式会社(以下「当社」といいます。)は、気候変動対策などの環境課題や人権などの社会課題等、ステークホルダーの皆さまに大きな影響を及ぼす恐れのある重要リスクを特定し、対策を講じています。
当社は、リスクマネジメントコミッティが当社グループ全体のリスクマネジメント活動を推進する役割を担っており、サステナビリティ委員会、品質保証委員会や国内外のグループ会社のリスクマネジメントコミッティとの連携をとりながら、定期的に当社グループにおけるリスクの抽出、当該リスクの顕在化する可能性および経営成績等の状況に与える影響の内容の検討、当該リスクへの対応策の立案および対応状況の進捗確認を行っています。また、リスクマネジメントコミッティはその活動内容を取締役会に報告しています。リスクマネジメントコミッティの報告過程において、取締役会にてリスク管理プロセスの有効性についても定期的に議論し、検証しています。
サントリー食品インターナショナルのリスク管理体制
当社は、ERMを米国のトレッドウェイ委員会支援組織委員会が公表したERMの統合的フレームワークCOSO-ERMを参照して実施しています。
当社では、リスクマネジメントコミッティにおいて、毎年グループ全社を対象にした重要リスクの抽出・評価を行い、当社グループにとって優先的に取り組むべきリスクを特定し、グループ全体でリスクの低減活動を推進しています。
抽出されたリスクに対し、「リスクエクスポージャー(発生可能性×影響度)」および「対策レベル(対策の準備の度合い)」の二軸で評価し、グループ全体として優先的に取り組むべき重要リスクを特定しています。
特定した優先的に取り組むリスクについては、責任者およびモニタリング機関を任命の上、リスクへの対応策を実施します。対応状況はリスクマネジメントコミッティにおいて報告・議論し、対応結果を踏まえて次年度の重要リスクを選定することで、抽出・評価・対策・モニタリングのPDCAサイクルを回しています。
近年、自然災害(大規模地震、台風や集中豪雨による洪水・土砂災害、雪害、火山噴火など)や、2020年初頭より社会に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症、新型インフルエンザ・ノロウイルスなどの感染症といった、経済・社会活動の継続を脅かすリスクが多発しています。当社グループでは、こうしたリスク発生時にも事業をできる限り中断せず、お客様に高品質な商品・サービスを安定的に供給するために事業継続計画(BCP)を策定し、供給責任を果たすための対策を実施しています。 また、当社グループ内の工場における生産活動だけでなく、原材料調達や物流、営業活動での事業継続計画を策定するとともに、有事の際の本部機能、インフラの分散など有事対応体制の強化を継続的に図っています。
日本国内で大規模地震などの自然災害が発生した際に、サントリーグループ従業員の安否確認を迅速に行う仕組みとして、各自が所有する携帯電話・パソコン・固定電話などの連絡手段を使った安否確認システムを運用しています。
このシステムのスムーズな運用に向けて、安否確認訓練を年2回実施し、啓発に努めています。また、大規模地震を想定した防災訓練や徒歩による帰宅訓練なども定期的に実施しています。
大規模災害時には、サントリーホールディングス(株)総務部、サントリー食品インターナショナル(株)食品CM本部を中心としたサントリーグループ全体を統括する「対策本部」を設置し、傘下に各部門別の「対策チーム」を配置し、迅速に初動対応を行います。対策本部の初動では従業員や家族の安否確認や被害情報の収集・整理をはじめ、各部の活動方針に沿って実施する「事業所機能復旧」「情報システム復旧」「救援物資等手配」を統括し、「生産機能復旧」「得意先・地域社会支援」といった取り組みも進めていきます。また、これらの体制や手順をイントラネットに掲載し、従業員がいつでも確認できるようにしています。定期的な対応マニュアルの見直しや通信手段、災害備蓄品の増強、グループ会社を含めた災害発生時の体制強化を図っております。また、コロナ禍でのテレワークが増えている現状を踏まえて、「対策本部」においてもリモート対応の整備を進めるなど、世の中の状況にあわせて、有事の際の迅速かつ的確な初動対応を実施しています。
2009年の新型インフルエンザ(パンデミック)以降、「インフルエンザ予防マニュアル」に基づく日常での予防対策、発生時の対応プロセスを示したマニュアルを策定し、全従業員への周知を図るとともに、発生時の報告体制を明確化し、感染症の拡大防止策を強化することで業務執行に影響が生じないように対策を講じています。加えて、強毒性感染症に関する行動指針を作成し(2015年改定)、あらゆる感染症に対処しています。また、疾病のまん延時や強毒性の新型インフルエンザなどが発生した際にも事業を継続できるようBCPを策定しています。
新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し従業員の安全を最優先に、サプライチェーン、業績影響などの情報を集約し、迅速に意思決定を行い、対策を講じています。在宅できる制度、環境については、新型コロナウイルス感染拡大前から整備していたこともあり、感染拡大時もスムーズに従業員が在宅勤務を実現できています。出社時には安全と安心を守るため、検温器の設置、アクリルボードや消毒液を各所に設置するといった対策を実施しており、従業員、協力会社の皆さまおよびそのご家族を対象に職域接種も2021年、2022年に合計3回実施しました。2022年の第7波以降、感染対策の見直しを徐々に行っており、出張・出社の制限や会食の人数制限なども解除しています。
グローバル化が進むなか、海外出張者の安全管理も大きな課題となっています。当社では、2013年に日本からの海外への出張者を一限に把握できるシステムを立ち上げました。さらに2017年より海外出張手配・申請・事後精算を一元管理できるグループ共通基盤システムを導入し、短時間で海外出張者の安否確認ができる体制を構築しています。
また、マラリア、結核、HIV/AIDSなどの感染症が多く発生する地域のグループ企業に対して、ハンドブックの配布といった意識啓発や産業医との健康相談の機会を設けるなど、海外出張者に加えて海外駐在員の感染対策も努めています。新型コロナウイルス感染拡大防止と感染予防のため、見合わせていた海外出張も、出張先の感染状況を確認の上、各国の入国ルールおよび帰国時のルール遵守のもと再開しています。
経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクのうち、リスクマネジメントコミッティにおいて、「特に重要なリスク」および「その他重要なリスク」に分類しているリスクは、以下のとおりであります。