Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

「HAKUウオツカソニック」Recipe 1 HAKU Vodka & Sonic

ジャパニーズ
クラフトウオツカHAKU
40ml
トニックウォーター 適量
ソーダ水 適量
ビルド/タンブラー
氷を入れたグラスにHAKUを注ぎ、冷やしたトニックウォーターとソーダ水(1対1の割合)で満たす。好みでライムやレモンを加える

「ROKUジンソニック」Recipe 2 ROKU Gin & Sonic

ジャパニーズ
クラフトジンROKU
45ml
トニックウォーター 適量
ソーダ水 適量
ビルド/タンブラー
氷を入れたグラスにROKUを注ぎ、冷やしたトニックウォーターとソーダ水(1対1の割合)で満たす。好みでライムやレモンを加える

長老派と名付けられたダブルソーダのカクテル

「プレスビテリアン」(Presbyterian)、“長老派の人” という変わった名前のハイボールがある。古いカクテルのようだが、いつ頃誕生したかは不明のようだ。

ウイスキーベースで、バーボンウイスキーやライウイスキー、アイリッシュウイスキーなどでも紹介されてもいる。海外の文献をいろいろ探ってみると、スコッチウイスキーが正統、と書かれていたりする。

たしかに。長老派はキリスト教プロテスタントの一派。スコットランドで発展し、広まった。1567年にはスコットランドの国教になった歴史がある。だから、ベースはスコッチ、という見解は自然といえるだろう。

カクテル名に加えてさらに独創的といえるのがふたつの炭酸飲料を使う点だ。スコッチにジンジャーエールとプレーンのソーダ水を加えるというもの。ジンジャーエールの甘みをソーダ水で抑えて、ドライな仕上がりにする。

甘味やフレーバーのついた炭酸飲料とプレーンなソーダ水の2種で割るスタイルを“プレス”と呼ぶ。

日本には、アメリカの報道関係者がこのカクテルを好んだから“プレス”(press)となった、といった説が伝わっている。こちらに関してはいまひとつ信憑性がない。あくまで「プレスビテリアン」を基にした“プレス”スタイルなのではなかろうか。

さて、似たスタイルでスピリッツやリキュールをトニックウォーターとソーダ水で割るカクテルを“ソニック”(sonic)という。ソーダとトニックを掛け合わせた造語である。海外の文献のなかに、“日本の東京で、遊び心(いたずら)から生まれた”と書かれたものがあった。どうやら和製英語のようだ。

わたしが最初に“ソニック”を文章に記したのは「ウイスキーソニック」だったような記憶がある。1990年前後だったはずだ。

80年代後半にサントリーが運営するJIGGER BARという、直営店だけでなく全国にフランチャイズ展開したバーがあった。90年代はじめにはかなりの店舗数を誇っていて、店内で配布していた『JIGGER’S』というモノクロ・タブロイド紙の執筆・編集にわたしは携わっていた。ある時、イレギュラーの特別版で「ウイスキーソニック」を紹介してくれ、と頼まれたのである。

いま、とても後悔している。わたしは若かった。特別版の特集ページを格好いい内容にすることばかりに気を取られ、“ソニック”というスタイルにまったく興味を示さなかったのである。アメリカ人が“何でも混ぜちゃえ精神”で面白い飲み方をまた流行らせた、くらいにしか捉えていなかった。

この時、Sonicというワードからわたしがイメージしたのは音響的なものであった。語呂合わせと、そしてダブルソーダだから泡がパチパチ弾ける音の感覚も含んでいるのだろう、と勝手な想像をしただけで気にも留めていなかった。

プレスをヒントに生まれたソニック

“プレス”スタイルを日本に広めたのは、バーテンダーやソムリエを数多く輩出したかつてのサントリースクール(2006年頃閉校)校長、福西英三氏のようだ。1980年代はじめのことらしい。わたしは福西氏に随分とアドバイスいただきながら、“プレス”に関してはまったく記憶に残っていない。

このことはつい最近になり、福西氏の後を継がれて1993年からスクールの校長をされた花崎一夫氏にお話を伺い、はじめて知ったのである。当時は“ジントニックをソーダで割る、プレスと呼ばれるスタイルがある”という紹介だったらしい。

ひょっとして福西氏、あるいはサントリーが“プレス”スタイルをヒントに“ソニック”を打ち出したのでは、と花崎氏に質問してみた。この点に関しては花崎氏も記憶が定かではないようである。

わたしはサントリー考案ではないかと思っている。あるいはどこかのバー、もしくはバーテンダーの誰かが“ソニック”と呼んだ、もしくは他の酒類関係企業かもしれないが、このあたりの経緯をご存知の方がいらっしゃらないか、探りつづけていくしかない。そして悶々としながら、いま「ジンソニック」と「ウオツカソニック」を味わっている。

 

お気に入りは「ROKUジンソニック」。トニックウォーターとソーダ水で割っても「ジャパニーズクラフトジンROKU」に香る和のボタニカルのニュアンスが失われることはない。トニックウォーターには甘く苦い感覚がある。ソーダ水がその甘さを断ち切ってくれるとともに、和のボタニカルの香味を巧く表出させるのである。

柔らかく爽快な口当たりで、ジンが苦手という人にもおすすめできる。

そして、いまハマってしまっているのが「HAKUウオツカソニック」。こちらは口中をより軽快に駆け抜けていく。まったく嫌味のない、極めてしなやかな味わいである。

国産米を100%使用した「ジャパニーズクラフトウオツカHAKU」には独特の弾力感がある。プクプクとしたふくよかさと表現すればいいだろうか。この膨らみのある味わいが“ソニック”のスタイルによって、しなやかに磨かれるのである。

ベースとしての分量でいえば、12オンス(360ml)程度のタンブラーならば「ROKU」の場合は45mlがふさわしい。「HAKU」は若干少なめの40mlくらいのほうが非常に伸びのいい味わいとなる。

またライムを搾り入れるとよりクールな感覚を満喫できる。果汁の量を調節しながら好みの味わいに仕上げる楽しみもある。

この夏、“ソニック”を是非お試しいただきたい。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 児玉晴希
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

ブランドサイト

ジャパニーズクラフトウオツカ「HAKU」
ジャパニーズクラフト
ウオツカ「HAKU」

ジャパニーズクラフトジン「ROKU」
ジャパニーズクラフトジン
「ROKU」

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