チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

白いんげん豆のパルミジャーノ煮込み

第93回 2022年09月

白いんげん豆のパルミジャーノ煮込み

チーズの味わい

ほっこりとした豆の美味しさを素直に楽しめる一品です。乾燥豆を一晩水に浸してコトコト煮込んだ味わいは格別ですが、今回は簡単に出来る水煮を使っています。やさしい甘味としみじみとした旨味の、飽きない一品です。

準備するもの
白いんげん豆の水煮 1缶、ミニトマト5~6個、タイム2枝、パルミジャーノ・レッジャーノ50g、塩胡椒 適宜、オリーブオイル適宜、パン お好み

つくり方
(1)ミニトマトを4つ切りにし、白いんげん豆、タイムと一緒に鍋に入れる。
(2)中火にかけ、トマトが煮崩れるまで加熱する。
(3)手で粗目に砕いたパルミジャーノ・レッジャーノを入れ、5分程煮込む。塩・胡椒で味を調える
(4)皿に盛り、オリーブオイルをかける


よく合うワイン

カルロ ロッシ ホワイト

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

みかんの花 蜜リンゴ ■その他果実■メロン

しっかりコクと甘さを感じられる、ほっこり美味しい組み合わせ。

販売量世界NO.1※1ワイナリー、E.&J. ガロワイナリーの看板ブランド。日本向けはオーストラリア産の果実を使用。実はオーストラリア産のワインとしては日本で一番売れている※2ワインブランドです。豊かな果実味のまろやかな味わいでありながら、スッキリとした後口が特長です。
白いんげん豆と合わせると、ワインのコクがグッと膨らむ感じがありました。チーズと豆からの成分でトロミの出た料理と、フルーティで素直な果実の甘さを感じるカルロ ロッシとが同じ方向を向いている感じがあります。豆の甘さ&チーズのコクとオーストラリアの太陽を浴びた果実感が口の中で合わさって、ほっこりとした美味しさをつくります。豆の煮込みは日々の食卓の一品だと思いますが、やっぱりそれには日常のワインがしっくり来るのかな?と思うような自然体の相性の良さでした。
※1:※IMPACT DATABANK 2021 EDITION 2020年度世界販売数より
※2:インテージSRI+ 2020年12月~2022年2月豪州産ワイン市場累計販売数量(全国SM/CVS/酒DS/HC/ドラッグストア/一般酒販店/業務用酒販店計)

フォルタン ガイア オーガニック 赤 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

アメリカンチェリー ラベンダー タイム

何かが目立つわけではないけど、しみじみと美味しい組み合わせ。

ギリシャの大地の女神のガイア(転じて地球も意味します)の名を冠してフォルタンから登場した、「野菜に良く合う」をテーマとしたオーガニック&ヴィーガンフレンドリーのシリーズです。野菜料理で知られるミシュラン2つ星シェフ、ジャン・リュック ラバネルと共同で味わいを開発しました。こちらはベースのIGPクラスの赤で、グルナッシュ、メルロ、ムールヴェードルのブレンド。果実味豊かでまろやかな味わいが特長です。
白いんげん豆と合わせると、口の中が華やかになる感じがありました。トマトとタイムの香りと、ワインが持つラベンダーやタイムを思わせる香りが地中海の風味を醸し出します。味わいの後半は、オーガニックのぶどうが生み出す優しくまろやかな果実感と、白いんげん豆とチーズのトロミのある優しさが一気に一体感を出してきます。いんげん豆の最後に出るほのかな土っぽさと、ワインが持つやさしいほろ苦さとの相性も良い感じです。何かが目立つわけではないけれど、しみじみと美味しい。そんな、この料理単体にも感じる良さをマリアージュでも楽しめる組み合わせだと思いました。

ドメーヌ ド オーシエール オーシエール シャルドネ 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

蜜リンゴ ミラベル/黄色すもも はちみつ

ワインが白インゲン豆にコクと複雑さを与える組み合わせ

ドメーヌ ド オーシエールはボルドー1級筆頭シャトー ラフィット・ロートシルトを要するドメーヌ バロン ド ロートシルトが、南仏ラングドックのコルビエールに所有するワイナリー。シャルドネは太陽を浴びすぎないように、わざと北向き斜面に植えられていて、南のシャルドネらしい熟した果実味を持ちながら、エレガントな味わいが特長です。
白いんげん豆と合わせると、こちらもワインの熟度が上がったように感じられました。オーシエールは南仏のワインの中では上品さが特長だと思いますが、その上品さ(フレッシュな果実感や華やかな香り)は維持しつつ、飲み応えが加わる感じです。南仏のワインはタイムとの相性が良いなといつも思うのですが、このワインもそうで、白いんげん豆のほっこり感と甘さにタイムとワインの風味が複雑さを与える印象です。最後のチーズのどっしり感も心地よく、食べ応えを感じる組み合わせになりました。

サントリー フロムファーム 塩尻メルロ 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

イチジク シダ クローブ

豆とメルロは良いんだけど...という感じの組み合わせ

9月6日、12年振りにサントリーの日本ワインのブランドが刷新されました。その名はフロムファーム。全ては畑から来るをコンセプトに日本ワインの魅力をお伝えしていきます。このワインはメルロの名産地として知られる塩尻産のメルロから生まれる華やかな果実香と力強い味わいが特長です。
白いんげん豆と合わせると、ワインが持つどっしりとした果実感が強調される感じがありました。仄かに土を感じる塩尻のメルロに特有の風味と、白いんげん豆のほっこりとした土の風味は相性が良いように感じます。そう言えば、塩尻のメルロを飲んでいて、小豆の様な豆の香りを感じる事もしばしばありましたし、このエリアのメルロと豆の料理というのは馴染みが良い気がします。あえて言うなら、タイムの香りが少し日本的なシダを思わせる香りや樽熟成の甘い感じと少しチグハグになる感じがあり、そこが残念に思いました。タイム無しで豆とトマトとチーズだけを煮込んだものならバッチリだった気がします。

チャレンジまとめ

少し気温も下がってきて、温かい食べ物も美味しく感じる様になって来ました。そんな今回は豆。まさに日常の味方で、今回も1人前で換算すると一人当たり200円くらいで出来上がります。しみじみと体に染みるような滋味深い味わいが豆の煮込みの良いところ。白いんげん豆はただ煮込んでオリーブオイルと塩だけでも、ほっこりとして美味しいものですが、今回はワインと合わせるという事で、トマトで旨味、パルミジャーノチーズでコクと塩気をプラスしています。そんな白いんげん豆のパルミジャーノ煮込みに実際にやってみて良かったのは、カルロ ロッシ ホワイト。テーブルワインの代表と言えるカジュアルで果実味主体の比較的シンプルなワインですが、むしろこれが豆のほっこり感と方向性ピッタリでお互いが素直に美味しく感じられる良いペアリングとなりました。日々の飾らない料理に合うのはやっぱり日々のテーブルワインなんだなあと感じる、安心感のある組み合わせです。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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