チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

真面目につくるチーズトースト

第91回 2022年07月

真面目につくるチーズトースト

チーズの味わい

パンとチーズは何と言っても永遠のワインのお供です。何も無い時でもおつまみになる様に本当にシンプルな材料で考えながらつくってみました。ポイントはパンを両面ともカリッと焼き上げつつ、チーズにも焦げ目をつける事。最初からチーズを乗せて焼いてしまうと、パンの片面が生のままになってしまって、カリっとした香ばし食感を失ってしまいますので、手間ですが先に一度軽くトーストしておくのがポイントです。

準備するもの
食パン1枚、とろけるスライスチーズ3枚

つくり方
(1)食パンをうっすらと狐色になるまでトーストする。
(2)食パンの片面に隙間なくスライスチーズを敷き詰める
(丁度3枚で2重にチーズが積み重なるはず)
(3)再度トースターに投入し、チーズが溶けて焦げ目がつくまで加熱する(裏面がこんがりくらいまで)。


よく合うワイン

デリカメゾン 赤

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

キャンディ ■ベリー■いちご 赤ぶどうジュース

強さのバランス感がピッタリ。思想の共通点を感じる組み合わせ。

世界中から集めたワインたちを日本人の好みに合わせてブレンドした、定番ワインです。おうちでの普段の食事と良く合う、お値ごろ価格と、やさしい果実味、なめらかな渋みが特長です。いろいろなシーンで自由におたのしみ頂ける手軽さが魅力のワインです。
チーズトーストと合わせると、元々まろやかなワインの味わいがさらにまろやかになる感じがありました。チーズトーストをシンプルな設計にしたからか、穏やかな渋みとやさしいチャーミングな果実味が特長の、軽いタイプのこの赤ワインと、味わいの強さが似ている感じがあります。ワイン自体にあるほんのりとした残糖の甘さと、食パンとチーズから感じる甘さとのバランスも丁度良く、とてもしっくりと来る相性になりました。日本人の日常の食卓のために開発された食パンとデリカメゾン。思想の共通点がこの何とも言えない一体感を生んでいる気がします。

フレシネ コルドン ネグロ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄色いリンゴ グレープフルーツ 食パン

香ばしさが共鳴する。一緒に食べる良さを感じる組み合わせ。

黒いボトルとラベルでお馴染みの、世界No.1※カヴァメーカー、フレシネ社の看板商品で、辛口カヴァの代名詞とも言える1本です。コルドン ネグロは「黒いリボン」の意味。シャンパンと同じ本格的な瓶内二次発酵製法でつくられた、しっかりとした辛口の味わいとリーズナブルな価格で、世界の食卓の定番となっています。
チーズトーストと合わせると、瓶内二次発酵製法というカヴァの魅力が強く引き出されてくる感じがありました。1本1本瓶の中で泡をつくるための二次発酵を行い、その滓と共に長期熟成(このワインの場合は18ヶ月間)させるカヴァには、そこから生まれるトーストを思わせる香ばしい風味があります。カリッと香ばしく焼き上げたトーストの風味とその部分が共鳴しあって、味わいが大きく広がる感じがあります。チーズのコクや旨味は感じられつつも、ワインが持つ柑橘を思わせる風味やしっかりとした酸味が後口を爽やかにしてくれるのも心地良く、一緒に食べる良さを強く感じる組み合わせでした。
※The IWSR 2020 スペインスパークリングワイン販売数量

サンタ バイ サンタ カロリーナ シャルドネ 2021

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 パイナップル バニラ

向いている方向が同じ。同じ風味を感じる組み合わせ。

お手軽価格としっかり満足の飲み応えで人気のサンタ バイ サンタカロリーナ。日本の食事によく合うチリワインを目指して、サンタ カロリーナとサントリーが共同で、しっかりと時間をかけて味わいの開発をしています。シャルドネは完熟の果実感とふくらみのある味わいが魅力。少しだけブレンドされたヴィオニエがまろやかなテクスチュアを与えています。オーク由来のヴァニラを連想させる甘い香りも含めて、とてもチーズと相性の良いワインだと思います。
チーズトーストと合わせると、果実のまろやかさが際立つ感じがありました。ワインに元々備わっているサワークリームやヨーグルトを連想させる香りが、チーズの乳の風味と合わさる事で強く訴えてくる感じがあります。トーストの小麦の甘さや、ワインが持っているリッチな果実味も相性が良く、ワインとチーズトーストの向いている方向が同じだなと感じる親近感のある組み合わせとなりました。パンの耳の香ばしさも心地よく後に残ります。

タヴェルネッロ オルガニコ サンジョヴェーゼ 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー ラベンダー ナツメグ

ワインの果実の甘さが一気に際立つ、素直に美味しい組み合わせ

世界No.1※イタリアワインブランド「タヴェルネッロ」の、オーガニックぶどう使用のシリーズ。美食の地エミリア・ロマーニャ州産のサンジョヴェーゼを100%使用。オーガニックらしい素直な果実味のやわらかな味わいが特徴です。今回は料理側がシンプルなので、あまり濃厚な赤ワインよりも、軽やかでやさしい味わいの赤ワインの方が合うのではないかなと思って選びました。
チーズトーストと合わせると、ワインの果実がキュンと甘く感じられるようになりました。ワインが持つ熟したプラムやベリー類を思わせるジューシーな赤果実感が強く前に出て来ます。サンジョベーゼは酸味が強いぶどう品種ですが、その部分をチーズのまろやかさとトーストの香ばしさが綺麗に包み込む感じで、とてもソフトでフワっと香りが膨らむ甘さ満載の組み合わせになりました。
※シンフォニーIRIグループ2020年12月報告データ(イタリアスーパーマーケット100㎡以上の規模における)

チャレンジまとめ

究極にシンプルな素材構成の一品なので、トーストの焼き方とチーズの溶かし方で全てが決まります。トースターの機種によっても焼き加減は異なりますので、何度か試しながらトーストはカリッと香ばしく焦げ目のついた焼き加減で、チーズにも程よく焼き色と焦げがつくベストの焼き方とタイミングを図ってみて下さい。一瞬の油断でトーストが焦げて、その香りが色々と台無しにしてしまうので、トースターの前で欠かさずチェックが必要です!
トーストとチーズの量のバランスも当然大切で、個人的には市販の6枚切りの食パン1枚に、スライスチーズ3枚(54g)がベストと思いましたが、お好みで調整頂ければと思います。チーズもシュレッドチーズでもお好みのナチュラルチーズでも好きなもので試して下さい。ブレンドも複雑さが増して良いと思います。ポイントは焼き方と配分です。パンも食パン以外でももちろん美味しいです。
カリッと焼けたトーストの食感と香りが、ワイン(特に赤ワインやリッチ系の白ワイン)と合う大事なポイントになって来ますので、焼けた後もお皿には載せず焼いたトースターの網の上で保持するとカリッと感が保てます(写真撮影のために今回は載せましたが、撮影してすぐに網に戻しました)。簡単だけど、悪くないワインのおつまみだなと思います。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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