チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

サンドイッチ ジャンボン フロマージュ

第75回 2021年03月

サンドイッチ ジャンボン フロマージュ

チーズの味わい

ジャンボン=ハム、フロマージュ=チーズ。フランスであればどこでも買える、ハムとチーズだけのサンドイッチ。パンはバゲットを使います。ハムはジャンボン・ド・パリ、チーズはコンテかグリュイエールが定番です。シンプルだからこそ、素材が全てを決めます。手に入る最良のバゲット、ハム、チーズ、バターで作ってみて下さい。

準備するもの
バゲット1/2本、ももハム2枚、チーズ(コンテ使用)50g、無塩バター20g

つくり方
(1)バゲットの真ん中に横に切り込みを入れる。
(2)チーズを薄くスライスする。
(3)バゲットに5等分したバターを置いていく(塗るよりも塊を置いた方がそれっぽくなる)。
(4)その上にハムとチーズを挟む。


よく合うワイン

デュック ド パリ ブリュット

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

レモン 青リンゴ 食パン

全体の味わいバランスが何ともピッタリ。軽やかに旨い組み合わせ。

デュック ド パリは「パリの公爵」という意味。凄そうな名前がついていますが、いたってカジュアルなお値段と味わいのすっきり辛口のスパークリングワインです。生産者はC.F.G.V.社。瓶内二次発酵と並ぶ、スパークリングワインの主要な製法の一つであるシャルマ法を開発した会社です。こちらもシャルマ法でつくられています。
カスクートと合わせると、サンドイッチのバゲットの香りがとても心地よく香ばしい感じで出て来ました。ワインの方はイキイキとしたフレッシュな果実味と、軽快な酸味が前面に出て来ます。パンの美味しさがとても良くわかるし、泡のスッキリ感が一口、また一口とサンドイッチを頬張らせます。何が美味しいと言い切る事が難しいのですが、全体の味わいバランスが何ともピッタリで、自然体の一体感を味わえと言った感じでしょうか。さすがはフランスを代表するサンドイッチと「パリの公爵」です。

ドメーヌ ド オーシエール オーシエール シャルドネ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

蜜リンゴ ミラベル/黄色すもも 杏仁豆腐

素材の味わいを素直に引き出す、理想的なマリアージュ。

ドメーヌ ド オーシエールはボルドー1級筆頭シャトー ラフィット・ロートシルトを要するドメーヌ バロン ド ロートシルトが、南仏ラングドックのコルビエールに所有するワイナリー。シャルドネは太陽を浴びすぎないように、わざと北向き斜面に植えられていて、南のシャルドネらしい熟した果実味を持ちながら、エレガントな味わいが特長です。
カスクートと合わせると、全体の味わいが一気に大きくなる感じがしました。ワインは元々の熟した黄色果実感に加えて、トロピカルフルーツを思わせるリッチな果実味が見えてきて、ボリューム感が出ます。コンテチーズのコク、バターの旨味、ハムの塩気と旨味、パンの香り、シンプルなそれぞれの素材のそれぞれの味わいとその一体感がこのサンドイッチの魅力ですが、その個々の風味をきちんと拡大しつつ、さらに一回り大きな味わいにこのワインがしてくれている感じがあります。素材の味わいを素直に引き出してくれる素晴らしい組み合わせでした。

レゾルム ド カンブラス ピノ・ノワール 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

プラム 梅干 チェリージャム

素直だけど、特にそれ以上でもない、可も不可もないマリアージュ。

新発売から3年で、すっかり定番商品の仲間入りを果たしたレゾルム ド カンブラスのシリーズ。全商品金賞受賞の信頼感と、南仏ラングドックの太陽を浴びたタップリの果実味を持った味わいが魅力です。今回試すのは、この3月から新たに加わったピノ・ノワール。複雑ではないけど、親しみやすくチャーミングな赤い果実感が魅力です。
カスクートと合わせると、このシリーズらしいワインの素直で甘い果実感がしっかりと出て来るのが感じられました。サンドイッチの方はと言うと、コンテチーズとハムの味わいがグッと前に出て来る感じです。ワイン単体で飲む時よりも、タンニンが少し目立ってくる印象があります。飲み応えを求めるという点では良いと言えるかもしれないですが、サンドイッチと合わせる事でワインが特別美味しくなるという感じも特にしない(逆もしかり)組み合わせと言えるかもしれません。悪くはないですが。

ジョルジュ デュブッフ ムーラン・ナ・ヴァン 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックベリー さくらんぼ 黒胡椒

次々と味の要素が顕れてくる、ほぼ完璧なマリアージュ。

クリュ・ボジョレーと呼ばれる、自らの村の名前を名乗る事が許された特別な10の村の一つがムーラン・ナ・ヴァン。「ボジョレーの王」の異名を持ち、ボジョレー地区のワインの中で、最も力強い果実味と、長期の熟成能力を持つとされます。ジョルジュ デュブッフ社でも、ムーラン・ナ・ヴァンは唯一樽熟成が行われ、力強さとのバランスを取っています。
カスクートと合わせると、口の中で複雑な一体感が感じられました。ハリのあるムーラン・ナ・ヴァンの果実味が、ハム(とても果実と相性が良い)の味わいにスッと寄り添っていく感じがあります。ハムの燻製のスモーキーさ&バゲットの香ばしさと、ムーラン・ナ・ヴァンにある黒胡椒を思わせるスパイシーさ&恐らく花崗岩土壌由来のスモーキーなタッチもまさにピッタリ。ワインの持っている味わいの要素が次々とあらわれていく感じに、ジャンボン・フロマージュとの相性の良さが感じられます。ほぼ完璧と言って良い組み合わせです。

チャレンジまとめ

バゲットをはじめとして、100%フランス的な素材で構成されたこのサンドイッチには、フランスのワイン以外は考えにくく、今回は全てフランスのワインで試す事にしました。素材としてはシンプルかつ、軽めで、ランチの定番というイメージですので、ワインの側もやや軽めで考えています。さて、このサンドイッチとは軽めのスパークリングワインも、カジュアルなシャルドネも相当に相性が良かったのですが、中でも完璧と思わせる相性を見せたのは、ムーラン・ナ・ヴァン。このワインのぶどう品種であるガメと豚肉加工品やカジュアルなチーズとの相性の良さは有名ですが、それらが組み合わさったこのサンドイッチは味わいの要素と言い、強さと言い、本当にピッタリでした。
思い出してみると、ジョルジュ デュブッフ社を訪問した際にも、いつもランチにはシャルキュトリー(ハムなどの肉加工品)&サラダと、チーズとパンのカジュアルな料理が出されます。そして、それらと数々のボジョレーのワインが本当にピッタリなんですね。ついついヌーヴォーに目が行きがちなボジョレーですが、普通のボジョレーやボジョレー・ヴィラージュ、そして今回のようなクリュ・ボジョレーはとても魅力的なワインたちで、ガメが年1度だけというのは勿体ない事だなと、僕は常々思っています。
お値段もそれほど高くはないですし、普段のワインの候補にボジョレーを入れて頂くと嬉しいなと思います。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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