チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

パプリカのチーズ&肉詰めロースト

第69回 2020年09月

パプリカのチーズ&肉詰めロースト

チーズの味わい

定番のパプリカの肉詰めにチーズをたっぷり入れました。
ごはんも加える事で、しっかり食べ応えのある1品になりました。

準備するもの
パプリカ(大)2個、チーズ(お好み)100g、牛ひき肉100g、たまねぎ1/2個、プチトマト4個、ごはん100g、オリーブオイル適宜、塩・こしょう適宜

つくり方
(1)パプリカの中身をくりぬく。
(2)たまねぎをみじん切りにして、挽肉の半量、半分に切ったプチトマトと一緒にオリーブオイルで炒める。塩、こしょうで味付けする
(3)(2)を残りの挽肉とごはん、細かく切ったチーズと混ぜ、(1)のパプリカに詰めて、200℃のオーブンで45分焼く。
(最初は上にアルミホイルをかけ、最後の15分は取って焼く)


よく合うワイン

カステルバロン ド レスタック ボルドー 白 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

グレープフルーツ ディル 樽

しっかり料理を受け止める。ボルドーブランのポテンシャルを知るマリアージュ。

バロン ド レスタックは、フランスNo.1ワインメーカーであるカステル社の看板商品。レスタックはカステルを逆から読んだアナグラムで、この商品へのカステル社の強い思いが伝わってきます。しっかり樽熟成をしたスタイルが人気ですが、近年果実味を綺麗に出す方向性に少しスタイルを変えつつあるように感じます。
パプリカの肉詰めと合わせると、ワインの柑橘系の甘さとフレッシュさをとても心地よく感じる事が出来ました。火が入って甘くなったジューシーなパプリカと、レスタックの熟した果実味がいい感じでマッチします。牛肉とチーズのコクの部分とは樽熟成したワインの真価が発揮される感じで、クリーミーさを出してしっかり受け止める感じ。料理の色合いからは赤ワイン向けと予測していましたが、白ながらこのワインもなかなか良く合います。ボルドーの白ワインの料理との相性の幅の広さにはいつも驚かされますが、今回もまた驚かされる結果になりました。
※フランス企業で2018年売上数量が最大(IWSR2019)

フォルタン ガイアコトー・デクサン・プロヴァンス 白 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■その他果実■メロン 百合 白胡椒

ワインとパプリカのほろ苦さを愉しむ。大人のマリアージュ。

南仏を代表するワイナリ―の一つフォルタンが、ミシュラン二つ星シェフのジャン・リュック・ラバネルと共同開発した、オーガニック&ヴィーガン認証のプレミアムライン。こちらはプロヴァンス西部のヴェルメンティーノ、グルナッシュ・ブラン、ソーヴィニヨン・ブランをブレンドした厚みのある味わいです。
パプリカの肉詰めと合わせると、ワインの酸味の部分が前面に出て来る感じがありました。味わいとしては。肉詰めの部分とはあまり反応しなくて、パプリカと強く反応する感じです。元々このワインはヴィーガン認証でもあり、野菜と良く合うというコンセプトで味わい設計されています。合わせてみてもその通りで、パプリカの持つ香りと、野菜独特のほろ苦い感じが、このワインの持つほろ苦い感じと調和して、大人のマリアージュをつくる感じがありました。このワインは野菜との相性が面白いので牛肉無しのパプリカとチーズのオーブン焼きの方が楽しめる結果になりそうでした。

レオナルドキャンティ リゼルヴァ 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー オールスパイス 鉄

しっかり肉感とワインの甘さ。飲み応えのあるマリアージュ。

イタリアワイン評価本「ガンベロロッソ」において、幾度もコストパフォーマンス賞に輝いた、レオナルド キャンティの上級版。フレンチオークの小樽で10ヶ月感熟成された、凝縮感と滑らかさを両立した味わいです。リゼルヴァには、通常のキャンティよりも長期熟成可能な質の高いぶどうが使用されます。程よい熟成感と元々の果実の力を感じて頂けると思います。
パプリカの肉詰めと合わせると、ワインのコクがグッとアップするのが感じられました。ワインの持つ程よい熟成感や、タールを思わせる独特のイタリアワインらしいコクに加えて、果実のふくらみや甘味がグッと増す印象があります。チーズのまろやかさや、牛肉の味わいも余韻に長く続き、味わいの伸びもとても好ましいものでした。しっかり肉の味わいを愉しめる飲み応えのあるマリアージュだと思います。キャンティらしい味わいもきちんと出て、その意味でもお互いを活かすマリアージュだと思いました。

サンタ カロリーナカルメネール レセルヴァ 2017

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

プラム ししとう コーヒー

色々な要素がピッタリ。全体のコクが出る素晴らしいマリアージュ。

サンタ カロリーナのプレミアムワイナリーから生まれる上級レンジ。個人的には、チリワインの本当の凄みが見えてくるのはこのクラスからだと思います。レセルヴァのラインナップの中で、特にワイナリーがこだわる品種がカルメネール。滑らかでよく熟した肉厚な果実感と、コーヒー豆的な香ばしい香り、パプリカ的な野菜っぽさという、異なった要素が綺麗に融合した、豊かな味わいが特長です。
パプリカの肉詰めと合わせると、ワインの果実の凝縮感がグッと高まる感じがありました。完熟のチェリーやプラムのリキュールを思わせるまろやかで甘いコクのある果実感が出て来ます。料理の方もパプリカと牛肉とチーズが一体となってワインと溶け合う感じがあり、ワインにほのかにあるパプリカの香りがまた料理とワインをつないでくれる感じありで、見事な一体感のあるマリアージュとなりました。元々、この回はこのワインがいいだろうとは思っていましたが、予想通りの大満足の結果となりました。

チャレンジまとめ

今月は夏の名残という感じでパプリカの肉詰めにタップリとチーズを入れました。詰め物をつくるのも簡単ですし、オーブンに入れておくと出来上がるので結構楽な料理です。パプリカと牛肉は相性が良い事で知られますし、そこにチーズとごはんが加わる事でボリュームとコクもアップ。メインになる一品が出来上がりました。
4つのワインを合わせてみましたが、最も良かったのはカルメネール。チリの濃密な赤ワインと牛肉の相性が良い事に加えて、カルメネールのパプリカを連想させる風味がお互いをグッと引き寄せる感じで、言う事無しの相性の良さでした。まさに「似た者同士は良い相性」。同一性の原理の良い具体例だと思います。以前にも書きましたが、チリではカルメネールは「野菜と合わせるワイン」というイメージがあるそうで、確かにカルメネールには野菜と共通する風味があるとあらためて思いました。
今回はパプリカを赤と黄色の二色でつくってみたのですが、赤ワインは赤のパプリカの方が相性美味しく感じ、白ワインは黄色のパプリカの方がより美味しい気がしました。このあたり、「料理の色とワインの色を合わせた方が合いやすい」というマリアージュの原則が関係している気がします。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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