チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ハチャプリ

第52回 2019年04月

ハチャプリ

チーズの味わい

ハチャプリはワイン発祥の地と言われる、ジョージアのチーズ入りのパンです。ジョージアでは各家庭で手作りするものだそうです。粉の甘さと香ばしさ&乳の甘さとまろやかさを愉しむ、素朴な味わいが魅力です。

準備するもの
 生地:小麦粉100g、ドライイースト2g、牛乳60CC
 中身:フェタ100g、モッツァレラ50g


つくり方
 小麦粉と牛乳、ドライイーストをこねて生地をつくる。生地を発酵させている間にチーズを細かくして手でボール状に成型する。薄く伸ばした生地でチーズを包み、円形に平たく伸ばす。油を引かないフライパンで片面5~7分くらいずつかけて、しっかりと両面を焼く。


よく合うワイン

ヴューパープ フランス 白

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 黄色いリンゴ 食パン

素朴だけど味わい深い。人の営みの歴史を感じるマリアージュ。

先月は赤が登場した、ワイン大国フランスの家庭で80年以上愛されてきた、フランス販売数量No.1ブランド※です。南仏のぶどうを中心につくられた、フレッシュな果実感とまろやかな酸味が特長の非常にバランスの取れた味わいです。単体でもおいしいですが、食事と合わせた時に本領を発揮する、懐の深い味わいを持っています。
ハチャプリと合わせると、ワインのフレッシュ感が際立つ感じがありました。「確かにワインは植物性のものなんだな。」と深く実感する、満開の白い花や熟した桃を思わせる香りが、口の中いっぱいに広がります。その後に遅れて出て来るハチャプリの生地の小麦粉の甘さとワインのまろやかさも心地よく、あっと言う間に両方がなくなっていきました。何千年も人はこうやってワインを飲んできたんだろうなあと思わされる、素朴だけどしみじみ味わい深い組み合わせでした。

※IRI FRANCE 2017データ フランス国内地理的表示のないワイン年間販売数量

ビービー グラーツ アンソニカ 2016
※終売しました

イタリア
ビービー グラーツ アンソニカ 2016※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

干しあんず キンモクセイ 生姜

鮮やかさとコクを感じる。双方の味わいに奥行きが出るマリアージュ。

ビービー グラーツがつくるオレンジ(アンバー)ワイン。トスカーナの地場白ぶどうであるアンソニカを、赤ワインの様に果皮と種も一緒に発酵させてつくられています。色は少しオレンジを帯びた深い金色。果皮からもたらされる複雑な香りと、種からのタンニンが感じられます。こちらは料飲店様専用の商品で、小売店さんでは購入出来ないのですが、ジョージアのハチャプリと合わせるのに、ジョージア発祥のオレンジワインをやらないわけにはいかないだろうという事で試してみました。
ハチャプリと合わせると、双方の味わいに奥行きが出るように感じました。元々はドライフルーツのタッチが強かったワインの果実感にフレッシュさが出るのに加えて、様々な自生のハーブを連想させるイキイキとした植物感も見えてきます。しっかりあるコクに加えて、鮮やかさも感じられるようになるのが印象的でした。ハチャプリはというと小麦とチーズの甘さに加えて、ワインをしっかり受け止める横に広がる強さが出てきました。素直に美味しい組み合わせです。

ジョルジュ デュブッフ ボジョレー 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■ベリー■いちご 赤い花 キャンディ

心地よい一体感。日常の食卓の喜びを感じるマリアージュ。

”ボジョレーの帝王”ジョルジュ デュブッフ氏がつくる、基本のボジョレー。日本ではボジョレーと言うと、ボジョレー ヌーヴォーの印象が強い方もいらっしゃるかと思いますが、こちらを飲んで頂くと、ガメというぶどうが持っている、軽やかさの中の奥行きみたいなものを感じてもらえるのではないかと思います。特に春先の少し浮き立つような気分とよく合うワインだと思います。
ハチャプリと合わせると、ワインの果実感と、ハチャプリのチーズ感が口の中で爆発する感じになりました。ワインが持つ鮮やかなイチゴを思わせる香りとチーズの乳の香りが一体となったフレッシュで甘い香りが口の中を満たします。ボジョレーの穏やかなタンニン感と、ハチャプリの中のフレッシュチーズの軽やかな乳脂肪との相性もバッチリで、ここに季節の野菜の煮込みと軽く焼いた鶏くらいあれば、個人的には完璧です。味わいの重さがピッタリで、日常の食卓の喜びみたいなものを感じる組み合わせでした。

ソラール ビエホ クリアンサ 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム 樽 ミックススパイス

ワインの力がしっかり見える、ふくらみのあるマリアージュ。

ソラール ビエホはスペインを代表する産地であるリオハのワイナリー。リオハ北部のリオハ アラベサに位置し、果実味のしっかりしたクリーンなスタイルのワインを産んでいます。クリアンサは樽熟成12ヶ月&瓶熟成12ヶ月のしっかりとしたコクを感じる味わい。果実味と樽とのバランスも良く、しっかりとした飲み応えを感じることが出来ます。
ハチャプリと合わせると、全体がまろやかにまとまる感じがありました。ワインのしっかりとした樽香が、ハチャプリ生地の麦の香ばしさと中のチーズの乳脂肪と合わさると、カフェラテを思わせる味わいが生まれます。タンニンも果実もまろやかになりつつ、ハチャプリと一体化して厚みが生まれる感じです。単純にワインとハチャプリの強さだけ考えると、ワインの方が強いにも関わらず、アンバランスさがなく自然な喜びを感じられる相性になるところにハチャプリの懐の深さを感じました。

チャレンジまとめ

今回はワイン発祥の地、ジョージアのチーズ入りパン「ハチャプリ」をつくってみました。生地からつくっても1時間もかからずに出来てしまいますし、自分の手でつくった焼き立てにはやはり買ってきたものにはない魅力があります。久しぶりに手でパン生地をこねましたが、こねるという作業にも喜びがあるし、パン生地が発酵して膨らんでいく姿も楽しいですね。今回、中身のチーズはジョージアのものに近いという事でフェタをメインに、少々のモッツァレッラを使用しましたが、市販の溶けるチーズでもいいですし、カッテージやクリームチーズなど、お好みのものを使って頂ければよいかと思います。ハチャプリのつくり方もインターネットに色々と出ていますので、参考にしてつくってみて下さい。
パンとチーズなので、ワインに合わないわけはなく、どのワインとも非常に良い相性を見せてくれました。ジョージアでは、ハチャプリをたっぷりの野菜料理と、串焼きにして炭火で焼いた肉類と、クルミのペーストなどと一緒に食べるそうです。そしてそこには、8000年の歴史を誇るジョージアのワインが常にあるそうです。そういう長い歴史が、ハチャプリとワインの素朴ながらしみじみと旨さを感じるところにはあるような気がしました。あと、手でパン生地をこねていると、いつもよりもゆっくりと時間が流れて、少し豊かな時を過ごしているような気持ちになりました。失敗もほぼしないと思いますので、是非試してみて下さい。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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