素朴だけど味わい深い。人の営みの歴史を感じるマリアージュ。
先月は赤が登場した、ワイン大国フランスの家庭で80年以上愛されてきた、フランス販売数量No.1ブランド※です。南仏のぶどうを中心につくられた、フレッシュな果実感とまろやかな酸味が特長の非常にバランスの取れた味わいです。単体でもおいしいですが、食事と合わせた時に本領を発揮する、懐の深い味わいを持っています。
ハチャプリと合わせると、ワインのフレッシュ感が際立つ感じがありました。「確かにワインは植物性のものなんだな。」と深く実感する、満開の白い花や熟した桃を思わせる香りが、口の中いっぱいに広がります。その後に遅れて出て来るハチャプリの生地の小麦粉の甘さとワインのまろやかさも心地よく、あっと言う間に両方がなくなっていきました。何千年も人はこうやってワインを飲んできたんだろうなあと思わされる、素朴だけどしみじみ味わい深い組み合わせでした。
※IRI FRANCE 2017データ フランス国内地理的表示のないワイン年間販売数量
ビービー グラーツ アンソニカ 2016
※終売しました
鮮やかさとコクを感じる。双方の味わいに奥行きが出るマリアージュ。
ビービー グラーツがつくるオレンジ(アンバー)ワイン。トスカーナの地場白ぶどうであるアンソニカを、赤ワインの様に果皮と種も一緒に発酵させてつくられています。色は少しオレンジを帯びた深い金色。果皮からもたらされる複雑な香りと、種からのタンニンが感じられます。こちらは料飲店様専用の商品で、小売店さんでは購入出来ないのですが、ジョージアのハチャプリと合わせるのに、ジョージア発祥のオレンジワインをやらないわけにはいかないだろうという事で試してみました。
ハチャプリと合わせると、双方の味わいに奥行きが出るように感じました。元々はドライフルーツのタッチが強かったワインの果実感にフレッシュさが出るのに加えて、様々な自生のハーブを連想させるイキイキとした植物感も見えてきます。しっかりあるコクに加えて、鮮やかさも感じられるようになるのが印象的でした。ハチャプリはというと小麦とチーズの甘さに加えて、ワインをしっかり受け止める横に広がる強さが出てきました。素直に美味しい組み合わせです。
心地よい一体感。日常の食卓の喜びを感じるマリアージュ。
”ボジョレーの帝王”ジョルジュ デュブッフ氏がつくる、基本のボジョレー。日本ではボジョレーと言うと、ボジョレー ヌーヴォーの印象が強い方もいらっしゃるかと思いますが、こちらを飲んで頂くと、ガメというぶどうが持っている、軽やかさの中の奥行きみたいなものを感じてもらえるのではないかと思います。特に春先の少し浮き立つような気分とよく合うワインだと思います。
ハチャプリと合わせると、ワインの果実感と、ハチャプリのチーズ感が口の中で爆発する感じになりました。ワインが持つ鮮やかなイチゴを思わせる香りとチーズの乳の香りが一体となったフレッシュで甘い香りが口の中を満たします。ボジョレーの穏やかなタンニン感と、ハチャプリの中のフレッシュチーズの軽やかな乳脂肪との相性もバッチリで、ここに季節の野菜の煮込みと軽く焼いた鶏くらいあれば、個人的には完璧です。味わいの重さがピッタリで、日常の食卓の喜びみたいなものを感じる組み合わせでした。
ワインの力がしっかり見える、ふくらみのあるマリアージュ。
ソラール ビエホはスペインを代表する産地であるリオハのワイナリー。リオハ北部のリオハ アラベサに位置し、果実味のしっかりしたクリーンなスタイルのワインを産んでいます。クリアンサは樽熟成12ヶ月&瓶熟成12ヶ月のしっかりとしたコクを感じる味わい。果実味と樽とのバランスも良く、しっかりとした飲み応えを感じることが出来ます。
ハチャプリと合わせると、全体がまろやかにまとまる感じがありました。ワインのしっかりとした樽香が、ハチャプリ生地の麦の香ばしさと中のチーズの乳脂肪と合わさると、カフェラテを思わせる味わいが生まれます。タンニンも果実もまろやかになりつつ、ハチャプリと一体化して厚みが生まれる感じです。単純にワインとハチャプリの強さだけ考えると、ワインの方が強いにも関わらず、アンバランスさがなく自然な喜びを感じられる相性になるところにハチャプリの懐の深さを感じました。