チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

レンジでアリゴ

第47回 2018年11月

レンジでアリゴ

チーズの味わい

フランス中南部、オーヴェルニュ地方の郷土料理。基本はじゃがいも+チーズの黄金の組み合わせ。つきたての餅のように伸びる出来たて熱々を頂く料理です。
本来は、アリゴと呼ばれるフレッシュタイプのカンタル(地元の名産チーズ)でつくりますが、今回は手軽にモッツァレッラと溶けるチーズを使っています。

準備するもの
じゃがいも中2個、モッツァレッラ1個、溶けるチーズ適量
 牛乳50ml、バターひとかけ、塩、こしょう、(お好みで)にんにく

つくり方
 洗ってラップで包んだじゃがいもを、レンジで柔らかくなるまで(3~4分)加熱する。皮をむいてつぶしておく。レンジで牛乳、バター、細かく切ったモッツァレッラ、溶けるチーズを加熱(2分程度)し、溶かす。そこにじゃがいも、塩、こしょうを加えて、糸を引くまで混ぜる。


よく合うワイン

ジョルジュ デュブッフマコン・ヴィラージュ ヌーヴォー 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄色いリンゴ ミラベル/黄色すもも 白い花

快感とも言えるテクスチュア。まろやかさ満載のマリアージュ。

ボジョレーの北側に隣接する、シャルドネ種からの白ワインで知られるマコネ地区のヌーヴォーです。もちろんこのワインもシャルドネ100%。ボジョレーでは新酒は赤ワインとロゼワインしか認められていないため、マコンの白がフランスの白の新酒の代表選手と言えると思います。もぎたてのリンゴのような清々しいフレッシュさが特長のワインです。
アリゴと合わせてみると、ワインの果実の香りが花開く感じがありました。果実のフレッシュ感はあくまで保ったまま、ワインのまろやかさとアリゴのまろやかさが一体化していって、快感とも言えるテクスチュアが口の中でうまれます。アリゴの最大の魅力とも言える、つきたて餅のようなテクスチュアを活かしてくれる、素晴らしい組み合わせだと思います。
※マコン・ヴィラージュ ヌーヴォーは実験時には解禁前のため、通常のマコン・ヴィラージュでマリアージュを試しています。

ジョルジュ デュブッフボジョレー ヌーヴォー 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■ベリー■いちご キャンディ バナナ

どこまでもフレッシュ。新鮮な果実味を堪能するマリアージュ。

毎年11月の第3木曜日に解禁になる、新酒の代表選手。ジョルジュ デュブッフはそのトップブランドです。 デュブッフ氏は、素朴な地酒でしかなかったボジョレーを世界に知られるワインにした功績から、「ボジョレーの帝王」と呼ばれています。もぎたてのベリー類を連想させる甘く華やかな香りと、軽やかでフレッシュな味わいは、この時期ならではの心浮き立つ味わいです。
アリゴと合わせてみると、イキイキとしたワインのベリーを思わせる香りが大きくふくらむ感じがありました。マコン・ヴィラージュ ヌーヴォーの時と同様に、アリゴにはワインのフレッシュな果実感を引き出す力があるように感じました。違いとしては、タンニンの部分で、アリゴの脂肪分をタンニンが吸収していくようなイメージで、あくまでもワインのフレッシュさが強調される印象の組み合わせでした。ヌーヴォーというフレッシュさを味わうためのワインのお供としては、最高と言えるかも知れません。
※ボジョレー ヌーヴォーは実験時には解禁前のため、通常のボジョレーでマリアージュを試しています。

サントリー 酸化防止剤無添加のおいしいワイン。ストロング 赤

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム 赤ぶどうジュース ナツメグ

まろやかさは出るけど、なんとなくもどかしいマリアージュ。

この秋新発売の、「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」 のストロングタイプです。アルコール分が14%と、通常の無添加の赤(11%)と比較すると高くなっており、果実味の強いタイプの原酒を使用する事で味わいにもコクとボリューム感を感じるつくりになっています。
アリゴと合わせてみると、ワインのまろやかなコクが強調される感じがありました。確かにストロングだなと思わせる、ゆったりとしたテクスチュアが口の中に広がります。アリゴの方はというと、他のワインと合わせた時にはあまり出なかった、乳製品の香り(チーズ、牛乳、バターと色々使ってるので)と味わいがしっかりと出てきました。それ以外の部分は何となく「つかず離れず」という感じで、あまり反応しません。ワインが”アルコール感はあるけど、渋さが無い”というあまりみないタイプなので、ちょっと思っていた(まろやかさ倍増という感じ)のと違う結果になりました。

ドメーヌ ド オーシエールオーシエール ルージュ 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム チョコレート クローブ

香ばしさは出るけど、苦味も出てしまう、微妙な感じのマリアージュ。

ドメーヌ ド オーシエールはドメーヌ バロン ド ロートシルト社が1999年からラングドック地方のコルビエールではじめたワイナリー。このオーシエール ルージュは、フランスでは珍しいカベルネ・ソーヴィニヨン60%にシラー40%のブレンド。ボルドーと南仏のDNAの融合という、このワイナリーの一つのテーマが見えてくる品種構成です。南仏の暑さを感じさせない、あくまで上品な味わいが印象的な1本です。
アリゴと合わせてみると、ワインだけでは感じられなかったコーヒーのような香ばしいコクが味わいに出てきました。程よいスパイシーさや、滑らかな果実味が強調されて、アリゴのまろやかさや乳脂肪のコクといい感じで一体感があります。ただ、一つだけ残念な事がありました。味わいの最後にタンニンから来る苦味が出てきてしまう点です。理由はわからないのですが、どうもこの苦味が引っかかります。アリゴは元々は肉料理の付け合せなので、このワインの場合はアリゴだけより、肉類と一緒に楽しんだ方がいいような気がしました。

チャレンジまとめ

ボジョレー ヌーヴォーの季節という事で、ボジョレーからもほど近いオーヴェルニュ地区の郷土料理であるアリゴをつくってみました。この地方には(あまり有名ではないですが)ワインもあって、白ワインはシャルドネ、赤ワインはガメが主体とボジョレーと同じぶどう品種からワインが生産されます。そういう事もあるのか、マコンとボジョレーとは抜群の相性を見せてくれました。
本来のレシピでは、よりコクのあるチーズを使う上に、にんにくのみじん切りも加えるので、より力強い味わいの料理と言えると思います。地元では焼いたソーセージや牛肉の付け合せとして出す事が多いようです。一部のレシピでは、ソーセージや肉を焼いた時に出る焼き汁を、このアリゴに加えるとありました。確かに美味しそうですね。個人的にはアリゴは焼きソーセージとクレソンを添えて食べるのが好きです。
伝統料理というイメージがあって、なかなか自分でつくる事はなかったアリゴですが、今回電子レンジでつくってみると、思った以上にあっという間に簡単に出来上がりました。冷めると伸びや食感が悪くなって魅力が落ちるので、アリゴは他の用意が整ってすぐ食べられる状態になってから仕上げをして下さいね。熱々のアリゴは本当に美味しいです。冷めてしまったら、少し牛乳を足して電子レンジで温めなおすと、それなりに復活します。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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