チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ゴルゴンゾーラ ディップ

第42回 2018年06月

ゴルゴンゾーラ ディップ

チーズの味わい

ゴルゴンゾーラチーズにクリームを混ぜて、特有の香りや塩味の強さをまろやかにしたディップです。パンに塗ったり、野菜につけたり、焼いた肉につけたりと幅広く愉しめます。

準備するもの
 ゴルゴンゾーラチーズ、サワークリーム(クリームチーズ、ヨーグルトなどで代用可)、お好みでパン、野菜など

つくり方
 常温に戻して柔らかくしておいたゴルゴンゾーラチーズにサワークリームを混ぜてペースト状にする。パンや野菜につけながら食べる。チーズとクリームの割合は1:1で実験しましたが、混ぜる割合はお好みで変更して下さい。


よく合うワイン

ヤルンバ ワイシリーズソーヴィニヨン・ブラン 2017

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

グレープフルーツ 青草 キウイフルーツ

お互いの長所を消し合う、もったいないマリアージュ。

オーストラリアのワイナリーオブザイヤーを獲得した※ヤルンバの入門シリーズ。ソーヴィニヨン・ブランらしい少し青草を思わせる植物感とフレッシュなグレープフルーツ系の柑橘のタッチが綺麗に混ざった、派手すぎない上品な味わいが魅力的です。
ディップと合わせると、不思議と両方の特長が消えてしまうような感じになりました。ソーヴィニヨン・ブランの爽やかさはディップのクリーミーさに包み込まれて勢いを失い、青カビの香りはワインの青草や柑橘の香りに押されてあまり前に出てこれません。不思議と双方がぼんやりとした特長のないものになってしまう組み合わせでした。それぞれ単体だと美味しいのに、合わせると良さが消えてしまう、ワインと食べ物の相性の難しさを改めて感じるマリアージュでした。
※マシュー・ジュークス著「100のベスト・オーストラリア・ワイン」2015/16版

ファルケンベルグリープフラウミルヒ 2017

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

白桃 白い花 はちみつ

フレッシュさや香ばしさが強調される、躍動感のあるマリアージュ。

3回目の登場。ドイツワインを代表する銘酒「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」の元祖です。フルーティで甘酸っぱい、キュートな味わいです。ヤルンバとの味わいの大きな違いは、こちらは少し糖分が残った、ほのかな甘口タイプである事です。(ヤルンバは辛口)。
ディップと合わせてみると、お互いの味わいが大きくふくらんでいく魅力的な相性となりました。ワインの白桃のような果実感はディップの滑らかさと相乗してトロリとしたコクを感じさせるようになり、ディップの青カビの香りがクセではなくて、複雑さを与える感じで口の中に広がります。ワインの甘さも、ディップの塩味を引き立てる感じで、すごく良い相性だと思いました。
ディップに少しはちみつをかけてあげると、これがまた抜群に合います。

ダークホースピノ・ノワール 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム ラズベリー 赤いバラ

ワインの味わいが引き締まる、変化を愉しむマリアージュ。

「常識破りで予想外。驚きの濃い旨ワイン。」がコンセプトのダークホースブランドの新商品。高温浸漬や他品種(グルナッシュなど)とのブレンドなど、通常のピノ・ノワールでは行わない製法を採用しています。まろやかで、果実味豊かな味わいです。
ディップと合わせると、ワインの味わいに引き締まった感じが出てきました。元々はカリフォルニアらしいやわらかで甘い感じの果実感が前面に出たワインなのですが、ディップと出会う事で、奥に隠して出さないようにしていた渋みや、見えなかったけど実は存在していた硬めのミネラルの感じなどが引き出されてきます。ディップの方はその変化に余裕を持って対応している感じで、クリーミーさも青カビの香りもきちんと過不足なく出してくれる印象でした。味わいに変化があって、複雑さが出るので僕は結構好きな組み合わせでした。ただ、ワインの果実味をストレートに楽しむという感じではなくなるので、好みの分かれるマリアージュと言えるかもしれません。

イースト インディア
マデイラ ファイン・ドライ

ポルトガル
イースト インディアマデイラ ファイン・ドライ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

オレンジリキュール クルミ 干しあんず

マデイラとディップの一体感が凄い!ピッタリのマリアージュ。

大西洋に浮かぶ絶海の孤島、マデイラ島(ポルトガル領)でつくられる、世界3大酒精強化ワインの一つです。わざと加熱しながら熟成するという特殊な方法で生産される個性のある味わいです。ドライフルーツやブランデーを思わせる深いコクと、加熱熟成から生まれるナッツのような香ばしさが特長です。
ディップと合わせると、マデイラとの物凄い一体感を感じました。酒精強化であるマデイラはアルコール度数が19%あるので、それによる口の中があたたまる感じと、クリーミーなディップが溶けていく感じがたまりません。マデイラにあるクルミの感じと、青カビの相性も良く(ディップにクルミを混ぜても美味しいと思います)、何と言うか本当にピッタリの感じがあります。普段から家でマデイラを飲んでいる方は殆どいないと思いますが、正直ビックリするくらいよく合うので、是非お試し下さい。

チャレンジまとめ

青カビはクセと塩味が強いので、それをクリームでやわらげたディップです。色々なものに合わせやすく、つくるのも簡単で、作り置きも出来るので(一週間冷蔵庫で保存して試してみましたが全然大丈夫でした)、便利なおつまみになると思います。
実はサワークリーム以外でも幾つかディップを試してみたので、その味わいの違いもご紹介します。

サワークリーム以外に、クリームチーズ、ヨーグルト、リコッタチーズでも試してみました。僕はサワークリームでつくるタイプが一番ワインに合うように思いましたが、それぞれ味わいに違いが出ますので、お好みで混ぜる相方を選んで頂ければと思います。野菜を合わせるなら青カビを多めに、パンならクリームを多めにが良いかと思います。

■サワークリーム:程よくディップの感じになる。クリームの酸味によって味わいが軽く、爽やかな感じになる
■クリームチーズ:食感が滑らか、青カビチーズのコクや塩分が最も感じられる。
■ヨーグルト:少し混ざり合いにくい。水分の少ないタイプ(ギリシャヨーグルトなど)を使うとベター。何故かわさび漬けのような味わいに・・・。それはそれで、美味しいですが。
■リコッタチーズ:ポロポロした質感が、ゴルゴンゾーラと混ざり合わず、見た目があまり良くない。味わいは乳の甘さを強く感じて、とても食べやすい

パンとも美味しかったですが、野菜との相性がとても良いディップだと思いました。色々合わせたのですが、特にブロッコリーやカリフラワー、茹でキャベツなど、キャベツの仲間との相性が抜群でした。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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