焼きカプレーゼ
第39回 2018年03月
チーズの味わい
カプレーゼの温かい版です。焼く事でカプレーゼよりも香りが良く出て、トマトの味わいが凝縮されます。モッツァレラの良く伸びるという特性もしっかり愉しめます。
材料
トマト(写真ではミディトマトを使用)、
モッツァレラチーズ、バジル、塩、オリーブオイル
つくり方
切ったトマトとモッツァレラチーズを重ねて、耐熱皿に並べ、上から塩とオリーブオイルをかけて、チーズがトロリと溶けるまでオーブントースターで焼く。焼けたらバジルをのせる。
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チーズとワイン
気軽にマリアージュ
カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します
第39回 2018年03月
カプレーゼの温かい版です。焼く事でカプレーゼよりも香りが良く出て、トマトの味わいが凝縮されます。モッツァレラの良く伸びるという特性もしっかり愉しめます。
材料
トマト(写真ではミディトマトを使用)、
モッツァレラチーズ、バジル、塩、オリーブオイル
つくり方
切ったトマトとモッツァレラチーズを重ねて、耐熱皿に並べ、上から塩とオリーブオイルをかけて、チーズがトロリと溶けるまでオーブントースターで焼く。焼けたらバジルをのせる。
ボルドーのメドック地区格付け1級筆頭のシャトー ラフィット・ロートシルトを擁する、ドメーヌ バロン ド ロートシルト(DBR)社がつくる、上品な味わいのボルドーブランです。ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンに少量のソーヴィニヨン・グリが絶妙にブレンドされた落ち着いた味わいです。派手なタイプではないのですが、色々な料理にスッと寄り添ってくれるいぶし銀の1本です。
焼きカプレーゼと合わせると、ワインの味わいがシャープな印象に変化しました。トマトの酸味がワインの酸味を強く引き出し、バジルの香りがワインのソーヴィニヨン・ブラン由来の青草のような香りを強調します。穏やかな印象だったワインの味わいが、イキイキとしたフレッシュさが前面に出た爽やかでキレのある味わいに変化しました。焼きカプレーゼの方はというと、トマトとバジルの爽やかな味わいを、モッツァレラチーズが優しくまろやかにまとめてくれる印象で、素直に美味しいと思えるものでした。野菜&ハーブとソーヴィニヨン・ブランの反応を愉しむ組み合わせと言えるのではないでしょうか。
型やぶりの味わいで人気のダークホースブランドからの新商品です。こちらはグルナッシュを主体にしたプロヴァンススタイルのしっかり辛口のロゼワイン。プロヴァンス的なオレンジの皮を思わせるホロ苦さと、カリフォルニア的なボリュームのある果実味の両方を感じられるのが魅力です。
焼きカプレーゼと合わせると、ワインの味わいがキュッと引き締まる感じになるのが印象的でした。塩っぽい、いわゆるミネラル感というものが前に出てきて、酸味もフレッシュに感じられます。辛口ロゼらしい、程よい厚み感は維持しながらイキイキとした躍動感の出る、かなり良い組み合わせだと思います。カプレーゼの方も、ワインにあるトマトを思わせるフレーバーと実際のトマトの味わいが一体化していく感覚がとても心地よく感じられました。味もカプレーゼの塩っぽさや、バジル、オリーブオイルという要素とワインのオレンジ的な風味を含めて、地中海的な味わいを強く感じるマリアージュでした。
ボジョレーの帝王、ジョルジュ デュブッフ氏がつくる、まさにボジョレーという産地とガメというぶどう品種の基準となるワインです。いちごや小さな赤い花を連想させるチャーミングな香りと、イキイキとした軽やかな果実味が魅力の、カジュアルな赤ワインの代表のような1本です。飲むとほんわりした気分になる、春にピッタリのワインでもあります。
焼きカプレーゼと合わせると、不思議とワインの味わいに重さが生まれて、コクを感じるようになりました。鍋で軽く煮たさくらんぼや、ラズベリージャムなどを思わせる甘い果実感に加えて、ほんのりとタールっぽさや、甘いクローブなどのスパイスを連想させる香りなども感じられます。焼きカプレーゼの方は、トマトの酸味と、モッツァレラの甘い乳の香りがあまり融合しなくて、どうもバラバラな感じの味わいになってしまうのが少し残念でしたが、こちらもどちらかというと、トマトの旨味がしっかりと後まで感じられます。ワインとカプレーゼと双方に強さの出るマリアージュと言えるかと思います。
サンタシリーズから発売になったばかりの新商品。今回は、ボルドーの赤ワインなどで定番の、メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドです。この2品種はお互い足りないところを補いあい、良いところを引き出す、ピッタリの相棒。王道の組み合わせが生み出す、安心感のある味わいが特長です。
焼きカプレーゼと合わせると、カベルネ一族(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、カルメネールなどはDNAの近い同じ系統のぶどう)に共通する、清涼感のある味わいが強く出て来るようになりました。おそらくトマトとバジルとオリーブオイルに反応しているのだと思います。個人的にはこの清涼感こそが、カベルネ・ソーヴィニヨンを世界で最も人気のあるぶどうにしたと個人的には思っていますので、この感じが出て来るマリアージュは大歓迎です。そして、そこで終わらず中盤からはトマトの旨味や、モッツァレラの乳脂肪分の甘みや厚みを受けて、ワインのボリュームもしっかりと出てきます。焼きカプレーゼとの味わいの相乗感も程よくて、しっくりと来るマリアージュでした。
カプレーゼの温かい版である焼きカプレーゼ。やってみると、通常のカプレーゼとはまた違った良さがあると思いました。なんと言っても、トマトに火が入る事で味わいが凝縮され、甘さが増すところが良くて、これによってそこそこの強さのある赤ワインにも負けないだけの味わいの濃さをカプレーゼが持つ事になります。モッツァレラも熱々のトロリとして伸びる感じだけではなく、冷めても生の時とは異なるシコシコとした強い噛み応えが出てきて、これはこれで魅力的だと感じました。
実際にワインと合わせてみると、モッツァレラよりもトマトとバジルが強く出て来る事が多い感じでした。モッツァレラは癖のないチーズなので、ワインとトマト&バジルを結びつける役目という感じです。そして相性が良かったのは、野菜的なフレーバーを持つソーヴィニヨン・ブランやカベルネ系のワインと、トマト的なフレーバーを持つプロヴァンススタイルのロゼでした。「似たもの同士は良い相性」という、マリアージュの一つの鍵を改めて実感したテイスティングでした。
柳原 亮 (やなぎはら りょう)
野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。
(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝