素直に馴染みながら味わいを膨らませる、とても良いマリアージュ。
最も有名な辛口白ワインの一つである「シャブリ」の典型と言われるワインです。清々しい柑橘類のタッチと土壌を感じさせるスモーキーな香り。くっきりとした酸と豊かなミネラル感のうまみを感じる味わい。余韻が長く、もう1杯飲みたくなる深い味わいが特長です。
チーズと合わせてみると、ワインの味わいに深みや広がりを感じるようになりました。ワイン単体だと、引き締まった酸味や、土壌から来る石のような硬いフレーバーが目立つのですが、チーズと一緒になると、洋梨やフランスパン、少しゴマ油のような香ばしい感じが出てきます。通常のシャブリではなく、格上で高価な1級のシャブリを味わっているかのような満足感が得られました。シャブリ独特のスモーキーなフレーバーやピュアな酸味はしっかりと残しながらの味わいの広がりで、その点も大満足です。
チーズのクセのある香りもワインの香りとスッと溶け合う感じで、ふくらみつつ馴染む、とても良いマリアージュでした。
派手さはないが、しっとりとした趣きのあるマリアージュ。
21世紀のシンデレラワイン “テスタマッタ” を手がけた鬼才 ビービー グラーツがつくる定番ワインです。ヴェルメンティーノ種を主体にトレッビアーノ種とモスカート種をブレンドした華やかでフレッシュな味わいが特長です。あえて複数年のワインをブレンドして複雑さを出しているため、ラベルにヴィンテージ表記がありません。
チーズと合わせてみると、ワインの重さやコクがグッと引き出されて、力強い味わいに感じられるようになりました。充実した完熟の黄桃や杏、コクのあるハチミツ、ギュッと引き締まった凝縮した果実感などで、単体でワインを飲んだ時よりもワインの味わいの集中度が増す感じで、ワイン的にはかなり好印象な組み合わせです。チーズ側は少し引いた感じはありますが、熟成によるマッシュルームの香りや、滑らかな旨味を出してきてくれました。派手さはないですが、秋らしいしっとりとした趣きのあるマリアージュだと思います。
悪くないけどしっくり来ない、時間軸のズレを感じるマリアージュ。
「楽しいときに花をそえて」をコンセプトにした新商品です。ワイン名の「フロリア」は、花のような(フローラルな)、オーストラリアワインからの造語で、ラベルにも花束をデザインしています。スパイシーなシラーズに白ぶどうのヴィオニエ種をブレンドすることで、なめらかかつ華やかさのあるワインに仕上げています。
チーズと合わせてみると、ワインの華やかで果実感タップリの香りとチーズの動物的な香りとがややぶつかるような印象を受けました。フレッシュでフルーティな若々しさタップリのワインの時間軸と、熟成によって複雑な旨味を醸しだしている落ち着いたチーズの時間軸にギャップを感じてしまいます。別に何か悪い感じの味が出てくるわけではないにもかかわらず、しっくりとこないもどかしさを感じる組み合わせです。例えるなら、年の差カップルのジェネレーションギャップという感じになるでしょうか。お互いに気も遣っているし、破綻はしないのですが・・・。
お互いが力強く主張し合う、ガチンコ勝負的なマリアージュ。
世界に名高いブルゴーニュの赤ワインの中でも特に有名な村の一つがジュヴレ・シャンベルタン。ナポレオンが愛した事でも知られる、骨格のしっかりした力強い長期熟成型のワインが生まれる産地です。ブシャール社のワイン調達責任者であるジェラール アーセンドゥー氏がセレクトしたワインを使用した、特別な1本です。
チーズと合わせてみると、ワインとチーズがそれぞれ力強く主張しあう、個性派同士のガチンコ勝負的なマリアージュになりました。ワインのバラを思わせる香りがよりゴージャスに、果実味はより深く甘みを増し、この産地らしい大地を思わせるフレーバーやガッチリした骨格が際立つ感じになりました。チーズはチーズでより香り複雑に、微妙な熟成のニュアンスを全面で出してきます。お互いの味わいを引き出すという意味ではとてもいいマリアージュなのだと思いましたが、現時点では口の中が色々な香りでいっぱいになってしまって、少し落ち着かないのも事実です。十分に美味しいんですけどね。