チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

日清フーズ
青の洞窟
カーチョ・エ・ペペ

第30回 2017年06月

日清フーズ<br>青の洞窟 <br>カーチョ・エ・ペペ

チーズの味わい

イタリア語でカーチョはチーズ、ペペは黒こしょうのこと。ローマ発祥のシンプルだけど、味わい深いパスタです。
オリジナルメニューでは羊乳のペコリーノ・ロマーノチーズと黒こしょうだけでつくられますが、この青の洞窟シリーズでは、パルメザン、ペコリーノ・ロマーノ、ゴルゴンゾーラ、マスカルポーネの4種のチーズを使用し、食べやすくかつ複雑な味わいを実現しているように思います。
チーズのコクを楽しめるように、パスタは少し幅広で噛み応えのあるトレネッテで試しました。
もちろん普通のスパゲッティでもとても美味しく楽しめると思います。


よく合うワイン

サントリー 氷と楽しむおいしいワイン。(酸化防止剤無添加)濃い白

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 黄色いリンゴ 蜜蝋

カジュアルに楽しみたい、肩肘張らないマリアージュ。

氷を入れても味わいのバランスが崩れず、最後まで美味しい状態が続く白ワインです。フルーティですっきりとした口当たりですが、氷を入れて楽しむために、通常の酸化防止剤無添加の白と比べると、全体の味わいはやや濃いめ。
パスタと合わせてみると、チーズのコクによってワインの果実味が引き出されて厚みのある味わいをつくりだしました。また、しっかりチーズだと蒸し暑い時期にはやや重く感じられてしまうところが、氷でキンキンに冷えた白ワインの爽やかさで、後味サッパリに感じられます。気軽で素直な感じの、悪くない相性だと思いました。
ただ、ワインがチーズの強さに負けがちなのと、黒こしょうの良さをあまり引き出さないのが少しマイナスポイントです。シンプルなパスタだけに、素材のそれぞれの良さは出てきて欲しいと思いました。でも、カジュアルにお昼ごはんなどで楽しむのであれば、全く違和感なく楽しめる組み合わせです。

フレシネ アイス キュベ エスペシアル

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 マンゴー みかんの花

ただ素直に感じればいい。しっくりとくるマリアージュ。

世界No.1※カヴァ フレシネから新発売になった、氷を入れて楽しむためのカヴァです。通常のカヴァのぶどう3品種(マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ)に加えてシャルドネを使用したり、専用酵母を開発したりと随所に氷と楽しむための工夫がしてあります。氷を入れても薄まらないよう、門出のリキュールもしっかり入ったコクのある味わいです。
パスタと合わせてみると、なんというか「しっくり」とくる相性でした。特に味の変化が凄く出るというわけではないのですが、ワインとパスタの味わいの強さが本当に丁度いい感じです。冷たいワインと温かなパスタの味わいのコントラストも心地よくて、思わず「もう一口」いってしまう魅力のある組み合わせです。僕はいつもマリアージュの際には「どこが合ってるのかなー?」と考えるクセがあるのですが、「理屈はいいから楽しめば」と言われているような組み合わせでした。美味しいです。

※The IWSR 2016 スペインスパークリングワイン販売数量

ジョルジュ デュブッフフルーリー 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ラズベリー 赤い花 さくらんぼ

最初から最後まで滑らかさを感じるマリアージュ。

フルーリーはクリュ・ボジョレーと呼ばれるボジョレー地区最高の10の村の一つ。「ボジョレーの女王」と呼ばれる、10の村の中でも最もエレガントで球体のようなバランスを感じさせる味わいをうむ村です。ジョルジュ デュブッフ氏が最も高く評価する村でもあります。2015年ヴィンテージからラベルがフルーリーの畑の風景になりました。見えている建物はフルーリーの聖母教会です。
パスタと合わせてみると、ワインの滑らかさと芯のミネラルのタッチがグッと引き出される感じになりました。2015年のこのワインは、あまりに良い年であったがゆえに現時点ではやや硬い印象が否めないのですが、チーズの乳脂肪分がその硬さをまろやかにしてくれて、近づきやすくしてくれます。フルーリーらしい整った形を崩さずに、パスタがそっと寄り添ってくれる感じで好印象です。黒こしょうの香りもアクセントとして綺麗に出てきて、余韻まで滑らかな組み合わせでした。

レオナルド キャンティリゼルヴァ 2012

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム ■動物■なめし皮 鉄

華やかさが広がる、格上ワインと合わせているようなマリアージュ。

イタリアワイン評価本「ガンベロロッソ」において、幾度もコストパフォーマンス賞に輝いた、レオナルド キャンティの上級版。フレンチオークの小樽で10ヶ月感熟成された、凝縮感と滑らかさを両立した味わいです。2012年は、まさに飲み頃の色気が漂っています。
パスタと合わせてみると、ワインの華やかさが一気に広がる感じになりました。チェリーリキュールや少ししおれた大輪のバラ、クコの実などを思わせる甘い香りが口の中いっぱいに広がります。それなりに強さのあるワインなので、単体で飲むとしっかりとしたタンニンや、引き締まったボディを感じるのですが、これがパスタと合わせると、一気に滑らかで華やかな広がりを見せます。余韻にもカフェオレやチェリーパイ的なコクのある甘香ばしさや、熟成から来る複雑な香りが強く出てきて、格上ワインと合わせているような趣がある組み合わせでした。

チャレンジまとめ

何度も試していることなのですが、改めてチーズ+小麦+ワインの相性の良さを思い知らされる結果となりました。小麦(パンとかクラッカーとかパスタとか)を入れる事で、チーズとワインをうまくつないでくれますし、味わいに広がりが出ます。
今回はソースがチーズと黒こしょうだけという非常にシンプルなパスタだったので、そのことをより痛感しました。シンプルだからこそ感じる、「しみじみとした旨さ」が、このパスタとワインの間にはあるように思います。現地ローマでは合わせる定番はやわらかな酸味の白ワインですが、カーチョ・エ・ペペはスッキリとした白ワインからしっかりめの赤ワインまで、幅広く満足させる懐の深さのあるパスタだと感じました。
そして、マリアージュを考える時の一つの方法として、「土地の料理にはその土地のワインを合わせる」というのがあります。長い時間をかけてその土地で淘汰されながら、その土地の人々に愛され続けてきた料理とワインはおのずと良いマリアージュを見せるハズという考え方です。キャンティの故郷トスカーナとカーチョ・エ・ペペの故郷ラツィオ(ローマのある州)は実は隣同士。ぶどう品種などにも共通点があります。こういったところも、今回キャンティが最高点だった理由があるような気がしました。


■ 関連サイト
日清フーズ 青の洞窟 カーチョ・エ・ペペ(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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