チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ゴルゴンゾーラ ピカンテ

第32回 2017年08月

ゴルゴンゾーラ ピカンテ

チーズの味わい

フランスのロックフォール、イギリスのスティルトンと並ぶ世界3大ブルーチーズの一つで、イタリア北部のピエモンテ州とロンバルディア州でつくられています。
ゴルゴンゾーラチーズには、青カビが少なめでマイルド&クリーミーな「ドルチェ(甘口)」と、伝統的な製法でしっかりと青カビが入り、強い刺激を持った「ピカンテ(辛口)」の2つのタイプがありますが、今回はよりブルーチーズらしい風味を感じられるピカンテで試しました。
特徴のある香りと、強めの塩分、刺激的な味わいに合わせるために、ワインも味わいが強めのものを中心に選んでいます。


よく合うワイン

アスティ タヴェルネッロ ドルチェ※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

マスカット みかんの花 はちみつ

お互いの魅力を引き出しあう、素晴らしいマリアージュ。

世界で一番売れているイタリアワインブランド※タヴェルネッロから、優良区画のぶどうの手摘みにこだわったハイクオリティ アスティが登場です。フレッシュで華やか、フルーティな甘さが魅力的です。
チーズと合わせてみると、ワインのマスカットや花のフレッシュな印象の香りが際立ちました。マスカットから発展して、美味しいメロンを食べているかのようなジューシーな果実味が感じられてとても魅力的です。ゴルゴンゾーラが口の中で溶けていく感じと、アスティのふんわりとした泡立ちの相性も心地よく、当たり前のように両者が馴染んでいく心地よさがありました。青カビのクセやアスティの甘さは単体だと少し気になる事もあるのですが、2つを合わせる事でお互いの味わいが呼応して美味しさを高めあってくれる感じの、素晴らしいマリアージュです。
※IMPACT DATABANK 2016 EDITIONより

ラ シャス コート デュ ローヌ 白 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 白胡椒 蜜蝋

チーズがワインを圧倒してしまうマリアージュ。味の方向性は似ているが・・・。

南フランス、コート・デュ・ローヌ地方の辛口白ワインです。ぶどうはグルナーシュ・ブラン、ブールブーラン、クレーレット、ルーサンヌなどのブレンド。南の産地らしい、穏やかな酸味と豊かなコク、ほろ苦い余韻が特長の辛口白ワインです。
チーズと合わせてみると、ワインのまろやかさや豊かな果実味が強調される感じになりました。柔らかな質感のゴルゴンゾーラと、ローヌの白ワインらしいまったりとしたテクスチュアも共通性があり、口の中での味わいの前半部分はとても心地よく進んでいきます。ただ、味わいの後半に差し掛かるとチーズの味わいの強さがどんどん前に出てきて、ワインの果実味を覆い隠してしまう感じで、お互いの味わいの強さにアンバランスを感じる(ゴルゴンゾーラの方が強い)のが少し残念でした。余韻に青カビの少しクセのある苦味が強めに出るのも気になりました。

カーニヴォ ジンファンデル 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム チョコレート バニラ

主張はし合うけど相手には合わさないマリアージュ。

肉専用黒ワイン「カーニヴォ」からジンファンデルが新登場!あたたかな太陽を感じさせる濃密で力強い果実感と、まろやかな酸とタンニンが特長の包み込むような味わいです。カベルネ・ソーヴィニヨンよりも柔らかさやコクを全面に感じる味わいになっています。
チーズと合わせてみると、不思議とちぐはぐな感じになってしまう印象を受けました。ゴルゴンゾーラの乳の香りが少し獣臭い印象を帯びて粗い印象になってしまい、カーニヴォの方も単体では感じないビターチョコレート的な苦味を果実味よりも強く感じます。味わいの方向性(力強さや素材の甘さ)は似ているし、ワインとチーズの強さ感も近いと思うのですが、「お互いに言いたいことだけ言い合って、相手の言う事は聞かない夫婦」みたいな寂しい感じのするマリアージュになってしまいました。
「結構似た物同士だと思うし、なんとかならないのかなー、勿体無いなー」と思って、たまたま近くにあったクルミレーズンパンと一緒に合わせてみたらドンピシャで、もの凄く一体感が出て素晴らしいマリアージュとなりました。仲介者がいてはじめて仲良くなれるマリアージュもあるというのがなかなか深いなと思います。評価はもっと仲良くなれるはずという、今後に期待した点数になっています。

サンデマン ルビー ポート

フランス
サンデマン ルビー ポート

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

イチジク オレンジリキュール ナツメグ

定説通りの素晴らしい一体感。文句なしのマリアージュ。

第27回でも登場した甘口の酒精強化ワインです。ルビーポートとブルーチーズ(特にイギリスのスティルトンチーズ)の相性の良さは有名なので、それを実際に確かめるために再登場してもらいました。
チーズと合わせてみると、さすがに前評判通りの一体感を感じることが出来ました。ポートワインのあたたかな果実感と酒精強化ならではの高めのアルコール度数(19%)によるトロリとしたテクスチュアと、口の中でホロリと溶けていくゴルゴンゾーラの柔らかさの感覚がほぼ同じで、ボリュームをつくりながら口の中で広がっていく感じが快感といっても良い感じです。ドライフルーツとブルーチーズはとても相性が良い組み合わせなのですが、ルビーポートにはレーズンやドライプルーンを連想させる凝縮した果実味があるので、それもまたこのワインとこのチーズとの相性の良さにつながっていると思います。ブルーチーズというクセのある素材を完璧に受け止めるだけなく、自分もしっかり美味しくなるルビーポート、さすがです。普段、家でルビーポートを常飲されている方はほぼいらっしゃらないと思いますが、食事の後にブルーチーズとチビチビ飲むのには最高だと感じました。通常のワインより保存性もよく、お料理のコク出しにも広く使えるルビーポート。是非お試しを。

チャレンジまとめ

ブルーチーズと言えば甘口のワインかフルボディの赤ワインを合わせるというのが定説です。今回はそれを実際に確かめるべく、しっかりめのワインを中心にマリアージュ実験をしてみました。
まずは甘口との相性ですが、そのままだとクセが強いブルーチーズと、甘さが重さにつながる事もある甘口ワインを合わせた時の、味わいの広がりや美味しさというのは、本当に素晴らしいものがありました。「甘口ワインとブルーチーズ」という組み合わせは、ワインと食べ物の相性を考える時に、一番手軽に感じる事の出来る「ワインと食べ物が合う」というマリアージュ体験になるのかも知れないなと思うくらいです。
もう一つのフルボディの赤ワインの方は、単体同士だとお互いの主張が強過ぎてバラバラの感じだったのが、パンを仲介者にする事で、一気に美味しく感じるというこれもまた非常に面白い結果となりました。パンを仲介した時の美味しさは素晴らしく、元々の相性の良さを感じる事が出来ました。きっと、今じゃなく、ワインが熟成してまろやかになるとか、もう少し涼しくなった季節に試すとか、そんな事でパンを仲介しなくても綺麗にマリアージュするタイミングはあるだろうと希望が持てました。
赤ワインでは少し引っかかりがあったものの、結果としてはほぼ定説通りとなり、経験に裏付けられた定説の説得力を思い知ることになったマリアージュ実験でした。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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