チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

明太もちチーズ&ベーコンもちチーズ

第37回 2018年01月

明太もちチーズ&ベーコンもちチーズ

チーズの味わい

定番の人気になってきた、明太子もしくはベーコン&おもち&チーズの組み合わせです。
お正月明けはおもちが余りがちになりますので、ありもので美味しいおつまみにならないかと思って試してみました。
これから1年間は、熱を加えて溶けたチーズとワインとの相性を見て行きたいと思っています。

材料
切りもち、溶けるチーズ(何でも可)、明太子(スプレッドや明太子マヨネーズでも可)、ベーコン

つくり方
切りもちを厚さ1/2にして並べてトースターで焼く。ある程度焼けてきたら上に、明太子もしくはベーコンを乗せ、さらにその上に溶けるチーズを乗せて、トロリとするまで焼く。


よく合うワイン

サントリーフロムファーム 甲州 日本の白

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

夏みかん 日本酒 食パン

明太もちチーズ◎。懐かしさを覚える、記憶の奥にあるマリアージュ。

第1回以来の久しぶりの登場です。日本を代表するぶどう品種”甲州”をシュール・リー製法で爽やかな辛口に仕上げました。第1回ではチーズとはなかなか苦戦した甲州ですが、今回は同じ日本の”おもち”という味方を得て、イキイキとした活躍を見せてくれました。
明太もちチーズと甲州、抜群の相性です。明太子の香りも決して生臭くならずに引き出してくれる上に、ジワッと後から旨味が出てきます。何よりも、おもちと甲州には同じ米を連想させる香りがあり、この香りが明太もちチーズと甲州をぴったりと寄り添わせている気がします。何か、子供の時の鏡開きの日の事を思い出す、懐かしい感覚になる心地よい相性でした。スナック感覚のこのお料理と軽やかなワインとの重さ感も丁度良く、安心感のあるマリアージュです。甲州の酸と和柑橘系の香りで後口もスッキリです。
ベーコンもちチーズはもちと甲州は合うのですが、甲州の酸が際立つ感じになって、明太の方がよい気がします。

ダークホース シャルドネ 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 マンゴー ココナッツ

ベーコンもちチーズ○。コクが広がるボリューム感のあるマリアージュ。

ダークホースのシャルドネは、シャルドネだけでなくヴィオニエとゲヴュルツトラミネールという、豊かな果実味とコクを加える品種を隠し味としてブレンドした、もっちりボディの濃い旨辛口白ワインです。もっちりボディが売りだけにおもちとの相性は抜群なのではないかと期待したのですが・・・。
明太もちチーズはワインが苦くなる上に、後から魚卵の生臭さ戻って来てしまうのでお勧めしません。やめた方が無難です。
ベーコンもちチーズだと、明太とは随分と異なる表情が出てきます。果実のコクが全面に出てきて、ワインの味わいにボリュームが生まれます。ベーコンの燻製によるスモーキーなフレーバーとチーズの香りが、ワインのココナッツを連想させる風味と相まって、甘みのあるコクとなって広がる感じは明太と合わせた時の苦くなる感じとは全く別物でした。これがワインと食べ物のペアリングの本当に面白いところだと思います。

サントリー デリカメゾン 濃いめ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム イチジク 赤い花

どちらもそれ程良くはない、行き場を失ってさまようマリアージュ。

昨年の秋に登場して以来大人気の、ちょっと濃いめのデリカメゾンです。凝縮した果実感とコクがあって、満足感のある味わいです。日本の食を考えたカジュアルワインですので、赤ワインながら明太子もいけるか?と少しだけ期待をしてみましたが・・・。
明太もちチーズはそんなに合いませんでした。思った程は生臭くなりませんでしたが、特に合わせて喜びも無い感じです。
ベーコンもちチーズだと、これまたワインが全く異なる表情を見せました。ワイン単体で飲んだ時よりも、果実感が際立つものの、どちらかというと「濃いめ」という飲み応えよりも、キュートな軽い果実感という感じの変化します。ベーコン&チーズというコクたっぷりの旨味感に少し押されてしまっている感じなのでしょうか。少し鉄っぽい香りも出てきて、そんなに合っているという感じはしませんでした。

ロス ヴァスコスカベルネ・ソーヴィニヨン 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス スミレの花 針葉樹

ベーコンもちチーズ◎。甘くリッチに味がふくらむマリアージュ。

こちらも第1回以来の登場。チリの銘醸地コルチャグア・ヴァレーで、フランス・ボルドーの格付け1級筆頭シャトー ラフィットを擁するドメーヌ バロン ド ロートシルト社がつくる、チリとフランスのいいとこ取りのワインです。しっかり果実味とタンニンのバランスが取れた、エレガントなスタイルが特長です。
明太もちチーズは・・・特にやらなくても良いかと思います・・・。
ベーコンもちチーズだと、ワインの味わいがグッと良くなって感じられました。果実味がコクを増し、コーヒーやカシスリキュール、甘いスパイスなどの複雑な香りが口の中で感じられます。ベーコンの燻製風味やもちを焼いた時のカリッとした香ばしい香りとも相まって、ワインがより甘く、厚みのある感じになったのが印象的でした。ベーコンやチーズの香りも豊かになり、素直に美味しく感じられる組み合わせでした。

チャレンジまとめ

「魚卵とワインは合わない」というのが定説になっています。しかし、明太もちチーズは本当に美味しい組み合わせなのでワインに合えばいいなあと思って試してみました。結果としては、ワインの苦味が出てしまったり、後口が生臭くなってしまったりと、定説を裏付けるものとなってしまいました。ただ、甲州は素晴らしい相性で、魚卵とワインに希望を持たせてくれました。また、その他のワインについても、焼く事で熱を加え、チーズで油脂分を加える事で、生の明太子をそのままワインを合わせた時よりも生臭い感じははるかに減りました。魚介類とワインを合わせる際のヒントが一つここにあるような気がします。
ベーコンもちチーズの方は、まあ安心の味わいでワイン大体美味しくいけそうです。赤ワインは絶対こちらの方がいいですね。
ちなみに他に何かないかなという事で、近くにあった塩昆布で「塩昆布もちチーズ」というのも試してみました。甲州は昆布の旨味感を、ダークホースは滑らかな優しさを、デリカメゾンは素直な果実味を出してくれて、なかなかこれも悪くないなという感じでした。ロス ヴァスコスだけは、タンニンが少し前に出てしまって味わいのバランスを崩す印象でした。ワインの方が強い感じなのかもしれません。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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