チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

じゃがいもチーズ

第38回 2018年02月

じゃがいもチーズ

チーズの味わい

世界中で、あらゆる人々から愛されている定番中の定番です。材料も作り方もとてもシンプルですが、シンプルであるが故に、どのじゃがいもとチーズを使うかや、じゃがいもとチーズの比率で味わいが結構変化します。何度食べても飽きない、奥の深い食べ物です。

材料
じゃがいも、チーズ(何でも可、量も好みで)

つくり方
じゃがいもを電子レンジで加熱して火を通す。柔らかくなったじゃがいもを適当な大きさに割るか切るかして耐熱皿に並べ、上にチーズを乗せる。トースターかオーブンでチーズに焦げ目がつくまで焼く。


よく合うワイン

全体の味わいが優しくふくらむ、何とも自然なマリアージュ。

すっかりとお馴染みになった、人気のサンタシリーズの定番の味わい。
日本の食に合うことを考えて、サントリーとサンタ カロリーナ社が共同で味わいを開発した、日本限定のブランドです。フレッシュでフルーティ。幅広い日本の料理に合う、素直な味わいが特長です。
じゃがいもチーズと合わせると、ワインの果実味とまろやかさが素直に広がる感じがしました。ワイン単体では目立っていた柑橘系の味わいよりも、より柔らかで甘く熟した印象のある桃を思わせる味わいが前に出て来る感じです。じゃがいもの甘さやチーズのまろやかさは味わいの中盤以降にしっかり出てきて、通常なら出て来るワインの柑橘の皮を思わせるホロ苦さがあまり目立たなくなります。全体の味わいがふくらむ、なんとも優しくて自然な組み合わせで、気付いたらパクパクと食べてしまっていました。

フォルタン リトラルシャルドネ 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 ミラベル/黄色すもも 杏仁豆腐

全ての味わいが単体よりも美味しくなる。素晴らしいマリアージュ。

新発売になったばかりの南フランス、ラングドック地方のワインです。フォルタンは、フランスのI.G.P.ワイン(=地酒)として、初めてラベルにぶどう品種名を記載して売り出したブランド。こちらはリトラル(海岸部)の名前の通り、海近くの畑から取れた高品質のぶどうを使用しています。熟した果実味と、心地よい酸味が特長のクリーンな味わいです。
じゃがいもチーズと合わせると、ワインの味わいの全てが単体で飲むよりも濃く、凝縮感を感じられるようになりました。それに応えるように、じゃがいもとチーズの味わいも力強さを増して、一言で言うなら「めちゃめちゃ旨い。」組み合わせです。ワインの果実味は力強い洋梨や杏のコンポートを思わせる濃密さを出してきて、それに負けず酸も引き出される感じでメリハリの効いた味わいになります。じゃがいものネットリ感、チーズのトロリ感とのテクスチュアもピッタリ。ワイン、料理ともに単体よりも美味しくなる、こういう組み合わせがマリアージュの醍醐味だと思います。是非お試し下さい。このワインの場合、じゃがいもは粉系ではなく、ネットリ系がオススメかと思います。

スクレ ド リュネス
ピノ・ノワール 2016

フランス
スクレ ド リュネスピノ・ノワール 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム ラズベリー 赤い花

じゃがいもチーズが、ワインをうまく盛り立てるマリアージュ。

こちらも発売になったばかりの新商品。スクレ ド リュネスとは「月の秘密」という意味。南仏ラングドックの太陽と、美しい月に見守られた自家ぶどう園から生まれる、エコセールの認証を受けたオーガニックワインです。ナイトハーベスト、丁寧な選果、低温発酵などを行うことで生まれる、エレガントで深い味わいが特長です。
じゃがいもチーズと合わせると、果実味が力強く出て来るようになりました。弾けるようなラズベリーやチェリーを思わせる香りが口の中に広がって、なかなかに心地よい組み合わせです。じゃがいも&チーズはどちらかというと、ワインを引き立てる脇役の感じで、自分たちの味わいは前には出て来ません。ただ、ワインを十分に美味しくしていますので、ピノ・ノワールという繊細で気難しいぶどう品種をうまく盛り立てていると思います。

カステル バロン ド レスタックボルドー ルージュ 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス 樽 針葉樹

甘香ばしさと厚みが強く出て来る、一回り味わいに厚みを増すマリアージュ。

フランス最大級のワイン会社、カステル社の社名を冠した(レスタックを逆さから読むとカステル)看板商品です。1995年の発売以来、フランス国内のボルドーACで売上No.1※を継続中。その秘密はこの価格帯のボルドーワインとしては貴重な新樽を含んだしっかりとした樽熟成にあります。ボルドーらしい飲み応えを感じられるワインです。
じゃがいもチーズと合わせると、ワインの味わいが一回り厚みを増すように感じられました。カシスリキュールを思わせる香りに加えて、カフェラテのような甘くて香ばしい香り、滑らかなテクスチュアなど、ワイン単体で飲んだ時には隠れていた良い部分がどんどんと出てきます。じゃがいもチーズもそれに負けずにじゃがいもの土の香りや、チーズの乳の香りが嫌な感じ無く出てきました。良いバランスでワインと料理がお互いのいい部分を引き出し合っていると感じました。特にチーズの焦げた部分がワインの(恐らく樽熟成から来る)甘香ばしさを強く引き出したので、このワインと合わせる場合は、チーズを少し長めに焼いて焦げ目を多くつくってあげると、より美味しく食べられると思います。

※IRI FRANCE 2016データ フランス国内 ボルドーACワイン 2016年 年間販売数量

チャレンジまとめ

じゃがいもは世界中で食べられている食材ですし、フランスをはじめ多くのワイン生産国で、メインのお肉や魚の付け合せとしてじゃがいもの料理が添えられます。なぜかというと、じゃがいもはワインと相性がとても良い食材だからです。どう料理しても、ワインの味わいを支え、ふくらませてくれます。そういう意味ではパンと並ぶワインの良き友と言って良いと思います。
今回はそれに、こちらもワインと合うと評判のチーズを合わせています。
ということで結果も予想通り、「どれも美味しい。」という結論になっています。
身近にある食材で、とても簡単にしかもすぐに出来て、とても美味しい。しかも、どんなワインでも合わないという事が殆どない。まさに鉄板のワインのお供です。今回はスーパーで特売で売っているシュレッドチーズと普通のじゃがいもでやりましたが、もう少し力のある高級ワインと合わせるなら、じゃがいもを「インカのめざめ」や「きたあかり」などの濃厚な味わいのものにするとか、チーズをグリュイエールやコンテのようなものにするなどでワインの強さに合わせていただくと、かなり愉しめると思います。
改めてじゃがいも&チーズという素材とワインの相性の良さを思い知らされたマリアージュ実験でした。
ちなみにちょいアボカド足しもかなり美味しいです。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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