チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

レンジできのこチーズ

第46回 2018年10月

レンジできのこチーズ

チーズの味わい

きのこの旨味しっかりながら、後口はワインの酸味でスッキリ。チーズがまろやかさとコクを与え、食べ応えもあります。ワインの相性の幅も広く、あっという間に出来あがる簡単さも魅力。なかなかに理想的なワインのお供になりました。

準備するもの
 とろけるチーズ適量、きのこ(ぶなしめじ、エリンギなど好みで)適量、白ワイン(飲むものでOK。)適量 塩 お好みでパセリ

つくり方
 食べやすい大きさにしたきのこに塩と白ワイン適量をふりかけ、電子レンジで2分~2分30秒加熱する。熱々のきのこにとろけるチーズを加え、さらに電子レンジで1分加熱する。熱々トロトロのところを食べる。


よく合うワイン

ドメーヌ キャヴァリエ 白 2015※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

パイナップル 黄桃 蜜蝋

ワインと料理の一体感が素晴らしい、安定感抜群のマリアージュ。

ドメーヌ キャヴァリエは、フランス・ラングドック地方の銘醸地ピク・サン・ルーで有機栽培でワインをつくる、シャトー ド ラスコーのエントリーライン。こちらもEUの有機認証を受けています。ソーヴィニヨン・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌというあまり馴染みのないブレンドですが、ソーヴィニヨン・ブラン由来の酸味と、ルーサンヌ、マルサンヌからのコクが綺麗に融合した、まろやかでバランスの取れた味わいです。
きのこチーズと合わせると、ワインの味わいの力強さが強調される気がしました。元々しっかりとしたボディ感とコクのある味わいのワインですが、それがよりまろやかに、よりコックリと愉しめました。きのこチーズの方はというと、きのこの旨味、チーズのコクが程よく出てきて、丁度ワインの味わいと馴染んでいく印象がありました。今回はきのこ調理時にこのワインを使用したという事もあるのですが、何ともいえない一体感と、豊かなワインのコクが感じられる、安定感抜群の組み合わせでした。

サントリー塩尻ワイナリー塩尻メルロ ロゼ 2017

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

キャンディ さくらの花 夏みかん

きのこの旨味が力強く感じられる、日本の秋を感じさせるマリアージュ。

長野県のサントリー塩尻ワイナリーで、近隣で収穫されたメルロのセニエジュースからつくったロゼワインです。日本ワインには少し甘さの残ったロゼが多いのですが、こちらはキリリと引き締まった辛口。塩尻のメルロらしい繊細な緑の植物のタッチがあって、特に野菜を使った色々なお料理と合わせて頂けるワインだと思います。
きのこチーズと合わせると、きのこの旨味がドンと前に出て来る感じがありました。ワインの味わいは、どちらかというと控え目になるのですが、実はこのワインが奥に隠し持っていた、森のシダ植物を思わせる香りがジワジワっと出てきて、きのこと良い相性をつくっている気がします。昆布出汁(どこにも使ってないのですが)を思わせる香りや、後に残るじんわりとした旨味感を含めて、日本の秋を感じさせるしっとりとした味わいが感じられる組み合わせでした。チーズはあまり前には出てきませんが、味わいの土台を支えている事は間違いありません。

カステル バロン ド レスタックボルドー 赤 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス 樽 針葉樹

ワインのボルドーらしさが強く感じられるマリアージュ。

バロン ド レスタックはフランスで売上No.1※のボルドーワイン。しっかりと樽熟された本格感のある味わいと、リーズナブルな価格が人気の秘密です。ぶどう品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロのブレンド。典型的なボルドーブレンドで、お互いの品種の良いところ引き出した、落ち着いた味わいです。
きのこチーズと合わせると、ワインのボルドーらしいしなやかさが前面に出て来る印象がありました。チーズときのこの香りがしっかりと引き出されて、綺麗にワインの香りと混ざっていく感じがあります。そして、不思議な事に、このワインの特徴である樽熟成の香りがあまり前に出てこなくて、カシスリキュールのような上品な果実香と、きのこや針葉樹を思わせる香りが強く出てきました。ボルドーらしい味わいがしっかり出て来る、魅力的な組み合わせだと思います。このワインはパセリがある事でより美味しく感じられました。
※IRI FRANCE 2016データ フランス国内 ボルドーACワイン 2016年 年間販売数量

ヤルンバザ スクリブラー 2014※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム チョコレート クローブ

料理がワインに負けてしまう、アンバランスなマリアージュ。

スクリブラーとは「走り書き」という意味。ヤルンバのフラッグシップワインの一つであるザ・シグネチャー(署名)と同じスタイルでつくられるセカンド的存在なので、この名前がつきました。ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニヨン64%にシラーズ36%というオーストラリアならではのカベルネ/シラーズのブレンド。チョコレート的な甘い香りと、繊細な飲み口が印象的なワインです。
きのこチーズと合わせると、このワインの持っている果実の豊かさ、熟したカベルネ・ソーヴィニヨンならではの瑞々しいジューシーさを感じられるようになりました。ワイン単体で飲むよりも、よりフレッシュさや果実のふくらみが前に出て来ます。ただ、きのこチーズの味わいがほとんど表に出てきません。どうもワインに負けてしまっているようです。他にもワインのタンニン分がやや厳しく出て来る印象もあり、お互いを活かす組み合わせかと言われると、どうもそうでもない感じがありました。このワインと合わせる際には、きのこだけでなく、鶏やソーセージ、ベーコンなどの肉類やスパイスなどを加えて、料理の側により複雑性や厚みを持たせてあげる必要があると思いました。

チャレンジまとめ

チーズ=ハイカロリーというイメージがあります(ちなみに今回使用したミックスチーズのカロリーは100gあたり357kcla、この料理に使用したのは40gなので143Kcalになります)。チーズを沢山食べると、なんとなくカロリー摂取の罪悪感があったりします。しかし、今回のお相手はきのこ。誰もが知る低カロリー食材です。参考までにしめじ18kcal/100g、舞茸16kcal/100g、エリンギ24kcal/100g、椎茸18kcal/100g、マッシュルーム12kcal/100gとあくまで低カロリー。写真の分量で約160kcalです。
それはさておき、きのこチーズ美味しいです。きのこのダシがたまりません。ワインとの相性も上々でしたし、調理時間もわずか5分です。強めの赤ワインだと少し料理の方が弱い印象がありますので、その際にはベーコンや鶏肉などの肉類で味わいの厚みをカバーして頂けると良いかと思います。今回試していないタイプでは、少し熟成して土っぽさや、スパイスを思わせる香りが出てきたようなワインも抜群に合うでしょう。少し肌寒さも感じるようになってきたこの季節に、温かなきのこチーズ、大変オススメです。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

つづきを読む