研究開発者からのメッセージ
ウイスキーブレンダー担当
Q1.
私はサントリーウイスキーブレンダーとして、中味の設計、原酒の品質・在庫管理などを担当しております。担当ブランドは「角瓶」「響JAPANESE HARMONY」「響BLENDER'S CHOICE」で、年間何万もの樽に貯蔵されている原酒の官能評価を行い、熟成ピークを見極め、樽から払い出すのか、貯蔵を継続するのかを決める責務を担っています。時には自分がウイスキー樽の貯蔵庫に足を運び、庫内の雰囲気、温湿度など、環境を五感で感じ取りながら、貯蔵環境の維持と改善に努めています。
Q2.
入社当初は山梨県の白州蒸溜所のブレンドグループで、貯蔵庫から払い出された原酒をブレンド、濾過し、瓶詰工場に出荷する業務をしていました。その後、山崎蒸溜所の貯蔵グループでの濾過作業、需給業務を経て、現部署のブレンダー室で、主にスタンダードクラスのウイスキーの中味設計と、シニアテイスター※の育成を担当していました。
※現場での出荷判定を担う官能検査員
Q3.
日々の体調管理と体力維持です。ウイスキーの美味しさ・品質を常に高いレベルに保てるよう、自分自身が毎日同じリズムで生活し、昼食に同じものを食べることなどを心がけることで、常に同じ体調を保ち、官能評価の精度を維持しています。これは先輩方から学んだ、品質への徹底的なこだわりです。
体調管理・体力維持に加えて、ブレンドの際には、お客様が飲まれるタイミングの飲用時の品質を常にイメージして仕上げることを意識しています。ウイスキーの官能評価は、水割りで行うことが多いですが、氷とソーダを入れても美味しく飲んでいただけるかなど、常にお客様の飲用シーンを想定して中味設計しています。
Q4.
特に印象深かったのは、2023年に山崎100周年と白州50周年を記念して発売したプレミアムハイボール缶の開発です。シングルモルトを使用したハイボール缶はサントリーでは初めてのチャレンジでした。ウイスキーの持つ特徴的な香味を缶入りハイボールとして表現するために、原酒の状態から缶に充填するまでの工程で予想される品質の変化に対して細かい調整を要しました。例えば、缶に充填する前の最終工程では、東京ドームに目薬1滴ほど加えるような細かな配合の調整を行い、目指した品質を達成することができました。最初に缶詰されてきたハイボール缶を開けた時のフレッシュなウイスキーの香りは今でも忘れることが出来ません。
Q5.
世界中のお客様にサントリーのものづくり、サントリーのウイスキーづくりの魅力を体感してもらいたいと思っています。ISC(International Spirits Challenge※)など、世界の品評会で賞を頂けるのも、先輩方の継続した品質へのこだわりと造り込みのおかげだと思っています。次は自分達が新しい種を蒔いて、次世代へ襷を繋ぐ番です。そのためには、原料、樽、貯蔵環境、ブレンド・濾過技術など、細部にこだわったウイスキーづくりを追求していきます。
※世界的な酒類コンペティション「ISC」で「山崎12年」が全部門での最高賞
※2024年9月の内容となります。
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