美味しさ
クリーミーな泡はビールの美味しさの秘訣です!
泡はビールが空気に触れて味が落ちるのを防ぐと共に、口当たりをやわらかくしたり、ビール中の炭酸ガスを逃さない『美味しさの蓋』の役目をしています。
泡の重要性を考え、当社はいち早く泡品質の研究を開始し、サントリーのビール・発泡酒のクリーミーで上質な泡を実現させました。
その数々の泡の研究から、上質な泡の形成に関して良い方に働いている成分は、良質な麦芽由来の泡タンパク質やホップ由来の苦味成分である iso-α酸などであり、逆に泡にとって悪さをしているのは、不健康な酵母により分泌されたタンパク分解酵素のプロテイナーゼ、そしてその様な酵母の食べ残した塩基性アミノ酸類、更には麦芽やホップ由来のポリフェノール類などである、ということがわかりました。
サントリーは、生ビール参入当初から、きめの細やかなクリーミーな泡が美味しさの秘訣であると考え、その実現に向けた色々な取り組みを行ってまいりました。
中でもビールの泡の源である泡タンパク質に着目し、免疫学的手法を導入し、これの検出・定量法を確立いたしました。
これにより泡タンパク質を多く含む「良い麦芽」の選別から、「クリーミーな泡のビール」までの醸造工程の最適化が可能になりました。
このようにしてビールにしっかりと引き出された泡たんぱく質による上質な泡を、お客様が飲まれる時まで安定的に維持するためには、酵母を健康な状態に保つことによって、余分な塩基性アミノ酸類をしっかり消化・減少させるとともに、タンパク分解酵素であるプロテイナーゼの酵母からの漏出を防いで、泡たんぱく質を分解させない事が大変重要であることが解りました。また、これらの研究の中で、当社は世界に先駆け、このプロテイナーゼの高感度迅速分析法を開発しました。
この分析方法は2007年11月に特許登録され(特許-4043535、ペプチド基質並びにこれを用いるプロテイナーゼA活性およびビールの泡安定性の測定方法)、現在世界各国のビール研究機関で使用されています。
これらの知見・手法を用いたビール醸造の研究から、ビール発酵に用いる酵母の元気度、プロテイナーゼ漏出量、泡安定性の三者が極めて高い相関性を有していることを発見し(グラフ参照)、ビールの新規発酵法を実際のビール醸造の生産現場に導入、サントリービールのクリーミーな上質の泡を実現させました。
これら泡品質全般に対する当社の研究成果はビールに関する世界で最も権威のある国際学会のひとつMBAAにて、最高の技術に対して送られるMBAA会長賞を1996年に受賞しました。
(MBAA:汎米ビール醸造学会)