チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

3種チーズのパスタ アル フォルノ

第61回 2020年01月

3種チーズのパスタ アル フォルノ

チーズの味わい

寒くなると美味しくなる野菜とたっぷりチーズの組み合わせで、しっかりと温まるオーブン料理を。手軽ですが、とても美味しい1品です。

準備するもの(2~3人分)
 ショートパスタ(リガトーニ使用)100g、ブロッコリー半個、カリフラワー半個、モッツァレッラチーズ1個、パルミジャーノチーズ100g、グリュイエールチーズ50g

つくり方
(1)パスタと野菜を茹でる。野菜は茹でた後細かくする。
(2)耐熱皿に茹でた野菜とパスタ、細かくちぎったモッツァレッラ、細かく削ったパルミジャーノとグリュイエールを乗せる
(3)オーブンでチーズが溶け、焼き目がつくまで焼く。


よく合うワイン

ラ マンチャ デ ビエント 白 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄色いリンゴ 白い花 ■その他果実■メロン

自然にお互いの良さを出せる、素直で心温まるマリアージュ。

スペイン、ラ マンチャ地方の降り注ぐ太陽と広大な大地の恵みに育まれた、果実味たっぷりのワインです。スペインの地場品種マカベオ(カヴァの主要ぶどうでもあります)主体に、わずかにモスカテル(マスカット)をブレンド。まろやかでジューシーな果実感とお花を連想させるフレッシュな香りが特長の辛口白ワインです。
料理と合わせると、ワインの持っている香りが一気に広がる感じがありました。ワインだけを飲んでいる時よりも、はるかに華やかな感じで、瑞々しい白桃、マスカット、百合の花など様々な要素が頭の中に浮かんできます。料理の方はというと、ワインの持っている滑らかな感じとチーズ&パスタがいい感じで一体になって、味わいに豊かなふくらみを見せるようになりました。自然にお互いの良さを見せあえる、素直であたたかな感じのする組み合わせでした。

ボッラ ソアーヴェ クラッシコ トゥファイエ 2017※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 蜜蝋 樽

ピュアかつリッチ、さらに力強さも出る、安心感抜群のマリアージュ。

ソアーヴェを代表するブランドの一つであるボッラの上級キュベ。ソアーヴェ地区の中でも斜面の条件の良い畑からのぶどうを原料とした、ソアーヴェ・スペリオーレという1ランク上のDOCGクラスのワインです。黄桃や蜜りんごを思わせるリッチな果実感と、ほのかに感じるハチミツのニュアンス、程よく効いた樽からの複雑な香ばしさを感じる、厚みのある辛口です。
料理と合わせると、ワインの味わいが純度を増す感じがありました。元々持っている果実の要素に加えて、カモミールやハチミツ思わせる風味がキラキラと輝くような感じで口の中に広がります。オークの要素も複雑さを加えるので、ピュアでありつつリッチという非常に魅力的な味わいになりました。料理側も野菜、パスタ、チーズ、全ての味わいがしっかりと出て、さらに力強さを感じさせる味わいになってくれる、安心感抜群の組み合わせです。

タヴェルネッロ オルガニコ サンジョヴェーゼ 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー スミレの花 オリーブ

不思議と味わいが軽くなってしまう、消極的なマリアージュ。

昨秋発売以来大好評、世界No.1※イタリアワインブランド「タヴェルネッロ」の、オーガニックぶどう使用のシリーズです。赤は美食の地エミリア・ロマーニャ州産のサンジョヴェーゼは100%使用。オーガニックらしい素直な果実味のやわらかな味わいが特徴です。
料理と合わせると、不思議なもどかしさを感じました。ワインは本来の姿よりもチャーミングさが前に出るようになり、いちごや赤い花、梅干しなどを連想させる軽やかさが主体の味わいになります。料理は料理で、別に悪い風味を出すわけではないのですが、「ただ何となくそこに居る。」という感じで、積極的にこのワインと一緒にやって行こうという感じは特にありませんでした。パスタ=イタリアという短絡的な思考で、僕が期待しすぎただけかも知れませんが・・・。

エスト レセルヴァ シラー 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム ミックススパイス ベーコン

肉の要素もあったほうがいい。硬さの出るマリアージュ。

エストはスペイン語で「星」を意味するEstrellaから名付けられました。その名の通り、満天の星が輝く(チリの星空は素晴らしく綺麗です)夜間に収穫(ナイト・ハーベスト)したぶどうを使用しています。新登場のシラーは、果実に加えてスパイスのタッチを持った、パンチのある味わいです。
料理と合わせると、ワインの味わいが少し硬くなるような感じがありました。元々、完熟果実の甘いトーンが強いワインなのですが、それがキュっと引き締まる感じと、タンニンが前に出てくる感じがあります。料理の方はチーズの焦げた部分と小麦の風味が優勢で、野菜の味はビックリするくらい奥の方に閉じこもってしまいます。このワインの場合は野菜だけでなく、ベーコンなどの肉系の要素を入れた方が合うのは間違いありません。ただ、料理と合わせた時に見せるこのワインのシリアスな一面は、僕は結構好きでした。

チャレンジまとめ

パスタ アル フォルノはイタリア庶民料理。余った野菜とパスタと残り物のチーズを全部まとめてオーブンに突っ込むと出来上がる、実にシンプルで、だからこそしみじみ美味しい料理です。今回良かったのは、樽熟成したソアーヴェの上級版。3種のチーズをかなりリッチに使用しているので、まろやかでコクのある辛口白ワインとの相性が抜群でした。このワインはマロラクティック発酵という、ワインのリンゴ酸を乳酸に変える発酵を経ているのですが、やっぱり乳酸をしっかり持ったワインはチーズとの相性が良いなと感じます。果実のピュアさを保持しながら大きく膨らむ味わいはマリアージュの醍醐味とも言えるものでした。同じタイプの白ワインとしては樽熟成タイプのシャルドネでもいい感じになると思います。赤は意外にしっくり来なかったのですが、胡椒を強めに振るとか、素材にベーコンやソーセージなどを少し加えてあげると一気に相性が良くなると思います。今回はチーズだけですが、トマトソースやベシャメルソースを使っても美味しく出来ます。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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