チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

茄子のパルミジャーナ

第100回 2023年09月

茄子のパルミジャーナ

チーズの味わい

気付けば100回。記念の一品は、秋ナスの美味しさを堪能出来るこの一品。丁度、温かいものが食べたくなってくる時期ですね!茄子とチーズの組み合わせって本当に美味しいなあと思います。

準備するもの
揚げ茄子3本分、モッツァレラチーズ1個(100g)、パルメザンチーズ50g、トマトソース*100g
*みじん切りの玉葱を炒め、ホールトマトを入れて煮詰める。塩で味付けする。

つくり方
(1)耐熱容器にトマトソースの1/4量を敷き、その上に揚げ茄子1本分を均等に広げる、千切ったモッツアレラチーズの1/4量を乗せ、パルメザンチーズを上からすり下ろす。
(2)同じ手順を2回繰り返し、トマトソース、茄子、モッツアレラ、パルメザンチーズの3層構造をつくる。
(3)最後に残ったトマトソース、チーズを乗せ、200℃のオーブンで20分程度焼く。


よく合うワイン

マクマレー セントラルコースト ピノ・ノワール 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム プラム バニラ

ワインと共に茄子とトマトの甘さが際立つ。太陽を感じる組み合わせ。

マクマレーはアメリカ カリフォルニア州で100年の歴史を持つワイナリー。ピノ・ノワールが生産量の殆どを占める、この品種に特化したワイナリーです。このワインはカリフォルニアの中でも特に冷涼なサンタ・ルチア・ハイランド産のぶどうから生産されていますが、酸っぱいとは全く感じず、果実の甘さの方が印象的です。誰もが素直に美味しいと感じられるカリピノの親しみやすさと、ピノ・ノワールの高貴さを併せ持ったワインです。
茄子のパルミジャーナと合わせると、ワインの果実の甘さが最大限まで引き出される感じがありました。カリフォルニアという事もあり、元々果実味豊かなワインではありますが、チーズの甘さ、茄子の甘さ、トマトソースの甘さと、それぞれが持つ甘さが口の中で一緒になる事で、相乗効果を呼んで、まろやかで膨らみのある、ある意味カリフォルニアの魅力そのものの味わいをより拡大して見せてくれる感じがありました。茄子もトマトも太陽の産物。その良さを最大限感じられる組み合わせだと思いました。

カヴィロ タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソ 2021

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

スミレの花 ブラックチェリー 黒胡椒

ワインの果実味と料理の膨らみ、互いにメリハリを与える組み合わせ

世界で最も売れているイタリアワインブランド※、タヴェルネッロのオーガニック版。シチリアを代表する黒ぶどうネーロ・ダーヴォラに、シラーとメルロをブレンドした程よい飲み応えのある味わいです。シチリアの太陽をいっぱい浴びたオーガニックのぶどうからの、素直な果実味が魅力です。
茄子のパルミジャーナと合わせると、ワインの果実味に一気にきらめきが出て来ました。元々熟したブラックチェリーを思わせる豊かな黒果実の香りが特徴のワインですが、そのチェリーが摘みたてのフレッシュさとチェリーのリキュールが混じった様な艶やかな印象を帯びます。チーズのまろやかさとトマトソースの旨味も良い感じに味わいに膨らみを与えてくれて、ついついグラスに手が伸びる感じの料理とワインの両方にメリハリを与えてくれる感じの組み合わせになりました。
※2020年販売量世界上位25ブランドにおいてイタリアワインNo.1(IMPACT DATABANK 2020 EDITIONより)

テーブルワインの真骨頂。自然に食が進む組み合わせ

近年カヴィロ社が力を入れているテトラパックスタイルのタヴェルネッロです。こちらもオーガニックのぶどうを使用しています。テトラパックは軽量なため、輸送に関わるCO2排出量を削減出来るとして注目される容器。瓶と比較して軽量で持ち運びやすく、破損のリスクも少なくなっています。さらにこちらは飲みきりサイズの250mlという事で、軽く飲みたい時にも重宝します。
茄子のパルミジャーナと合わせると、非常にしっくり来る感じがありました。どこが合うと詳しく言える感じではないのですが、お互いが自然にそこにある感じです。茄子のパルミジャーナは基本野菜とフレッシュチーズがメインで、見た目程には濃厚な料理ではありませんので、このワインのような軽やかな白ワインとでも軽快に楽しめるのかなと思いました。ワイン側は料理を活かす感じで、特に強く主張はしませんが、気持よく食事を勧めてくれます。これこそがテーブルワインの役割で、そういう点でこのワインがベストセラーである理由がわかる気がしました。この組み合わせで誰かとおしゃべりしてたらあっという間にワインがなくなりそうです(250mlですし!)。

サンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァ 2021

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 杏仁豆腐 アーモンド

マッチングミス、混乱を招く組み合わせ。

サンタ カロリーナの上級レンジ。このクラスから諸々の設備を揃えた彼らのプレミアムワイナリーで醸造され、多くは自社所有のぶどう園からのぶどうが使用されるなど、彼らのこだわりが強く反映されるようになっています。熟した果実と、程よく効いたオークの香り、シュール・リーによる香ばしいトースト香など、シャルドネに求められる風味がしっかりと表現されています。
茄子のパルミジャーナと合わせると、ちょっとお互いにどうしたら良いのか戸惑う感じがありました。ワインは茄子と出会う事で元々よりも強いトロピカルフルーツを思わせる香りを放ち、少し苦みが出て来ます。パルミジャーナはワインが持つトーストやナッツを連想させる香ばしさが加わる事で、トマトソースと茄子の風味が消される方向に動きます。率直に言ってこれはマッチングミス。与える風味がお互いにプラスに働かず、あまり味わった事がない風味ながらそれほど心地よくない感じになるという、混乱を招く組み合わせになってしまいました。

チャレンジまとめ

記念すべき100回目は大好物という方も多いと思う茄子のパルミジャーナ(パルミジャーナ・ディ・メランザーネ)。僕も大好きで、毎年秋にはやりたいなと思いながら8年目にしてやっと実現しました。秋茄子の美味しさを味わう素敵な料理ですよね!南イタリアの料理なので、本命はタヴェルネッロ オルガニコのテッレ シチリアーネ ロッソだったのですが(これはこれでもちろん良かったですが)、一押しはカリフォルニアのピノ・ノワールという結果になりました。カリフォルニアのワインには共通の完熟した果実の甘さみたいなものがあると思いますが、茄子&トマトの甘さとそれが共鳴する感じがたまらなく美味しいと思いました。中身を分解してみると、トマトソース、茄子、パルミジャーノ、モッツァレラなので、このあたりは最早アメリカの味の一つと言っても良いピザやパスタと同じなんですよね。なんとなくその辺りもこのピッタリ感に関係しているのかなと思いました。もう一つの驚きはタヴェルネッロの白ワインの方。料理とワインを合わせる時の基本の考えとして、「ワインと料理の色を合わせる」というのがありますが、真っ赤なこの料理に平然と合わせてくる軽い白という点で結構ビックリしました。さすがはザ・テーブルワイン。懐が深いです。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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