森づくり最前線
広葉樹林の管理

若い命が育つ環境を用意する後継樹対策と
地面に草や木が生えるような手入れをする常緑化対策

一見なにもする必要がなさそうな広葉樹林にも、実は、いくつかの問題があります。

後継樹対策

たとえば、鳥取県のサントリー「天然水の森 奥大山」には、ブナ・ミズナラなどの巨木がそびえる場所があります。
ところが、そういう巨樹のエリアほど、若い後継樹の姿が見当たりません。日本海側の山に特有のチシマ笹がうっそうと生い茂り、苗木の生長を邪魔しているのです。
そういう箇所では、植生調査をしたうえで、笹原の一部を刈り払い、若い命が育つ環境を用意して成長を見守る、実験的施業もしています。

  • 芽生えを促すために、地面を覆う笹を刈り払う様子
  • 笹を刈り払った効果を確かめる芽生えの調査

常緑化対策

かつて薪炭林として利用されてきた広葉樹林では、伐期が遅れ、林内が真っ暗になるという、杉・ヒノキの放置人工林と似た問題が起こっている場所もあります。
そういうところでは、落葉樹を残し、後から侵入してきた常緑の中低木をすべて刈り払って、林内を明るくする整備をおこなっています。こうすることで、地面の中に眠っていた「明るい森を好む草や木の種」に光を当てて目覚めさせ、落葉樹林に特有の多様性を取り戻そうという作戦です。

林内を明るし、地面に草や木が生えるように手入れ

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