チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

明治 北海道
十勝スマートチーズ
うまみ濃厚チェダーブレンド

第14回 2016年01月

明治 北海道<br>十勝スマートチーズ<br>うまみ濃厚チェダーブレンド

チーズの味わい

 ぱっと見た感じでは、これまでに既に存在していた普通のプロセスチーズと変わりない外観なのですが、実際に食べてみると、全く異なるものである事に気付きます。
 その違いを一言で表現すると、「食感」です。通常のプロセスチーズがプリプリという感じの食感なのに対して、このチーズはパッケージにも記載がある通り、舌の上でホロホロと崩れる感じです。これはパルミジャーノやコンテなど、長期熟成タイプのハードチーズに通じる感覚です。
 味わい自体は通常のプロセスチーズ的なクセのない食べやすい乳の味ですが、テクスチュアのせいか確かに旨味を強く感じる気がします。チーズの味が濃厚なので、しっかりしたワインとも合わせられそうです。


よく合うワイン

ワインが落ち着いた味わいに感じられるマリアージュ。

サンタは「食事に良くあうチリワイン」をコンセプトに日本人向けに開発されたチリのデイリーワイン。弾けるようなフレッシュな果実味が特長の、軽やかで爽やかな辛口ワインです。ちなみにラベルの動物は猫ではなく、チリでは「チリアンライオン」として親しまれているピューマです。
チーズが結構コクのある味わいなので、どちらかというとこのワインのシャルドネの部分(ボディ感や果実の厚み)が反応する感じです。ワイン単体で飲んだ時の爽やかさやフレッシュさよりも、ずっと落ち着いた味わいに感じられました。少しワインは特長を失うと言えるかも知れません。

マクラン
ヴェスパイオーロ 2014
※終売しました

イタリア
マクランヴェスパイオーロ 2014※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

オレンジ 黄桃 みかんの花

ワインの酸味やシャープさが際立つマリアージュ。

マクランはイタリア・ヴェネト州の小さなつくり手。ブレガンツェという無名の村から世界を驚かせるワインを生み出した家族経営の偉大なワイナリーです。ヴェスパイオーロはこの地方でしか作られていない希少なぶどう。あふれる果実味と花束を思わせるフローラルさに、ピュアな酸味が特長の魅力的な辛口白ワインです。チーズと合わせると、チーズのコクや甘みが際立ち、ワインの方は果実味よりも、酸味やキレがドンと前面に出てくる結果となりました。フレッシュではありますが、酸っぱく、結構苦味なんかも感じられて、あまりオススメとは言えないかと思います。チーズの味わいは良くわかるので、チーズの方がワインよりも少し強い感じでした。

ワインもチーズもコクと深みが出るオススメマリアージュ。

オックスフォード ランディングはヤルンバの兄弟ワイナリー。南オーストラリア州の自然と共生したワインを生み出します。カベルネ・ソーヴィニヨンの構造に、シラーズのスパイシーさが程よいアクセントになった、瑞々しい味わいです。ワイン単体では、結構涼しげな味わいに感じられましたが、チーズと合わせる事で、これまで瑞々しいと感じていた果実味が一気にコクを増して、甘く・力強く感じられるようになりました。さらに、コーヒーやチョコレートのような甘苦い香ばしさや、深みも出てきて、チーズはチーズでクリーミーさを増すようで、お互いに味を膨らませるとても良い相性です。

ビニャ マイポリミテッド・エディション 2011※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム ベーコン チョコレート

お互いに味わいを主張しながら味わいのコクを増す、見事なマリアージュ。

リミテッド・エディションはビニャ マイポのフラッグシップワイン。マイポ・ヴァレーのシラーに、3%のカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。濃密な色調と煮詰めた果実味やしっかりとした樽香を感じる強いワインながら、滑らかで上品さもきちんと感じる、緻密な味わいのワインです。
チーズと合わせるとコクが強くなって、飲み応えが格段に上がります。元々凝縮感とバランスを併せ持つワインですが、タンニンや苦味など、少し引っかかりを感じる部分の味わいがチーズに包み込まれて、強いワインなのにスムースに飲めてしまいます。本当に美味しい。このワインの強さに飲み込まれずに、きちんと自分を主張出来るチーズの旨味の濃さも見事です。

チャレンジまとめ

 今回は圧倒的に赤ワインの方が高い評価となりました。想像していたよりもチーズの旨味が濃く、かつ白ワインを比較的爽やかなものを2種類選んでいたために、白についてはワインとチーズの方向性があまり合わない結果となってしまいました。今回は低い点数がついてしまいましたが、白ワインでも樽熟成したシャルドネのように、ナッティなフレーバーがあってコクのあるタイプであればかなり良い相性を見せると思います。また、ヴィオニエのように酸が低めで果実味が豊かなトロリとした印象のものも悪くないと思われます。
 赤ワインはニューワールドの比較的果実味強めのものが2種類でしたが、2つとも味わいにふくらみをもたらしてくれるとても良い相性となりました。チーズの味わいにコクがあるので、このチーズは結構濃い赤ワインまで、ワインの味わいに負ける事なく良いマリアージュを見せてくれそうです。
 味わい自体にはクセがないので、基本的にはワインと合わせる事でお互いの旨味をふくらませる方向のマリアージュになる、使いやすいチーズだと思います。チーズの味わいのところにも書きましたが、このチーズの特徴はホロホロとしたテクスチュア。普通に噛んで食べるだけでなく、口の上で溶かして崩れていく味わいを楽しめる貴重なプロセスチーズです。プロセスチーズの進化を見せ付けられた気がしました。



■ 関連サイト
明治 北海道 十勝スマートチーズ うまみ濃厚チェダーブレンド(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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