チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

森永乳業
KRAFT フレッシュ モッツァレラ

第6回 2015年05月

森永乳業<br>KRAFT フレッシュ モッツァレラ

チーズの味わい

切っていくと、チーズの中からジワジワと乳の成分が染み出してきます。見た目も、新鮮な乳の旨味を楽しむその味わいも、「牛乳の水分を抜いて素直に固めました」という感じで、牛乳で出来た豆腐と言ってもよいチーズかと思います。味わいはやさしくてシンプル。塩味もとても軽やかなので、チーズ単体だけだとワインのお供としては少し物足りなく感じるかもしれません。塩とオリーブオイルやドライトマトを足してあげたり、トースターで焼いてあげたりすると、ぐっとワインと近づきます。


よく合うワイン

ヴィッラ サンディ プロセッコ DOC トレヴィーゾ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

レモン ■その他果実■メロン 白い花

食欲がどんどんと湧いてくるマリアージュ。

元々ふんわりとした泡立ちと軽やかな果実味が特徴のワインですが、軽やかな味わいのモッツァレラチーズと合わせる事でその特質がより強調される気がします。泡立ちはよりフンワリ、果実味はレモンよりもメロンを感じさせるジューシーさが際立って、とてもイキイキとした味わいです。チーズも最初に甘さを感じさせた後に、泡と一緒にフワリと消えて行く印象で、テクスチュアも含めてとても良く合っていると感じました。食欲がどんどん湧いてきそうなマリアージュで、食事のスタートに最高の組み合わせだと思います。

カザマッタ ビアンコ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 みかんの花 はちみつ

チーズがワインの引き立て役になるマリアージュ。

ワインの果実味にハリが生まれて、とても良く熟した果実感が感じられるマリアージュです。ワイン単体では黄桃のような熟した柔らかな黄色い果実を連想させる味わいでしたが、チーズと一緒に食べると、パイナップルのようなトロピカルで酸も持った果実味を感じました。しかし、チーズの味わいは完全にワインに覆われてしまって殆ど感じられなくなってしまいます。例えば生ハムと一緒に食べるとか、トマトと一緒に焼くなど、もう少し強い素材を加えてあげると、モッツァレラがワインと素材をつなぐ役割となって、とても良いマリアージュが生まれると思います。

酸化防止剤無添加のおいしいワイン。(赤)

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■ベリー■いちご 赤ぶどうジュース 綿あめ

お互いのフレッシュ感が増すマリアージュ。

このワインは少し甘さを残したやさしい味わいが特徴なのですが、ワイン単体で飲むと時としてそのやさしさがぼんやりとした味わいに感じられてしまう事があります。チーズと合わせる事で、特に味わいの中盤から後半にかけて酸味が出て、果実味にピュアさが感じられるようになりました。元々が軽い味わいのワインなので、これなら生のモッツァレラチーズのままでも丁度良い感じで合わせる事が出来ます。チーズも最後にしっかりと味わいが戻ってきて、少しフルーツソースをかけたレアチーズケーキ的な趣きも出ます。

ソラール ビエホ クリアンサ 2011

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー チェリージャム 樽

チーズの味わいが塗りつぶされてしまうマリアージュ。

これはマリアージュとしてはなかなかしんどい組み合わせです。ワインの味わいの方が絶対的に強く、チーズがワインの味わいに殆ど影響を与えません。元々のワインは綺麗な果実味と樽香を持ったバランスの良い味わいですが、チーズと合わせると少し樽のフレーバーが前面に出てくる気がします。ただそこも微妙な感じで、基本的にモッツァレラの味わいはワインに塗りつぶされる印象です。

チャレンジまとめ

 圧倒的に軽めのワインとの相性が良いチーズでした。フレッシュな乳の旨味を楽しむタイプのチーズなので、ワインもフレッシュな果実味を楽しむタイプが合うのでしょう。特に今回はプロセッコとの相性が素晴らしく、お互いのフレッシュさや軽やかな美味しさがともに引き立つ感じで、一度食べ始めると止まらない美味しさだったのがとても印象に残りました。お料理にも使えるチーズなので、強めのワインの場合はお肉やお魚、トマトなどにこのチーズを乗せて焼いてあげる事でとてもワインに寄り添う料理になると思います。
 マリアージュの傾向としては、チーズに乳由来の甘さがあるからか、ワインの酸味が感じやすくなってイキイキとした味わいになるように感じました。フレッシュさが身上のこのチーズは、樽を使ったものや熟成タイプのワインとは味わいの方向性として相容れない部分があるように感じるので、強めのワインと合わせるのはおススメしません。パンの上に乗せて焼いて溶かしたものとも4つのワインを合わせてみたのですが、熱を加えて味わいを活性化した場合でも最も良く合ったのはプロセッコでした。ただ、チーズに熱を加える事でカザマッタやソラール ビエホとの相性は良い方向に変化すると思います。
 今回は3月にブルサンで相手を間違えてしまったなあと感じたマドンナRを番外で試してみました。ドイツワインらしい軽やかさと、イキイキとした酸味、やさしい甘さがとてもバランス良く出てきて、素直に美味しいと思えるマリアージュでした。最後にチェリーのような果実のコクがフワッと出てくるのも魅力的で、これは良い組み合わせだなあと感じました。やはりどのワインにも、生きる場所があるという事だと思います。

■ 関連サイト
森永乳業 KRAFT フレッシュ モッツァレラ(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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