チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ブルサン
ガーリック&ハーブ

第4回 2015年03月

ブルサン<br>ガーリック&ハーブ

チーズの味わい

ガーリックとパセリ、チャイブ(あさつき)の香りと、フレッシュでクリーミーなチーズの香りが一体となって、食欲をそそります。ふんわりとした口溶けの柔らかな食感や、程よい塩味とガーリック&ハーブにほんのりとこしょうが香る味わいは、これだけで立派なワインのお供です。
2014年9月から、これまでフランスから輸入していたものを、日本国内で製造するようになったとの事で、確かに以前よりもチーズとハーブのフレッシュさがアップして、味わいにメリハリが出ていると感じました。


よく合うワイン

サンタ カロリーナソーヴィニヨン・ブラン レセルヴァ 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ルビーグレープフルーツ パッションフルーツ パセリ

素材がクッキリと浮き上がるマリアージュ。

イキイキした酸のとても爽やかな味わいのワインなのですが、チーズと合わせる事で、どちらかというと酸のキレはおとなしくなって、果実がリッチに感じられるようになります。特徴的なのは、チーズの中に入っているガーリックやチャイブ、パセリ、こしょうといった各素材の味わいが、チーズ単体で食べた時よりも、ワインと一緒に味わった時の方がクッキリと感じられる事です。特にワインの爽やかさとハーブの香りがとても良く合っていました。

ボッラ ソアーヴェ クラッシコ 2013※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 みかんの花 はちみつ

不思議と味わいが分離してしまうマリアージュ。

殆ど味わいが混じりあわないマリアージュです。前半には、チーズのガーリックの味わいが強調され、中盤はワインの味わい一色になり、そして最後にまた今度はチーズの乳の味わいが帰ってくるという、サンドイッチをパン、具、パンと別々に食べているような不思議な感覚にとらわれます。ワインの味わいも単体で飲む時よりも苦味が強調されるように感じてしまうのも、気になりました。

ファルケンベルグマドンナR <ロゼ>

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■ベリー■いちご スイカ 赤い花

ガーリックが目立つマリアージュ。

これはワインのチョイスを間違ってしまったようです。キュートでほんのり甘いイチゴを思わせる果実味にガーリック風味というのがかなりの違和感を感じさせます。ニンニクを切った包丁をきちんと洗わないまま果物を切ってしまった時のような感じです。ワインにもチーズにも失礼な事をしました。このワインはまた別のチーズで試してみたいと思います。ガーリックでなく、プレーンなクリームチーズや、ブルサンであればペッパー風味なら結構合う気がします。

ビニャ マイポカベルネ・ソーヴィニヨン/メルロ 2014※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス カシスジャム 針葉樹

お互いにボリューム感を感じさせるマリアージュ。

ワイン単体では硬めに感じられたカシスを思わせる果実味が、チーズと合わせる事で、グッとコクと膨らみを増す様に感じられます。また、ワインの果実味も、ハリが出るというか、透明感が増すというか、魅力的に感じられるようになりました。チーズの持つハーブの香りも、ワインが元々持っている針葉樹を思わせるフレーバーとピッタリとマッチします。お互いに単体で飲む時よりもボリューム感が出るといういい組み合わせだと思います。

チャレンジまとめ

あくまで私の独断ではありますが、合うと思うワインと合わないと思うワインがキッパリと分かれてしまう結果となりました。今回のようにフレーバーを伴ったチーズの場合は、そのフレーバー(今回の場合はガーリックとハーブ)との相性も大きなポイントとなってきます。評価の高かった2つのワインは共にハーブを思わせる香りを持つワイン達で、チーズの中のハーブと相乗しあう事で「これは合ってるな。美味しいな。」と感じたのだと思われます。味わいの中の似た要素を合わせるというのは、マリアージュを考える時の基本の考え方の一つですね。

ところで、私が評価する時は実験なのでチーズだけでいつも試しています。今回ブルサンを食べながらずっと「パンが欲しいなー。」と思っていました。パンと一緒に食べる事で、今回あまり評価の高くなかったワインも美味しく頂けるようになるのではないかと想像します。焼き立てバゲットにブルサンを塗って食べたら・・・おいしそうですよね(試していませんが・・・)。

最後に、前回の続きのワインの熟成とマリアージュの関係のお話です。ワインは時間によって味わいが変化していきます。出来立ては果実が中心なのですが、時間の経過とともに果実味が落ち着き、他の要素が顔を出してきます。それは前回お話した甲州のように香ばしい感じだったり、ハチミツのような甘い香りだったり、まあ色々な要素があるのですが、その出てくる要素によって美味しいと感じる食べ物も変わってくるという事です。これは、同じワインを継続的に飲まれている方は自然に感じられている事だと思います。チーズとの相性という点で具体的に言うと、フレッシュタイプのチーズのように新鮮な乳の味わいを楽しむチーズには新鮮な果実味を楽しめる若いワインが合う事が多くて、カビ系やハードタイプのように熟成した旨味を楽しむチーズには果実味が落ち着いたものが合いやすいという事になるでしょうか(もちろん例外はあります)。今回のボッラは少し熟成が進んで、まったりとした印象を受ける味わいに変化していたので、フレッシュなブルサンと合わせると味わいが混じり合わないような印象を受けたのかもしれません。

気にして下さっている方がいるかもしれないのでご報告しておくと、甲州は今回も良き相棒に出会えませんでした。繊細な味わいがガーリックに負けてしまう印象でした。まだ相棒探しの旅は続きます。

■ 関連サイト
ブルサン ガーリック&ハーブ(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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