Ｑ＆Ａ　ウイスキーあれこれ辞典　サントリー

ウイスキーの歴史について

ウイスキーの種類について

ウイスキーの製造について

その他／ウイスキーに関する基礎知識

アイルランドの伝説によると、キリスト教の伝道師、聖パトリック（373～463）が蒸溜技術を教えたといわれていますが、記録として最初にウイスキーが現れるのは1172年のことです。イングランドのヘンリー・世がアイルランドに進攻したとき、すでにこの地では、大麦から蒸溜した酒を飲んでいたと史書に記述されています。

ウイスキーの語源は、ゲール語の言葉ウシュクベーハー（Uisge-beatha）で、「生命の水」の意をもっています。ゲール族とはヨーロッパ中西部に起った古代民族ケルト族のうち、海を渡ってアイルランドからスコットランド地方へ移住した一部族のことで、この後裔が現在のスコットランド人やアイルランド人です。
ウシュクベーハーは時代を経るにしたがって、ウスケボー（Usquebaugh）となり、やがてUsquaとなり、Usky（ウイスキー）に転化し、今日のWhisky、Whiskeyになったといわれています。

１８２６年の連続式蒸溜機の発明をきっかけにグレーンウイスキーがつくられるようになります。やがて、１８５３年、エジンバラのウイスキー商、アンドリュー・アッシャーがモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドし、まったく新しい味のブレンデッドウイスキーを発売しました。ここに、香り豊かだが重く個性的なモルトウイスキーと、軽快なグレーンウイスキーをブレンドすることにより、まろやかでしかも香り高く、世界中の多くの人の嗜好に合ったウイスキーが誕生します。

１９２３年（大正１２年）１０月、壽屋の鳥井信治郎によって京都郊外・山崎の地に、わが国初のモルトウイスキー蒸溜所（現在のサントリー山崎蒸溜所）が建設され、ウイスキーづくりが始まりました。
そして、６年後の１９２９年（昭和４年）、本格国産ウイスキー「サントリーウイスキー白札」が誕生します。最初はなかなか受け入れられませんでしたが、その後１９３７年（昭和１２年）には「角瓶」が発売され、好評を博すことになります。

単一蒸溜所のモルトウイスキーだけを瓶詰めしたウイスキーをシングルモルトウイスキーといいます。当社の「山崎」「白州」がこれに当たり、個性豊かなモルトウイスキーの味わいを楽しむことができます。ピュアモルトウイスキーはモルトウイスキー100％のウイスキーで、多くの場合、シングルモルトウイスキーと同義ですが、複数の蒸溜所のモルトをヴァッティングしたヴァッテドモルトウイスキーを指す場合もあります。

スコッチウイスキーとは、穀類、水、酵母を原料にスコットランドの蒸溜所で製造されるウイスキーのことです。

グレーンウイスキーは原料の８０～９０％に穀類を使用し、モルトウイスキーと同じように糖化・発酵・蒸溜・貯蔵という工程によって製造されます。グレーンウイスキーの製造上の特徴は、蒸溜の段階で連続式蒸溜機を使用することです。その結果、グレーンウイスキーはアルコール度数は高いが、ウイスキーのタイプとしてはライトでおだやかなものになります。

ブレンデッドウイスキーは、個性豊かなモルトウイスキー原酒とそれを引き立てるグレーンウイスキー原酒をブレンドしてつくります。ウイスキー原酒のハーモニーと豊かな香味を持つウイスキーとなります。国産のブレンデッドウイスキーには響、ローヤル、リザーブ、オールドなどがあります。

バーボンという名前はケンタッキー州バーボン郡でこのウイスキーが生まれたことからつきました。アメリカの法令では、バーボンウイスキーはとうもろこしを５１％以上使用し、連続式蒸溜機でアルコール分８０度以下で蒸溜、さらに内面を焦がしたホワイト・オークの新樽で熟成させたものを言います。樽詰めはアルコール分６２．５度以下、製品化は４０度以上で行われることも規定されています。
原料にとうもろこしを８０％以上使用し、樽熟成させないか、もしくは内側を焦がしていないオークの新樽か、内側を焦がしたオークの古樽で熟成させたものはコーンウイスキーとなります。

オックスフォード英語辞典では、「ＳＣＯＴＣＨＷＨＩＳＫＹ」と「ＩＲＩＳＨＷＨＩＳＫＥＹ」と表記をしています。アメリカでは「ＷＨＩＳＫＹ」と「ＷＨＩＳＫＥＹ」を併用していますが、法律用語では「ＷＨＩＳＫＹ」を用いています。

スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、そしてジャパニーズウイスキーを総称して世界の五大ウイスキーと呼びます。質・量ともに世界で高い評価を受けている代表的な五つのウイスキーです。

無色透明で異味・異臭がないこと、微生物が入っていないこと、酵母が活躍しやすい適度なミネラル分があること。以上の基本条件を満たした、天然・自然の「生きた水」であり、その中でも特有のクセや味がなく、舌や喉に滑らかで軽やかな水が特にウイスキーづくりに適しています。

ウイスキーの原料には二条大麦が使用されます。二条大麦は穂軸に沿って麦の粒が２列に並んだ種類で、でんぷん質が多く、タンパク質が少ないのが特徴です。

ウイスキーの原料となる大麦麦芽を乾燥させる際、水生植物などが枯れて堆積し泥炭となったピートを燃やした煙を使います。これは大麦麦芽にモルトウイスキー特有のスモーキーフレーバーをつけるためです。

麦汁に酵母を加えると、酵母は麦汁中の糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスに変えるとともに、ウイスキー独特の味わいや香気成分をつくります。上面発酵酵母、液中分散酵母など、サントリーでは約３０００種類の酵母を保有しています。

ウイスキーづくりにおいて、発酵の終わったモロミをポットチルと呼ばれる銅製の単式蒸溜機に入れて二度蒸溜します。蒸溜釜には形や大きさ、高さなどの違いで様々なタイプがあり、そのタイプの違いによってウイスキーの多彩な味わいが生み出されます。サントリーの蒸溜所には現在、ランタン・ヘッド型、バルジ型、ストレート・ヘッド型の３種があります。

蒸溜の加熱方式には、ガスや重油を燃やし炎を直接蒸溜釜にあてる直火加熱方式と、蒸溜釜の内部に加熱コイルや加熱缶を置く蒸気加熱方式があります。それぞれが特徴的なモルトウイスキーを生み出すための機能を持っています。

蒸溜液すべてがウイスキーの原酒になるというわけではありません。通常蒸溜は２回行いますが、２回目の再溜で出てくる流出液の内、ハートと呼ばれる中間の部分のみを樽に詰めます。始めの部分（ヘッド）と後の部分（テール）は再溜釜に戻されて、繰り返し蒸溜されます。

蒸溜したてのウイスキーは無色透明で荒々しい持ち、ニューポットと呼ばれます。このニューポットをホワイトオークでつくった樽の中で寝かせると、やがて荒々しかった香味は、芳香とまろやかさをもち、無色透明の液体は深い琥珀色に変わります。

樽には樽材や大きさによって様々な種類があります。樽材の代表的なものとしてはホワイトオークがあります。現在、サントリーで使用している樽には「バーレル」「パンチョン」「ホッグスヘッド」「シェリー樽」の４種類があり、それぞれ個性の異なるモルトウイスキーを生み出しています。

ニューポットの個性、樽の種類、熟成の仕方で熟成年数は変わってきます。一概に長ければ長いほどよいということではなく、それぞれに最も適した熟成年数を見極めることが大事なのです。熟成年数の違いによって様々な個性を持ったモルト原酒が生み出されますが、２０年～３０年の長期熟成に耐えうるウイスキーは稀で、良質なモルトとしての証と言えます。

樽材から溶け出した成分が、熟成が進むにつれてウイスキーを琥珀色に変えてゆきます。この色は熟成年数に応じて濃さを増してゆきます。

熟成の段階で、樽に入れて３年位で蒸溜したての原酒が持つ未熟な香りが消えていって逆に甘く華やかな香りが生まれます。これはオークそのものの持つ香りや、蒸溜直後のウイスキーに含まれていた成分、樽から溶出した成分などの間で様々な反応がおこることにより生まれる香りです。

一樽一樽の原酒は、熟成の期間や樽の置かれた場所によって様々な個性を持っています。別々の個性を持ったモルト原酒同士やグレーン原酒を組み合わせることで、常に安定した品質の製品を提供したり、また新しい個性を持ったウイスキーを作り出すのがブレンドです。いずれもよりおいしいウイスキーをつくりあげるための技術です。

ブレンダーには大きくいって三つの役割があります。一つには現在あるウイスキー製品の品質の維持・一定化です。また、すでに樽に寝かされている原酒を使った新しいウイスキーの創造・開発という仕事があります。そして、将来を見越したウイスキーづくりのために原酒づくりのオーダーを行うこともブレンダーの仕事です。ブレンダーには、様々な原酒の味や香りなどの個性を利き分け、ウイスキーのイメージを組み立てるクリエイティビティが必要となります。

グラスに大き目のかち割り氷をたっぷり入れ、ウイスキーを適量注ぎ、マドラーで１３回転半ステアします。溶けた分の氷を足し、冷やした天然水を注ぎ、今度は３回転半ステアして出来上がりです。（おすすめの濃さはウイスキー１：水２．５）

日本の酒税法では、１５度の時に容量１００分中に含まれるエチルアルコールの容量を「アルコール度数」と言います。アメリカで使う「プルーフ」は “０×．５”（１００プルーフがアルコール度数５０度）、イギリスの「プルーフ」は “０×．５７１”（１００プルーフがアルコール度数５７. １度）となっています。

ウイスキーのボトルは、冷たい所や直射日光の当る所は避けて保存しましょう。フタを開けた後のボトルは、湿気の多い所や臭気の強いものがある所も避けて保存しましょう。

ウイスキーを低温下で保存したり、極端な冷所で貯蔵すると透明度が低下することがありますが、常温に戻せばもとに戻ります。

ウイスキーの原酒を樽の中で熟成させた年数のことです。例えば「１２年もの」といえば、使われている原酒の内、一番熟成年数が短い原酒が１２年であることを表しています。

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