Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

ブランデー・サワー

クルボアジェV.S.O.P. 45ml
レモンジュース 20ml
砂糖 1tsp
シェーク/サワーグラス
シェークして、小さな氷を入れたグラスに注ぎ、スライス・レモンを飾る

和洋のサワーを飲み比べよう

いま料飲店では「角ハイボール」や「ビームハイボール」といったウイスキー&ソーダとともに、ホワイトスピリッツにレモンとソーダ水を加えた「レモンサワー」が人気となっている。

年齢を重ねて飲酒スタイルが硬直化しつつあるこのわたしでさえ、居酒屋で「レモンサワー」を一、二杯飲んだりする。ブームってのは凄い。

サントリーのソーダ水で割るだけという「レモンサワーの素」も好評を得ている。CMでは“レモンサワーを家で飲む”普及活動のためにこの世に舞い降りたレモン沢富美男(れもんざわーとみお)という妖精(らしい。妖怪ではない)が登場しているが、この妖精に乗せられて買い求めてみると、すっきりとした飲み口でなかなかいけるのである。

さまざまな流行があり、酒に親しむ楽しいシーンが展開されるのは素晴らしいことだ。ただし、居酒屋文化の象徴ともいえる日本的サワーがある一方で、バーで飲む、元祖サワー系カクテルがあることを忘れてはいけない。


サワーとは酸っぱい、ってこと。元々カクテルの世界ではスピリッツをベースに、レモンジュースと砂糖などをミックスしたスタイルを指す。

そのサワー系の代表といえるのが「ブランデー・サワー」や「ウイスキー・サワー」。他にも「ジン・サワー」「ラム・サワー」「テキーラ・サワー」などベースを替えたサワー・カクテルがある。

今回ご紹介するのは「ブランデー・サワー」。日本的「レモンサワー」が人気上昇中なら、バーでは元祖サワーを飲まなきゃ駄目だろう、と久しぶりに「ブランデー・サワー」をオーダーしてみた。

とても新鮮だった。ベースの「クルボアジェV.S.O.P.」が素晴らしいともいえる。カクテルに使用しても麗しい香味が生きていて、単に熟成感のあるまろやかなフルーティーさだけでなく、包容力のある懐の深さを実感させる。シェークによって、原料ぶどう由来のコクや甘みにレモンが爽やかに溶け込んでいる。「クルボアジェ」がレモンの酸味を優しく抱いているのだ。

古典ともいえるカクテルながら古臭くなく、スーッと口中を滑らかに潤す。素敵な、お洒落な味わいといえる。

ブランデー入門者はカクテルからはじめよう

ぶどうを原料にしたブランデーについて簡単に述べると、白ワインを2度蒸溜し、オーク樽で熟成したもの。なかでも別格に語られるのがフランスのコニャックやアルマニャック。特定の条件を満たして生産されたものに対しての品質保証、原産地統制呼称の認証が与えられている酒である。

誉め称えた「クルボアジェ」はコニャック。1809年創業。210年という時を積み重ねている。

さて、コニャックはフランスのシャラント県にあるコニャックの町周辺でつくられる。製法に関してもいろいろと規定があり、なかでも目を惹くのは蒸溜器。一般的にシャラント式アランビックと呼ばれる銅製単式蒸溜器(イラスト参照)を使用するもので、ウイスキーの蒸溜器(ポットスチル)とはスタイリングが異なっている。小型で独特な柔らかい形状をしていて、アラビア風タマネギ型、とわたしは勝手に呼んでいる。

この蒸溜設備にしても設計やサイズなど法的なものがあり、コニャックと名乗るにはそれを厳守しなければならない。

面白いことに、フランス国内でのコニャックやアルマニャックを含めたブランデーの消費は行き詰まっているものの、アメリカ、ロシア、中国などでよく飲まれており、輸出が好調で数字的には伸張している。

正直に言えば、食後にゆったりとしたブランデー・タイムを過ごす、というフランス人のイメージは変わりつつある。年配者たちがかつてのスタイルを守っているといえるだろう。

時代とともに飲酒スタイルは変貌するから、食後のブランデー・タイムがいずれ再燃することがあるだろう。とはいえ、フランス人はとにかくいろんな酒を飲む。たとえばウイスキー。信じられないだろうが、長年、ウイスキーの一人当たりの国別消費量世界1位はフランスである。

では、フランスの若者はブランデーを飲まないのか、というとそうでもない。バーでウイスキーやジンを飲む彼らは、ソーダ水やトニックウォーターでブランデーを割ったり、いろいろなカクテルで味わっているらしい。

これは輸出先の国々と同じ現象である。とりわけロシアではブランデーのトニック割りの人気が高い。これ、凄く美味しい。“ぶどうジュース”のような、こころ安らぐいい味わいなんだな。

読者の方々にもトニック割りは是非にとおすすめする。

そしてブランデーを飲んだことがないという方には、いきなりストレートを試すことはないよ、とお伝えしたい。手始めに、水割り、ソーダ水割り、トニック割といったお手軽なカクテルをどうぞ。

自宅で楽しむなら「サントリーブランデーV.O」(640ml・37%・税別希望小売価格¥995)がいい。好みのフルーツを1日漬けるだけで美味しくいただけるフルーツブランデーに愛用する人も多く、絶大なファンを持つベストセラーである。コストパフォーマンスは最高だし、まずこちらをお手軽カクテルで味わってみてはいかがだろう。

最後に、もしも今夜、バーの扉を開いてカクテル・タイムを過ごされるならば、是非「ブランデー・サワー」を味わっていただきたい。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 児玉晴希
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

ブランドサイト

クルボアジェV.S.O.P.
クルボアジェV.S.O.P.

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