チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

バリっと素揚げ芽キャベツに粉チーズ

第85回 2022年01月

バリっと素揚げ芽キャベツに粉チーズ

チーズの味わい

小さなボディに味がしっかりと詰まった芽キャベツ、美味しいですよね。今回はその美味しさを素直に味わう素揚げです。全体が茶色っぽくなって「大丈夫かな?」と思うくらいにしっかりと揚げる事でキャベツ臭さが消えて、旨味が出て来ます。

準備するもの
芽キャベツ 食べたいだけ、オリーブオイル 適宜、塩 適宜、粉チーズ 好きなだけ

つくり方
(1)芽キャベツは洗って、火が通りやすいように軸の部分に十字に切り込みを入れる(大きな場合は1/2にする)。
(2)180℃に熱したオリーブオイルで、外側が焦げて茶色になるくらいまで、しっかりと揚げる。
(3)粉チーズをたっぷりふりかけ、好みで塩で味を整える。


よく合うワイン

ロバート ヴァイル ジュニア ヴァイスブルグンダー 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄色いリンゴ レモン はちみつ

芽キャベツの美味しさがしっかりと引き出される組み合わせ。

ロバート ヴァイルは1868年創業で歴代ドイツ皇帝に愛された歴史を持つドイツを代表するワイナリ―の一つ。1988年からサントリーグループに加わっています。ジュニアはそのカジュアルライン。これは、ラインヘッセン産のヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)を、ステンレスタンクで発酵&熟成のクリーンでピュアな味わいが魅力です。芽キャベツ⇒クラウト⇒ドイツというかなり安直な発想で選びました。
芽キャベツと合わせると、ワインの香りに熟れた白桃を思わせるジューシーな果実の感じがグッと出て来ました。その後にとてもピュアな芽キャベツの香りがスッと出て来ます。芽キャベツには少しムワっとした籠った感じがありますが、しっかり揚げる事でそれが無くなり、ワインのピュアさと良く合いつつ、芽キャベツの甘さがしっかりと感じられる気がしました。芽キャベツのほろ苦さと、ワインの柑橘の果皮を思わせるほろ苦さの調和も良く、芽キャベツの美味しさをとても良く引き出してくれるペアリングでした。

サンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 フランスパン バター

芽キャベツ・ワイン共に味わいの幅が広がる、楽しい組み合わせ

1875年創業のチリを代表する名門ワイナリーの一つ、サンタ カロリーナが最も力を注ぐ戦略ブランドがこのレセルヴァシリーズ。ラベルは、創業者ルイス ペレイラの妻カロリーナ婦人の横顔です。シャルドネは海に近く冷涼なレイダ・ヴァレー産を使用し、王道のシャルドネ感をしっかりと持ちつつも、綺麗な酸と上品さも兼ね備えた味わいに仕上がっています。
芽キャベツと合わせると、チーズの風味と芽キャベツのガリっと揚がった香ばしい表面部分の風味がグッと力強く出て来る感じがありました。ワインのはその後に、焼きプリンやキャラメルを連想させる甘香ばしい風味を強く表現してきます。このワインと合わせると、芽キャベツのホクホクした中心とガリっとした表面とのテクスチュアの違いの楽しさにも自然に注目が行く感じで、芽キャベツ・ワイン共に味わいの幅が広がるように感じるとても楽しいペアリングになりました。

サントリー塩尻ワイナリー 塩尻マスカット・ベーリーA 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

■ベリー■いちご 綿あめ バニラ

双方の香りが目立たなくなる、少し残念な組み合わせ。

日本のヘソ、長野県の塩尻市で栽培されるマスカット・ベーリーA100%からつくられるワインです。塩尻市の畑があるエリアは標高が平均で約700mと高く、昼夜の寒暖差の大きな気候から、華やかな香りと、しっかりとした果実味を併せ持ったマスカット・ベーリーAが収穫されます。
芽キャベツと合わせると、塩尻のマスカット・ベーリーAが持っている、独特の土を思わせるアーシーな部分が前に出て来ました。ワインが香りにも味わいにも落ち着きが出る感じで、品種特有の甘くて華やかな香り以外の部分にも目が行くようになります。チーズのまろやかさで、ワインの酸味が親しみやすくなる感じも好印象です。ただ、ワインの香りが強いからか、芽キャベツのやさしい甘さや独特のほっこりとした香りがあまり目立たなくなってしまう感じがあり、そこは少し残念な感じがしました。

E&J ガロ カルロ ロッシ レッド

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム ブラックベリー クローブ

合わせると劇的に香りと味わいが変化する、とても興味深い組み合わせ。

世界No.1※ワイナリー、E.&J.ワイナリーがつくる、「気軽に、気楽に楽しめる、お手ごろな輸入カジュアルワイン。」がコンセプト。南オーストラリア州マレー川沿いの畑のぶどうを、ナイトハーベストしたフレッシュ&フルーティな味わいが魅力です。
芽キャベツと合わせると、不思議なくらいワインが元々と全く異なる味わいに感じられました。元々は黒い果実や甘いスパイス、そこに少し鉄分などを特徴とする香りに思いましたが、芽キャベツと合わせると、オレンジリキュール、濃い色のバラ、エキゾチックなオリエンタルスパイス(八角やコリアンダー)を思わせる香りなど、一気にトーンが高く軽やかな感じが出て来ます。口の中でも感覚は同じで、元々のワインの味わいと随分異なる華やかさが出るのが印象的でした。これぞマリアージュという感じの、合わせてみないとわからない面白さだなと思いました。

※ IMPACT DATABANK 2020 EDITION 2019年度世界販売数より

チャレンジまとめ

今月は旬の芽キャベツで試してみました。まだまだ馴染みのあるとは言えない野菜かも知れませんが、最近は近所のスーパーでも買える事が多くなって来た気がします。僕は昔から芽キャベツのほっこりした食感や、甘さ、後口のほろ苦さが大好きで良く食べて来ました。
今回のレシピは何年か前に、あるお店で頂いたものなのですが、芽キャベツは全体が茶色くなって、外側の葉がバリバリになるくらいまで素揚げすると、本当に良くワインに合うんですね。チーズの企画なので粉チーズをかけていますが、単に塩だけでもとても美味しいので、芽キャベツの素揚げ未経験の方は是非試してみて下さい(油少な目の揚げ焼きでも全然OK!)。キャベツ独特のモワっとした感じが無くなって、その美味しさだけが残る秀逸な調理法だと思います。
実際にワインと合わせてみると、基本は白ワイン向けのメニューだなとは思いましたが、カルロ ロッシとの驚きの変化も楽しかったので、色々と試してみるともっと面白いのかも知れません。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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