チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ヤマザキナビスコ
リッツ® チーズサンド

第18回 2016年05月

ヤマザキナビスコ<br>リッツ® チーズサンド

チーズの味わい

チーズと言うよりは、チーズ風味のおつまみと言った方が近いかも知れません。皆さんご存知のリッツ® クラッカーに、チェダーチーズ風味のチーズクリームがサンドされた一品です。
程よく塩味の効いたサクサクのリッツ® クラッカーと、コクと滑らかさを与えるチーズクリームのバランスが良く、軽やかなので、ついつい次の1枚にいってしまう美味しさです。
ワインに限らず、色々なお酒のいいおつまみになりそうです。 
 


よく合うワイン

ワインの酸と苦味が強調され、味わいが硬く感じられるマリアージュ。

ジャン ガイラーはフランス・アルザス地方の伝統ある協同組合。熟した果実感と、引き締まった酸味のメリハリのある味わいの辛口白ワインです。
リッツ® チーズサンドと合わせると、不思議なくらいワイン単体で飲んだ時の熟した果実感が感じられなくなって、酸味とミネラルの苦味が強調される結果になりました。チーズクリームも滑らかというより詰まった味わいに感じて、全体的に硬い味わいになります。酸っぱいものが好きで、ワインから石っぽい味を感じてみたいという方は是非試してみて下さい。

シャトー ド ラスコー (白) 2014※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

あんず 白桃 はちみつ

一体感があって、お互いの良さを引き出すとても良いマリアージュ。

南仏ラングドック地方で有機栽培されたぶどうからつくられる、辛口白ワインです。ぶどう品種はヴェルメンティーノを主体にルーサンヌなどをブレンド。コクのある果実にほんのりとした苦味がアクセントになっています。
リッツ® チーズサンドと合わせると、ワインのふんわりとした厚みとテクスチュア、リッツ® のサクサク感、チーズクリームの滑らかさが渾然一体となって口の中で溶けていく感じで、とても心地よいマリアージュとなりました。ワインの果実のリッチさや、リッツ® の香ばしさなど、それぞれの良いと思われる点も強調されて、それぞれ単体よりも明らかに美味しくなります。これはとてもオススメの組み合わせです。

カルロ ロッシ カリフォルニア レッド

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

アメリカンチェリー ■ベリー■いちご ミント

さりげない、でも美味しい。気軽に楽しむマリアージュ。

輸入ワイン売上容量No.1※のベストセラーブランド「カルロ ロッシ」がペットボトルになって新登場です。カリフォルニアの太陽をいっぱい浴びた果実からつくられる、フレッシュでフルーティーな味わいの赤ワインです。
リッツ® チーズサンドと合わせると、単体で飲んだ時よりもワインのタンニンや酸味が強めに感じられるようになりました。ただ、ネガティブな感じではなくて、ワインの味わいに複雑さを与える感じです。リッツ® チーズサンドの方は、自分はあまり主張せずに全体の味わいを支えている感じがしました。
さりげない相性なのですが、気付いたらワインもリッツ® も両方なくなっていそうな、そんな不思議な魅力のある組み合わせです。おしゃべりしながら気軽に楽しむなら最高の組み合わせかも知れません。


※2015年1月~12月輸入ワイン売上容量 インテージMAI調べ

ヤルンバ バロッサ シラーズ 〈サミュエルズ コレクション〉

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム チョコレート ベーコン

リッツ® は黒子に徹するが、ワインは確実に美味しくなるマリアージュ。

オーストラリアを代表するワイン産地バロッサの9つの異なる土壌のシラーズをブレンドした、オーストラリアン・シラーズの典型と言えるワインです。深い果実のコクを味わえるフルボディの味わいです。
リッツ® チーズサンドと合わせると、これは完全にワインの方が強い組み合わせで、いったんリッツ® の味わいはワインの味わいに飲み込まれて消えてしまう感じになります。しかし、注意深く味わってみると実はそうではなくて、リッツ® が色々なところでワインの味わいに良い影響を与えている事に気付きます。具体的に挙げると、果実味がよりフレッシュに感じられ、タンニンはより滑らかに、余韻にあった苦味が消えるなどがあります。
リッツ® チーズサンドは見事な黒子役と言えるでしょう。

チャレンジまとめ

 第16回の「キリ&スティック」でも述べましたが、やはりワインとチーズとクラッカーという3つの組み合わせは三位一体を感じさせるとても良い組み合わせだと、改めて実感しました。今回のリッツ® チーズサンドは、チーズは脇役でリッツ® クラッカーが主役の味わいだと思いましたが、基本的にワインとの相性が良い事には変わりありません。
 今回のマリアージュ実験では、全てのワインで、元々の味わいの特長が引き出される、という結果が出ました。ジャン ガイラーではもともと引き締まった酸味が特長のワインのために、やや飲みにくさが出てしまいましたが、それ以外のワインではそれぞれワインの良い特長が出て、ワイン単体で飲むよりもはるかに美味しくしてくれました。ジャン ガイラーにようにネガティブに特長を引き出す場合も無くはないですが、多くの場合は良い方向に特長を引き出すのが、リッツ® チーズサンドとワインのマリアージュだと思います。今回試していないタイプのワインだと、リッツ® 由来の香ばしさがしっかりとあるので、樽熟成した白ワインなんかも良く合いそうですし、味わいの強さからして、カジュアルなチリワインなんかでも美味しく頂けそうです。
ところで、不思議な事に今回一番心に残ったマリアージュは点数の一番高かったシャトー ド ラスコーではなく、実はカルロ ロッシでした。気軽なワインと気軽に手でつまめるおつまみがある楽しい時間。そういう空間・空気をつくるというのが、実はこの組み合わせの一番しっくりくるところなのかも知れません。



■ 関連サイト
ヤマザキナビスコ リッツ® チーズサンド(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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