園芸用語辞典/さ行
細菌病(さいきんびょう)病害虫
細菌による病害の総称。植物の主な病原細菌としてはシュドモーナス属、ザントモーナス属、エルビニア属、アグロバクテリウム属、コリネバクテリウム属、およびストレプトマイセス属の6属があり、カーネーションの萎凋細菌病やバラの根頭がん腫病などが代表的な花の細菌病です。糸状菌による病害に比べて、数は少ないが、一般に防除が難しい。
再分化(さいぶんか)生長
胚や成長点など機能が特殊化していない状態から葉や根など特定の機能をもつ状態へと変化することを分化という。植物の組織培養で、葉、茎、根などの分化、成熟した細胞が分裂してカルスとなることを脱分化という。脱分化したカルスから不定芽、不定根、不定胚などを分化することを再分化という。
咲き分け(さきわけ)生長
同一の植物に二つ以上の異なった色や形の花が咲くこと。サツキなどによくみられ、金采という品種は花冠が細く切れ込むものと通常の花が咲くことで知られています。
作落ち(さくおち)生長
株分けや移植などによって、前年より確実に生育が衰えたり、極端に花つきや実つきが悪くなること。直根性草花や、洋ランにはしばしば起こります。また、土壌の老化などによって起こる生育障害を指すこともあります。
座止(ざし)生長
ロゼット状の成育が続いて、正常に伸長、花器の分化形成が行われないことをいいます。例えば花芽分化に必要な低温が与えられなくて、いつまでも栄養成長を続けること。また分化した器官が発育を停止して完成しない場合、例えば花芽は分化するが、その後の発達が行われずに、正常に開花しない現象(アポローション)を指すこともあります。
砂壌土(さじょうど)用土
土壌はその粒径の大きさで、砂、シルト(微砂)、粘土に大別することができるが、各々の含有割合により土性区分が異なります。その区分名の一つで砂をシルトとほぼ同量かやや多く含み、粘土含量が少ないものを指します。ただし砂径0.01mm以下を粘土とすると12.5%~25%含むものを指します。「農学会法」によります。
殺虫剤・殺菌剤(さっちゅうざい・さっきんざい)薬剤
病虫害の発生時に散布する薬剤を指す。殺虫剤には、表土にまく顆粒状のものや、指定された希釈倍に薄めて使うものなど、各種あります。殺菌剤にも、液状のものや粉末のものなど、種類は豊富。使用時は発生した病虫害に効果のある薬剤を、早めに散布することが大切。小規模の容器栽培程度であれば、殺虫、殺菌を同時に行えるエアゾール・タイプのものが手軽で便利。
砂土(さど)用土
砂の割合が85%以上と多く、粘土が0~15%で、土の中では最も粗い土壌のことをいいます(「国際土壌学会法」による)。通気性はよいが、保水力、堆肥力が小さい。
三相分布(さんそうぶんぷ)用土
土壌は固相、液相、気相の三相から構成されており、その三相の割合。土壌はこの三相があって、はじめて土壌として機能するが、その割合はその土壌の物理性を評価する指標の一つ。どの部分が多すぎても少なすぎても作物栽培には問題があります。
山野草(さんやそう)植物
野や山に自然状態で成育している植物で、草本性の一・ニ年草、宿根草、球根類のことをいいます。しかし、成育場所も厳密なものではないため、一般には低木類も含めて扱うことが多いです。山野草を栽培し、展示する団体や会では、選抜種はもとより、交雑育種された園芸品種も含めるのが普通です。外国からの導入種を洋種山草として区別することもあります。
自家受精(じかじゅせい)生長
同一の花に生じた花粉と胚のうの間で行われる受精のことで、他家受精の対語。一般に自然交雑率が「4%以下のものを自植生植物といいます。自家受精の能力が強く備わっているものとして、ストック、キンギョソウ、スイートピー、ビジョザクラ、フロックスなどがあります。自植生植物ではその品種特有の個体を選抜して自家受精を継続していけば、純粋な集団(純系)を得ることが容易です。
四季咲き(しきざき)生長
一定の開花期をもたず、生じた茎や枝がある程度成長すれば開花する性質。年1回定まった時期に開花する一季咲き性や、年2回開花するニ季咲き性と並んで用いられることが多いです。この性質を持つ園芸品種を四季咲き品種といいます。四季咲き品種は、温度条件が満たされれば咲くものが多く、日長によってあまり左右されません。
直播き(じきまき)育て方
植物を育苗せずに、種子を直接ほ場(本ぽ)に播くこと。直播。ケイトウ、ハナナなど移植が困難な種類で主に行われています。
糸状菌病(しじょうきんびょう)病害虫
真菌類(いわゆるカビ)のうち、糸状の菌糸という栄養器官を形成するものを糸状菌、これを形成しないものを酵母といいます。このうち糸状菌は植物の病原微生物として最も種類が多く、重要とされています。糸状菌によっておこる植物の病気を総称して糸状菌病といいます。花でも、キクの白さび病、バラのうどんこ病、シクラメンの灰色カビ病など被害の大きな病害が糸状菌によっておこされます。植物の病原微生物の種類としては他に、細菌、マイコプラズマ、ウイルスなどがあります。
自然生態系(しぜんせいたいけい)その他
人為的な影響を受けていない地域について、その中に棲むすべての生物とその地域内の大気、水、土壌などの環境とを、互いに関連しあう一つの系としてとらえたもの。この系の中では、環境と生物、または生物同士が互いに影響し合い、系を安定的に維持しています。
自然日長(しぜんにっちょう)生長
自然条件下において、一日のうち植物が光の存在を感じている時間。通常、日の出から日の入りまでの時間に20~60分を加えた時間をいいます。これは日の出直前と日の入り直後の明るさに植物が感応するためです。したがって、春分、秋分の日の自然日長は、12時間よりもかなり長くなります。自然日長のことを普通「日長」といいます。
仕立鉢(したてばち)その他
鉢物栽培で定植前に育苗する時の植木鉢。苗がまだ小さく、草勢が弱いので、なるべく排水性に富み根系の速やかな発達をうながすような材質、例えば素焼鉢やピート製のものなどが適しています。近年は培養土や栽培技術の改良、育苗の向上などにより、黒色のポリポットが一般に用いられています。仕立鉢に対して、最終的に定植する鉢を仕上鉢(しあげばち)と呼びます。
シダ類(しだるい)植物
種子を作らない維管束(いかんそく)植物を総称して、シダ植物というが、葉の系統発生の差異から、シダ類、トクサ類、ヒカゲノカズラ類、プシロフィトン類に分けられます。シダ類は大葉類とも呼ばれ、大葉を持つのが特徴で、葉の緑や裏面に胞子嚢群(ほうしのうぐん)を生じます。園芸の分野では観葉植物として鉢物、庭園に利用される他、園芸資材(ヘゴ、食用(ワラビ、ゼンマイ)、薬用(オシダ)として利用される種類もあります。
枝垂れ性(しだれせい)植物
一般に樹木で見られる枝が下に垂れる性質。トレーリングタイプともいいます。
周年開花(しゅうねんかいか)植物
栽培条件が満たされた場合、一年中開花する習性。熱帯花木などに多い。草花でも、セントポーリアなど、人工的に理想的な環境や栽培条件を設定すると、周年開花となるものがあります。
湿生植物(しっせいしょくぶつ)植物
湿潤な水辺や湿原に成育する植物の総称。この植物は水生植物の抽水植物に似ていますが、水中よりも湿原を好む植物です。一般の鉢栽培では、抽水植物を鉢底に穴のない鉢で栽培し、湿生植物を穴のある鉢で栽培しています。サギソウ、サラセニアなど。
質的短日植物(しつてきたんじつしょくぶつ)植物
短日植物のうち、ある日長を境にして、それより長い日長においては花芽分化をおこさないという特性をもつ植物。この境となる日長のことを限界日長(げんかいにっちょう)と呼びます。限界日長は必ずしも12時間とは限りません。キクは質的短日植物として知られています。ほかに、ポインセチア、ブーゲンビリア、カランコエ、コリウスなどがあります。
質的長日植物(しつてきちょうじつしょくぶつ)植物
長日植物のうち、ある日長を境にして、それより短い日長においては、花芽分化をおこさない、という特性をもつ植物。この境となる日長のことを限界日長(げんかいにっちょう)と呼びます。限界日長は、必ずしも12時間とは限りません。質的長日植物にはヒヨス、ビート、ホウレンソウなどがありますが、花き類には例は少ないです。
室内庭園(しつないていえん)その他
建物の室内に作られる庭園。観葉植物の鉢物を適宜、配置した空間も時としてインドアガーデンと呼ばれますが、室内に地盤を造成し、植栽や池、石組等によって一定のデザインに仕上げたものを通常、室内庭園と称します。作庭に当たっては、屋外と比べて著しく光条件の制約を受けるため植栽する植物の種類は充分吟味しなければなりません。また2階以上のフロアーでは、荷重制限があることと防水処理に充分留意しなければなりません。
室内緑化(しつないりょっか)その他
建物の室内を修景等の目的で緑化すること。個人住宅の室内に観葉植物の鉢物を置く程度のことから、大規模な吹き抜け(アトリウム)空間や鑑賞温室(コンサーバトリー)を高、中、低木や地被、芝生の組み合わせにより、屋外の植栽空間と同様な雰囲気に緑化するなど、さまざまなケースがあり、室内庭園を包括した概念。葉に付着したほこりの洗浄など、室内ならではの管理作業も必要となります。汚染空気の浄化等の効果も注目されています。
指定種苗(していしゅびょう)植物
「種苗法」第1条の2、第2項目に基づいて、農林水産大臣が流通する種苗の品質保持と利用者がその品質の識別を容易にするため、販売に際して一定の事項の表示を義務付けた種苗を指します。
自動潅水(じどうかんすい)育て方
用土の含有水分量をセンサーで検地し、自動的に給水量を制御して効果的にかん水を行う方法。この方法としては、タイマーによる一定時間ごとにかん水する方法と、テンシオメータや電気抵抗を用いて土壌の必要水分量に応じてかん水する方法、および蒸発量に応じてかん水する方法があります。
ジベレリン(じべれりん)生長
植物ホルモンの一種。イネバカナエ病菌の代謝産物として発見された。高等植物に広く分布し、頂芽、若い葉、根、未熟種子などで合成されます。単一の物質ではなく、類似の構造のものがこれまでには、約100種発見されている。細胞の伸長や分裂を促進し、茎葉果実の成長肥大を促します。また長日植物の抽台(ちゅうだい)(とう立ち)や開花促進、単為結果(タネなし等)の促進、種子の休眠打破、発芽促進などの作用を有します。液剤、粉末、塗布剤などが商品化されています。また、シクラメン、チューリップの開花促進、ブドウの無種子化、果粒肥大などに利用されています。
子房(しぼう)植物
雌しべの一部で、受精後はなかに種子を作り、果実となる部分。子房に対するがく、花冠、雄しべなどのつく位置は植物の種によって異なり、子房の位置の高いほうから、子房上位(ユリ、モモなど)、子房下位(アヤメなど)と呼ばれます。
遮光(しゃこう)育て方
光を遮ること、光が外にもれないようにすること。花き園芸の分野では、光をまったく透過させない幕(遮光幕)などで栽培植物をおおい、一時的に暗黒とし、短日条件を人為的に作ることをいいます。
遮光栽培(しゃこうさいばい)育て方
自然日長が長日期にある時に、光不透過資材(黒布など)で植物をおおい、一定時間暗黒として、人為的に短日条件を与える栽培法。暗黒処理と同じく、キク、カランコエ、サコバサボテン、ポインセチアなどの短日植物に対し、開花促進を目的に行われます。
汁液伝染(じゅうえきでんせん)病害虫
ウイルスなどの病原体が植物の汁液のなかに存在しいていて、芽かきやせん定などの作業の際に手指やはさみに付着して、次の植物個体に伝染すること。汁液伝染を防ぐには、第三リン酸ソーダ(ウイルス)や次亜塩素酸ソーダ(細菌)などによって、指やはさみの消毒を行います。
雌雄同株(しゆうどうしゅ)植物
株に咲く花の種類を表した用語。これは単性花をつける植物で、一つの株に雌しべだけをもつ雌花と雄しべだけをもつ雄花をつけること。例としては、キク科のオナモミやウリ科のキュウリ等があります。
樹冠(じゅかん)植物
樹木の頂部付近で小枝のこみ合った広がりのある部分を指します。自然界での若木の樹冠部は伸び盛りを現わし、先突き状になるが、老木になると丸みを帯びて、ちょうど鍋底を逆さにした姿になります。盆栽では古色を尊重することから樹冠は丸みをもたせて仕上がります。ただスギなど直立形の個性派の樹種の場合は、先を小さくする場合もあります。
主根(しゅこん)植物
種子が発芽した時に出す最初の根のこと。裸子植物と双子葉植物では著しく発達する。主根から出る根を測根(そっこん)または枝根(えだね)といいます。主根に養分を蓄えて肥大しものには、ダイコンやニンジンがあります。この場合、肥大した根のことを直根(ちょくこん)と呼びます。一方、単子葉植物では、主根はあまり発達をせず、ひげ根となります。
宿根草(しゅっこんそう)植物
花き品目を実用的に分類する場合の園芸分野の慣用語。多年草のなかでは、球根類、ラン類、サボテン類、多肉植物、タケ、ササといった分類に含むことができないものの総称。例えばガーベラ、マーガレットなど。
種子繁殖(しゅしはんしょく)生長
植物が種子によって次世代を繁殖すること。一般に一年草や二年草は種子繁殖をします。種子は雌性器官と雄性器官で形成された配偶子が接合してできるため、有性繁殖ともいいます。減数分裂、受精といった生殖過程を経るため、遺伝的に同一のクローン個体が増える栄養繁殖とは異い、繁殖した個体は遺伝的には親個体とは同一でないです。
種苗(しゅびょう)植物
狭義には種子および苗のこと指す。法律上はすべての農林水産物の繁殖に供するものをいい、植物では、種子、球根、苗、木本植物の苗、枝、キノコ類の菌糸、菌株、海藻類の苗、種子、胞子などを指します。
種苗法(しゅびょうほう)その他
流通する種苗の品質の確保および植物の新品種の登録により育成者の権利保護を行って、育苗の振興をはかるために制定された政令。
順化(じゅんか)生長
植物が新しい環境に適応することを示すが、園芸上は完全栄養のもとで育てられた培養植物が通常の栽培条件でも順調に育つようになっていくことを順化といいます。広義には施設などで、外部環境の影響を受けないで育った幼植物を、いったん低温や乾燥に合わせ、外部環境のストレスに強くさせる処理を含みます。
子葉(しよう)植物
種子植物で、最初の節に形成される葉。1枚の植物を単子葉植物、2枚の植物を双子葉植物といいます。子葉はその後に展開する本葉(ほんよう)とは形や大きさが大きく異なります。
小花(しょうか)植物
1本の花茎に複数の花がつく場合、一つ一つの花を小花という。例えばキク、ダリアなどは一つの花のように見えますが、実際は多数の小花芽集まったものです。
蒸散(じょうさん)生長
根から吸収され、道管を通じて枝葉に供給された水分が水蒸気として空気中に排出される現象。クチクラ層を通じても多少行われますが、大部分は葉の気孔(きこう)を通じて行われます。水の蒸発に多量の熱を使うため、葉の異常昇温を防ぐ効果があります。また根から吸収した養水分の移動を促進する働きがあります。一般に光が強いほど、蒸散は盛んになります。
照度(しょうど)その他
入射する光の強さを、人間の目に感じる明るさで表すための尺度。単位は1x(ルクス)。人間の目は普通の明るさに順応している時(明所視)には、波長 555nm(ナノメートル)付近の緑の光の感度が高く、その両端の波長に移動するにしたがって感度が低下していきます。各波長の感度の相対値を示したものを比視感度と呼び、これに基づいて光の強さを評価したものが照度です。
照葉樹(しょうようじゅ)植物
ツバキ、シイ、カシ、クスノキ、タブノキなど、葉が厚く、革質で表面にクチクラ層がよく発達して光沢のある常緑樹を指します。照葉樹が優占した林を照葉樹林といい、ヒマラヤからアジア東南部にいたる暖温帯で多湿なところに分布します。日本では本州の南半、四国、九州に広く見られます。
常緑樹(じょうりょくじゅ)植物
落葉樹の対語で、葉の寿命が1年以上あり、常に緑を保ち続ける樹木を指します。熱帯から暖温帯にかけては常緑広葉樹が広く分布し、温帯から亜寒帯にかけては常緑針葉樹が主体である。シイ、カシなどの落葉は春の新葉が展開してからであるが、マツ、スギ、ヒノキなどは秋から冬にかけて落葉します。
植物ホルモン(しょくぶつほるもん)植物
植物体内で生産されて、低濃度で植物の生理過程の調節をする物質及びその類似作用をもつ物質の総称。産生器官とそれが働く標的機関が異なります。今日知られている植物ホルモンは、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノステロイドなどです。
シリンジ(しりんじ)育て方
水を噴霧器に入れてスプレーすること。空中湿度を必要とする植物に有効です。また、乾燥状態で発生しやすいハダニの駆除にも役立ちます。
心止まり(しんどまり)生長
植物の成長点が伸長を停止すること。座止(ざし)と同義の時やホウ素欠乏による場合などがあります。キクの成長点に柳芽ができて、わき芽が伸長する場合にも使用します。正確な用語ではありません。
水耕栽培(すいこうさいばい)育て方
植物の生育に必要な無機養分を溶かした培養液に直接根を張らせて栽培する方法のこと。ただし、根部を支えるために人工礫やウレタンなどを用いる土なし栽培(家庭園芸でいうハイドロカルチャー)もこれに含まれます。
水分ストレス(すいぶんすとれす)生長
土壌中の水分が低下して作物の水分吸収が困難になった状態。気孔の閉鎖や水分不足による光合成の低下、それによって成育の抑制がおこり、急激な場合はしおれてしまいます。ただし作物によっては品質を高めるために水分ストレスを利用する栽培管理方法もあります。
スタンダード作り(すたんだーどづくり)育て方
バラなどで1本の主茎(茎)を垂直に高く伸ばし、その上部に多くの開花枝を傘状に伸ばして開花させる栽培法を指す。フクシア、ベンジャミンゴム、クルメツツジなどでも行われます。
ストレス(すとれす)生長
発育に好適な範囲を逸脱した条件に、生物がさらされること。
スプリンクラー(すぷりんくらー)その他
散水かんがいに用いられる自動散水の機械装置。水を噴出するスプリンクラー頭部、配管、ポンプおよび原動機などで構成されています。
スプレー咲き(すぷれーざき)植物
茎の上部が枝分かれして、多数の花をつける咲き方。バラやキクなど、切花用の品種に多い。ひと茎ひと花の逆です。
スプレイタイプ(すぷれいたいぷ)植物
1本の主茎に数本から数十本の花柄(かへい)を伸ばして比較的小輪の花を数多くつけた切り花。キク、バラ、カーネーションなど、従来1本の茎に一つの大輪の花をつけるのが一般的であった品目にスプレイタイプが登場し人気を得ています。
素焼鉢(すやきばち)その他
粘土を700~900℃で焼いた陶製でレンガ色の植木鉢。壁面に微細な孔げきがあるため通気性、吸水性に富み、根が良好に成育をします。その反面もろくて壊れやすいので扱いにくい上に、乾きやすいのでかん水に技術を要します。壁面に藻(ソウ)類が発生して汚れやすいため流通段階での利用は減っており、育苗用に小型のものがもちいられることが多いです。
スリット式バスケット(すりっとしきばすけっと)その他
日本独自のバスケット器材。植物の茎の部分をバスケット側面に設けられたスリット(切れこみ)に通して植えます。従来からあるワイヤーバスケットのように根鉢を崩す必要がないため、植え傷みが少ない。
スリップス(すりっぷす)病害虫
発生時期:4~10月
寄生植物:多く植物の花、葉、樹皮下
被害症状:はじめ葉に白っぽい小斑点だったものが灰色や褐色、黄色になったり葉が縮む、変形するなどの症状が現れる
生態:体長1~2mmの細長い虫で成虫は黄色、灰褐色や黒色系が多い。アザミウマ
防除方法:薬剤散布
寄生植物:多く植物の花、葉、樹皮下
被害症状:はじめ葉に白っぽい小斑点だったものが灰色や褐色、黄色になったり葉が縮む、変形するなどの症状が現れる
生態:体長1~2mmの細長い虫で成虫は黄色、灰褐色や黒色系が多い。アザミウマ
防除方法:薬剤散布
生育適温(せいいくてきおん)生長
その植物が支障なく生育し続けるのに適した温度範囲のこと。原産地の気候によって異なり、例えば中国四川省を原産地とするプリムラ・マラコイデスの生育適温は15~20℃であるのに対して、熱帯アジア原産のアサガオなどでは25~28℃と、かなりの差があります。生育適温の違いは、栽培型の違いにもつながり、温帯産のプリムラなどは秋にタネをまいて春に花を咲かせる「冬栽培型」、熱帯産のものは冬を避けて春にタネをまき、夏から秋にかけて花を咲かせる「夏栽培型」として扱われます。
生花(せいか)植物
生の花という感覚で使う場合は、造花に対する言葉である。鉢物、切り花、切り葉も含めた花全体として呼ぶ場合が一般的になっています。
整枝(せいし)育て方
主に木本類で、観賞価値を高めるために、自然樹形、玉散らし、武者立ち、ろうそく仕立て、玉造りなど、目的に応じて本来の自然状態の樹高や樹形とは異なった樹姿作りを、行う作業。カーネーションやキクなどの切り花で余分な枝を除き、受光態勢を整える場合にも使います。
先祖返り(せんぞがえり)生長
系統や品種のなかのある個体に先祖の形質が現れることを意味します。遺伝子の突然変異や品種間の交雑によって一代雑種(F1(エフワン))または二代雑種(F2(エフツー))に生じます。花ではスイートピーなどで比較的高頻度に出現することが知られています。
剪定(せんてい)育て方
不要な枝を整理して姿、形を整えたり、樹高(草丈)を抑えたり、分枝を促す目的で、枝や茎を切る作業のこと。生育状況や目的に応じて「刈り込み」(トリミング)、切り戻し(ピンチ)「芽摘み」、「摘芯」といった言葉が用いられますが、いずれも剪定作業の一種です。
草姿(そうし)植物
草花の姿形。花だけではなく、葉や茎なども含みます。
側芽(そくが)植物
芽の発生位置によって分類した時、茎の側部から発生した芽を指しています。茎の頂部(先端部)から発生する芽は頂芽と呼ぶ。側芽は普通葉えきに発生するのでえき芽ともいいます。側芽が成長すると側枝になります。
側枝(そくし)植物
主幹あるいは主枝から側方に出る枝を側枝といいます。普通は斜め上の方に伸びる(斜向性)が、垂下するもの(枝垂れ(しだれ))もあります。
組織培養(そしきばいよう)その他
植物体の一部を切り取り(外植体)、それを試験管などで無菌的に培養すること。外植体を成長また増殖するために養水分などを供給する培地を用います。組織以外にも細胞や器官を培養する場合もこの用語が用いられます。バイオテクノロジーの基本となる技術で、花き園芸ではウイルスに感染していない苗の育成、大量増殖、新品種の育成に利用されています。
速効性肥料(そっこうせいひりょう)肥料
すぐに肥効のあらわれるタイプの肥料。追肥に向きます。与える量が多すぎると、植物が濃度障害をおこすので規定量を守ることが大切になります。
側根(そっこん)肥料
第1次根である主根から出てくる第2次根のこと。別名、枝根(えだね)ともいいます。主根と同様に先端部に成長点をもち、また根毛を有し、養水分を吸収する機能があります。そのほか植物体を支えるために重要な役割もあります。
ソフトピンチ(そふとぴんち)育て方
ハードピンチに対比される摘芯方法。若くやわらかい茎の頂部を指の爪先などで小さくつまみ取る方法など。発生する側芽が均一に伸び、発生数もやや多くなるという利点があるため、ストック、キンギョソウ、カーネーション、キクなどで行われています。バラでは、形成された葉が多く残るため、短期間に株を仕立てる場合にとられています。