園芸用語辞典/か行
開花調節(かいかちょうせつ)育て方
栽培法(栽培時の日長条件や温度の調節、整枝の仕方、時期など)を工夫したり、植物成長調節物資を処理することにより、人為的に開花時期を早めたり(促成栽培)、遅らせたり(抑制栽培)して、自然の開花期と異なる時期に開花させること。
開花誘導(かいかゆうどう)育て方
花成誘導、催花(さいか)ともいう。植物体内で花芽分化の準備が整うこと。植物が花芽形成に適した温度条件や日長条件(誘導条件)に遭遇したり、または人為的に誘導条件や化学物質が処理されたりすることなどによりおこります。開花誘導が順調に進むと、花芽分化がおきます。
塊茎(かいけい)植物
茎の基部もしくは地下茎の先端が異常に肥大成長したもので、養分の貯蔵器官もしくは栄養繁殖器官となっています。塊茎は茎の組織が肥大、短縮したもので、地下茎と同様に節の葉えきに芽があるため、塊茎をいくつかの小片に切っても、芽があればそれぞれ完全な個体に成長します。例として、カラジウム、アネモネ、シクラメン、グロキシニアなどがあります。
塊根(かいこん)植物
多年草で根が肥大して塊状になり、多くの貯蔵養分を含むもの。塊根とはダリア、ラナンキュラスなどの多年生植物のみについていい、ダイコンやカブのような一二年草の場合は、根が大きく肥大しても塊根とはいわず、肥大根といいます。
返り咲き(かえりざき)生長
狂い咲き、二度咲き、不時開花(ふじかいか)と同義語。本来の開花時期でないのに花が咲くこと。主に夏に分化した花芽が風害、病虫害、薬害などによって成育期に落葉する結果、開花する現象です。一例としてサクラ、フジなどで8~10月に開花することがあります。正常な時期に開花したものに比べて花形はやや小さく、花色が淡くなる傾向があり、時には形態異常となることもあります。
花芽(かが)植物
生長すると花になる芽のこと。植物の種類によって形成される条件、部位は異なります。日照が一定の時間より短くなると花芽が形成される「短日性」、日照が一定の時間より長くなると花芽が形成される「長日性」は、花芽形成のわかりやすい例です。
化学肥料(かがくひりょう)肥料
化学的に合成された肥料。
花芽形成(かがけいせい)生長
催花(さいか)という場合もある。花芽が作られることで、茎頂部の形の変化(成長点が膨らみ大きくなる)に始まり、葯(やく)や胚珠(はいしゅ)のなかで生殖細胞(精細胞、卵細胞)が形成されるまでの一連の花芽の形成、発達の過程をいいます。
花芽分化(かがぶんか)生長
植物の成長点で将来花になる芽が形成されること。
花冠(かかん)植物
ひと花に含まれる、すべての花弁の総称。
花卉(かき)植物
草花のこと。
萼(がく)植物
花の最外部にあって、普通は緑色をしている花葉(かよう)の集まり。がくを構成する一つ一つをがく片といいます。よく「がくおよび花弁」といわれますが、それは正しくありません。がくには花冠が花弁にはがく片が対応するので、正しくは「がく片および花弁」、「がくおよび花冠」になります。花弁の寿命は短く、がく片の寿命は長いのが普通です。
学名(がくめい)その他
生物に付けられた世界共通の名前(正名)。植物は国際植物命名規約に基づいて命名されます。この規約による名前の付け方は二(命)名法と呼ばれ、ラテン語を用いて最初に属名、次に種(小)名を書きます。例えば日本に自生するヤブツバキはカメリアジャポニカ=Camellia japonica L..。これがイタリック体で表記されます。ラテン語で表記されることから「ラテン名」とも呼ばれます。また栽培品種は人間が創出したものであり、一般には品種名で取り扱われます。この栽培品種名は国際栽培植物命名規約に基づいて次のような三(命)名法が用いられます。属名+種(命)名+栽培品種名。この場合、属名と種名はイタリック体、栽培新種名はcv.(cultivar栽培品種の略号)または単一引用府で囲みます。
花茎(かけい)植物
チューリップやウメバチソウのように、花と実をつける目的で根元から伸びだす茎のこと。小葉をつけるものもありますが、わき芽は発生せず、タネが成熟すると役割を終えて枯れます。
花糸(かし)植物
雄しべの葯(やく)より下の部分。雄しべは花粉を入れる葯と葯を支える花糸からなります。雄しべの数や相互の合着の度合い、葯の花糸へのつき方、葯の裂け方などは科あるいは属のレベルでの分類の重要なポイントになります。
花軸(かじく)植物
花を支える茎のこと。花は花軸とそれに付着する花葉(かよう)からなります。多数の花が集合して一つの花序を作っている場合、花序全体を支える軸が花軸で、個々の花を支えるのが花柄(かへい)または小花柄です。これらは花軸が分枝したものです。
花熟(かじゅく)生長
植物が性的に成熟して、花をつける能力をもった状態。ヘデラのように花熟状態に達すると葉の形が変化する植物もありますが、多くは体内での質的な変化であり、外観から判断することはむずかしいです。切り花、鉢花の営利生産では計画的に開花させることが重要ですが、そのためにも花熟の判断法の開発が望まれています。
花序(かじょ)植物
枝の上の花の配列状態。また配列している花の集まり。
花穂(かすい)植物
穂状になった花の集まり。穂状花序(すいじょうかじょ)、総状花序(そうじょうかじょ)をいいますが、ときには互散花序(ごさんかじょ)や巻散花序(けんさんかじょ)なども花穂といいます。
化成肥料(かせいひりょう)肥料
化学合成によってつくった無機質肥料のうち、チッ素、リン酸、カリの三要素のうちの2つ以上を含むものを「化成肥料」といいます。硫安、尿素(チッ素肥料)、過リン酸石灰(リン酸肥料)、硫酸カリ(カリ肥料)など、三要素のうちの単一成分だけをもつものを「化学肥料」といいます。
花成ホルモン(かせいほるもん)生長
開花ホルモン、フロリゲン、花成刺激とも呼ぶ。花芽分化が誘導される条件下にある葉で作られ、体内を移動して花芽分化を引きおこすとされる物質のこと。 1882年にはザックス(J.Sachs)が「開花は何らかの物質により誘導される」という仮説を発表しています。チャイライハン(M.C.Cajlachjan)は接ぎ木実験によって花成ホルモンの存在を確信し、1936年に、その仮想の物質をフロリゲン(florigen)と命名しました。しかし今のところ物質本体が何であるかは明らかになっていません。
活着(かっちゃく)生長
植えかえた苗などが、新根を出して順調に成長を始めること。接ぎ木の際、穂と台木が接合し、茎葉が成長し発根する場合、挿し木した穂が発根する場合にも使います。
家庭園芸(かていえんげい)その他
個人が非営利的に各家庭の庭、ベランダ、室内などで園芸を楽しむこと。
鹿沼土(かぬまつち)用土
栃木県鹿沼地方から産出する腐朽軽石(ふきゅうけいせき)。微粒を除いたものを使用するが、保水、通気、透水性に富み、特に硫径の大きいものは通気性が、小さいものは保水性がよく、物理性に優れることから、鉢用土に適しています。微酸性で、特にサツキ栽培に適し、サツキ盆栽には欠かせないものとなっています。病原菌もないことから挿し木用土にも適しています。サツキ盆栽では単独で使用しますが、他の土壌や有機物と混合して、鉢物用土としても用いられます。
花被(かひ)植物
広い意味では、がくと花冠をひとまとめにして花被といい、狭義にはそれらが区別しにくい時に用いる。花被を構成する花葉の1枚1枚を花被片といいます。花被が外側と内側に区別できる時は、外側の花被を外花被(がいかひ)、内側の花被を内花被(ないかひ)といいます。花被片がよく似ていて区別できない時、その集まりを花がいと呼びます。
株間(かぶま)育て方
植物を列状に植える際、植物と植物との間を株間と呼びます。
株分け(かぶわけ)育て方
宿根草や花木の株を分割してふやす方法。生長をはじめる直前の早春、または、生育のとまった秋に行います。
花柄(かへい)植物
花梗(かこう)ともいう。最上位の葉から花床(かしょう)までの茎の部分のこと。園芸的に花首ということもあります。葉えきから直接花が出ている時には、葉えきから花床までを指します。花序をなしている場合に、個々の小さい花と花序軸をつなぐ茎の部分を小花柄と呼びます。
花房(かぼう)植物
房状になった花の集まりで、単頂花序(たんちょうかじょ)に対し総状花序(そうじょうかじょ)、散房花序(さんぼうかじょ)などの花序全体を指します。
花木(かぼく)植物
狭義には、樹木のなかで特に花が美しく観賞価値の高い樹種をさしますが、広い意味ではピラカンサなど美しい実をつけるものや、紅葉の美しいものなども含めた観賞用の樹木を総称した言葉です。
カリ(K)肥料
働き:植物全体の健康維持に欠かせない成分。花、実、球根を太らせ、寒暑に対する抵抗力を養います。
過多の場合:病虫害に対する抵抗力が弱まり、暑さ寒さの環境に対する対抗力が低下します。
欠乏の場合:カルシウム、マグネシウムの成分吸収を悪くします。葉・茎が弱ります。
過多の場合:病虫害に対する抵抗力が弱まり、暑さ寒さの環境に対する対抗力が低下します。
欠乏の場合:カルシウム、マグネシウムの成分吸収を悪くします。葉・茎が弱ります。
花葉(かよう)植物
花は、葉が変形したものの集合体とされています。したがって、その花を構成する器官である雌しべ、雄しべ、花弁、がく片は、特殊な葉と考えられ、これらを総称して花葉と呼びます。花葉のうち、生殖細胞を形成する器官である雄しべと雌しべを実花葉(じつかよう)、生殖細胞を形成しない花弁やがくを裸花葉(らかよう)と呼びます。また上に挙げた4種の器官の他に、雄しべが変形した仮雄蕊(かゆうずい)や蜜腺などの器官も含めて花葉と呼ぶこともあります。
花容(かよう)植物
花の咲いている様。人間に例えれば、容姿に相当します。
花蕾(からい)植物
花芽のこと。花葉(がく片、花弁、雄しべ、心皮(しんぴ))をもち、展開すれば花になる芽を花芽といい、明らかに花になることがわかるときには花らいといいます。
緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)肥料
固形タイプの化成肥料の表面に樹脂加工を施すなどして、成分が一度に溶け出さないようにしたもの。少しずつ溶け出すので、長期間に渡って肥料効果が持続します。効き方がゆるやかですので、根焼けを起こす心配が少なく、使いやすいものです。元肥にも追肥にも用いられます。
観賞園芸(かんしょうえんげい)その他
園芸の一分野で、観賞植物(花き)を従来の生産、育種などを意味する花き園芸の対象作物としてではなく、より広義に“人間や社会に対する機能、役割を持つものとして考えよう”という動きが米国で強まり、この語が作られ、普及しつつあります。この語は次の三つの領域を含みます。(1)観賞植物の生産販売を対象とする花き園芸(2)造園樹や芝生、花壇等の苗生産(3)造園(4)花き装飾。
管状花(かんじょうか)植物
管状の花冠をもつ花。キク科の植物などの、頭状花序の中心部にあることが多い。筒状花ともいいます。
灌水(かんすい)育て方
水やりのこと。生産畑や施設園芸ではホース灌水、パイプ灌水、底面灌水、点滴灌水など、いろいろな方法がとられますが、家庭園芸ではジョウロを用いることが多いようです。
観葉植物(かんようしょくぶつ)植物
葉を鑑賞する植物の総称。一般に熱帯、亜熱帯原産の植物を指します。
寒冷地(かんれいち)育て方
冬季の平均気温が全国平均よりかなり下回る地域。熱帯、亜熱帯の植物はもちろん、温帯のものでも戸外に置くと死滅することが多いです。北海道や東北地方をはじめ、信州や九州の高地も寒冷地として扱います。
気孔(きこう)植物
表皮組織の一部の細胞が気孔の孔辺(こうへん)細胞に分化してできた孔(あな)で、植物体内と外界との間の気体の交換をする役目をもちます。気孔は茎にもあるが、葉、特に葉の裏側に多く見られます。
気根(きこん)植物
茎の地上部に発生し、空気中に出る根を総称したもの。着生植物の根も気根と呼び、その気根はその機能によって、樹木など他のものに付着する付着根、植物体を支持する支柱根、水や栄養を吸収する吸収根などに分けられます。
キッチンガーデン(きっちんがーでん)植栽
野菜やハーブなど収穫を目的とした植物を植えた花壇。花をいっしょに植え、鑑賞しても楽しめます。
切り戻し(きりもどし)育て方
茎や葉を刈りこむこと。一度満開を迎えた植物の枝を切りつめ、再び、満開を迎えさせるようにするなど、草勢の弱った株や、伸びすぎた株、老朽化した株を再生させる目的で行います。このとき、枝に何枚かの葉を必ず残すことが重要。また、このとき、追肥が不可欠です。
客土(きゃくど)用土
庭土や畑の土が栽培に適してない場合、ほかの場所からよい土を運んできて置き換える作業のこと。造成地などでは、庭づくりに先立ち、土のよしあしを判断して、ひどくやせた土などの場合は有機質に富んだ土を客土しておくとよいです。
球根(きゅうこん)植物
多年草の一種で、根や茎、葉の一部が肥大して、発芽・生育に必要である養分を貯蔵する仕組みを備えたものを球根、または球根植物といいます。チュウリップやユリなどのように葉の一部が肥大する鱗茎、グラジオラス、クロッカスなどのように茎の基部が肥大する球茎、カンナなどのように根が肥大する塊根などがあります。
休眠(きゅうみん)生長
生育に適していない環境に耐え抜くために、成長を一時的に停止すること。冬に地上部が枯れて、地下部だけが生き続ける宿根草や春植え球根、落葉樹などは低温に適応するために休眠を行います。また、チューリップやスイセンなどは、夏の間、地上部が枯れて休眠状態となるのは、高温と乾燥に適応するためです。タネの休眠は、発芽後の環境が整うのを待つための準備です。低温や光、水などの一定の条件が満たされると、それが刺激となり、休眠から目覚めて発芽をします。この性質を利用して休眠状態から目覚めさせることを「休眠打破」といいます。
牛ふん(ぎゅうふん)肥料
牛ふんの場合は鶏ふんと違って、肥料成分が一般の堆肥並みに少なく、繊維質に富んでいるため、肥料ではなく堆肥として扱います。花壇や畑土の土壌改良材として利用。
菌核病(きんかくびょう)病害虫
発生時期:3~6、9~11月
被害症状:主に地際の茎に発生する。茎に付いた落下花弁に水浸状の病斑ができ、白い綿状のカビが生じて腐敗する。後に茎の内外に菌核ができる。
発生しやすい条件:20℃前後の多湿な環境で発生する。病原菌は土壌中で越冬し、伝染源となる。
防除方法:薬剤散布
被害症状:主に地際の茎に発生する。茎に付いた落下花弁に水浸状の病斑ができ、白い綿状のカビが生じて腐敗する。後に茎の内外に菌核ができる。
発生しやすい条件:20℃前後の多湿な環境で発生する。病原菌は土壌中で越冬し、伝染源となる。
防除方法:薬剤散布
グラウンドカバー(ぐらうんどかばー)植物
正式にはグラウンドカバー・プラントといい、土がむき出しになっている地面やのり面を緑で低く覆う植物のことをいう。地表の侵食や流失、飛砂などを防ぐ効果が高く、各種のシバを用いる芝生はその代表的なものですが、近年は宿根草など多くの種類が利用されるようになり、都市緑化や庭園の景観づくりに効果を上げています。
グリーンアドバイザー(ぐり-んあどばいざー)その他
近年、日本では花と緑への関心が高まりつつありますが、家庭園芸全般にわたって幅広く指導、助言が出来る者を養成するため、(社)日本家庭園芸普及協会が1992年に設定した制度。講習および試験により認定されます。
グリーンサム(ぐりーんさむ)その他
アマチュアで園芸が非常に上手な人のこと、または園芸の才能のこと。イギリスではグリーンフィンガーという。フランスのモーリス・ドリュオンが書いた児童書「みどりのゆび」は、主人公のチトという少年が「みどりのおやゆび」をもっており、その親指に触れるとすべての種が瞬く間に成長して花をつけるという話(安東次男訳、岩波少年文庫刊)です。
黒土(くろつち)用土
黒色で腐植の多い火山灰土。リン酸固定力は強いが、養分保持容量は比較的大きい。通気や透水性が良好で、軽くて扱いやすいです。ピートモス、腐葉等有機物と混ぜて鉢物用土として用いられます。
形質(けいしつ)植物
ある栽培環境下での遺伝子の発現によって示す形態的特性および性質を意味します。アサガオの赤花と青花のように、明らかに両者が区別できる質的形質と、切り花の長さや収穫量のような連続した変異を示す量的形質の二つに分けられます。質的形質は環境の影響をほとんど受けずに、作用力の大きい少数の遺伝子(主働遺伝子)が関与し、量的形質は環境の影響を受けやすく、作用力の小さい多くの遺伝子(微動遺伝子)が関与します。
形成層(けいせいそう)植物
茎や根の肥大成長のもととなる分裂組織をいう。維管束の木部と師部の間にあって、内側に木部、外側に師部の細胞を作ります。形成層は裸子植物と双子葉植物にあって、一部の例外を除きシダ植物と単子植物には存在しません。また形成層は、非常に活発に細胞分裂をするため、接ぎ木をする時に台木と穂木の形成層の面を合わせることによって活着効率がよくなります。
茎節(けいせつ)植物
葉状茎ともいう。茎が平たくなり、葉の機能をもったもので、節で区切られ、カニの足のように見えるもの。代表的な例はシャコバサボテン。区切られた一つ一つを茎節片と呼び、この茎節片を挿し木することで増殖をすることができます。
化粧鉢(けしょうばち)その他
釉薬をかけて約1,200℃の比較的高温で焼いた陶製または磁製の植木鉢。壁面に色や模様、装飾が施されていることから化粧鉢と呼びます。素焼鉢に比べて硬くて丈夫ではあるが、壁面の通気性、吸水性はなし。
結実(けつじつ)生長
開花した花が受精をして、実を結ぶこと。
限界温度(げんかいおんど)生長
成長や分化など植物の発育過程に影響を与える、上限または下限の温度。例えば、ある温度以下、またはある温度以上で成長が著しく遅れる場合は、これを成長の限界温度といいます。限界温度からさらに外れた温度では障害をおこします。死に至ることもあり、これは致死温度といいます。
限界日長(げんかいにっちょう)生長
質的短日植物において、これ以上日長が長くなると花芽分化をおこさなくなるような日長、または質的長日植物において、これ以上日長が短くなると花芽分化をおこさなくなるような日長のこと。気温によって変化する場合が多いが、量的短日植物や量的長日植物、およびどのような日長においても、花芽分化をおこす植物(中性植物)においては、限界日長はみられるかどうか明らかではありません。
原産地(げんさんち)植物
ある植物の発祥地。バビロフ(N.I.Vavilov)は、一つの種について、互いに似かよった変異種が多く存在し、全体としては変異の幅が大きい地域が原産地であると定義。人為的な保護を受けずにその種が自力で増殖し、生活し続けている地域を自生地と呼ぶが、現在の自生地は必ずしも原産地ではありません。自然環境の変動や人為的な作用により植物の分布は常に変化をしており、原産地を決定することは容易ではありません。個々の種がもつ生態的特性(ロゼット、休眠、日長反応、温度反応、吸肥特性など)は、その原産地の環境条件(気温、日長の変化、降水量、土質など)が強く影響しており、原産地を知ることは栽培上の問題を解決するのに大いに助けになっています。
原種(げんしゅ)植物
新品種の元種子から増殖した純正種子が原々種で、原々種を増殖させたものが原種。原種は原々種の形質を正しく伝えなければならないので、他の系統との交雑を防ぐために、隔離栽培をされたものです。販売種子は原種をもう一度増殖させたものです。
光合成(こうごうせい)生長
植物が光を利用して二酸化炭素と水から糖を合成し、酸素を放出する作用。
交互照明(こうごしょうめい)育て方
2~3日電照をして、一日休むキクなどの電照栽培の方法。省エネルギーを目的に行われています。
交雑育種(こうざついくしゅ)育て方
交雑(交配)によって品種を育成する方法のこと。目的とする形質が既存の品種に見出されない時、目的とする二つの品種(または系統)を交雑して雑種を得ます。これを数代にわたり繰り返すと、その間に染色体の組み換えや交叉が生じて、遺伝子の組み替えが行われます。新たな遺伝子の組み合わせによって新しい変異が生じるため、この中から目的とする変異個体を選抜。さらに遺伝子の組み替えによって生じた優良な変異を固定する必要があります。
硬実種子(こうじつしゅし)植物
胚をおおう種皮が不透水性で吸水しにくい種子のこと。ボタン、アサガオ、カンナ、スイートピーなどは硬実種子であり、そのままでは吸水しにくいため、温湯につけたり、硫酸や小刀で種皮を傷つける処理を施した後に、は種します。
光周性(こうしゅうせい)植物
一日における明暗期の割合や、日長に対して植物が反応する性質。特に花芽分化の誘起は、その植物の光周性によることが多く、これを利用して花き類では収穫時期を調節することが可能です。光を感知する器官は葉であり、生理的作用については、フォトクローム説や内生リズム説などにより説明をされていますが、まだ明らかにされているとはいえません。
広葉樹(こうようじゅ)植物
針葉樹の対語で、幅広の葉(広葉)をつける樹木。濶葉樹ともいう。実際には被子植物中の双子葉類の総称として用いられています。イチョウやヤシ類、タケ類は広葉をもっているが広葉樹とは呼びません。常緑樹と落葉樹があり、北半球の熱帯から温帯にかけて多く分布します。
高冷地(こうれいち)育て方
標高が比較的高く、高地気候の特徴を有する地域。すなわち低地と比較して、低温、雲や霧の発生が多い、雨量が多いなどの特徴があります。気候の特徴を活用して促成栽培や抑制栽培に利用されています。なお高度の増加に伴う気温の低減率は標準大気において1km当たり6,5℃です。
黒斑病(こくはんびょう)病害虫
発生時期:5~7、9~10月
被害症状:葉に糸状菌が寄生して小さな斑点ができ、次第に不整形の病班に拡大する。下葉から黄ばんで枯れあがる。
発生しやすい条件:発病適温は24~28℃位。越冬し、風雨により土壌から胞子がはね上げられ感染する。
防除方法:薬剤散布
被害症状:葉に糸状菌が寄生して小さな斑点ができ、次第に不整形の病班に拡大する。下葉から黄ばんで枯れあがる。
発生しやすい条件:発病適温は24~28℃位。越冬し、風雨により土壌から胞子がはね上げられ感染する。
防除方法:薬剤散布
固形肥料(こけいひりょう)肥料
肥料に泥炭を加えて混ぜ合わせ、造粒あるいは形成したもので、窒素、リン酸、カリのいずれか2種類以上の成分を含有する肥料。肥料が泥炭に吸着されているので、肥料効果が長く持続します。
腰水(こしみず)育て方
鉢などの容器栽培で、鉢土の上から与える水やりではなく、浅い容器に入れた水に鉢ごと浸すなどして、底部から吸水させる水やりのことを意味します。底面給水または底面灌水ともいいます。
越水(こしみず)育て方
鉢物などで、鉢の高さの中間点ぐらいまでを水につけること。コンクリートの枠の中に鉢を並べ、枠の中に水をためて鉢土に水を与えて、一定時間後に排出する方法。かん水の省力化や微細種子を播いた時のかん水法として利用されます。
骨粉(こっぷん)肥料
動物の骨を粉砕したもの。概して窒素の含有率は低いですが、効果は一般的な有機質肥料並み。またリン酸の含有率は高いですが、く溶性(弱酸えとける性質)の割合が多く、遅効きです。なお、細かく粉砕したものの方が、肥料効果が高いです。
根冠(こんかん)植物
根の最も先端に位置する組織で、細胞分裂の盛んな頂端分裂組織(成長点)を保護するヘルメットのような役割をもちます。
根茎(こんけい)植物
茎の特殊な形態を指し、地中にある茎が全体的に肥大し、地中また地表面をはうようにして伸びていくもの。球根類の一形態である。地上部が枯死(こし)しても地中で越冬して、翌年に新芽や新根を出して繁殖します。ジャーマンアイリス、カンナ、ジンジャー、タケ、ハスなどに見られます。
コンサバトリー(こんさばとりー)その他
非耐寒性の観賞植物、あるいは他の植物を保護収容するための温室。ただし現在では、温室で生産された花き類を、その開花時に温室から移して展示するための観賞用温室を指します。
混植(こんしょく)植栽
花壇やコンテナなどに2種類以上の植物を混ぜて植え込むこと。単一種類の植物を1株または何株か植え込むことは単植といます。
根出葉(こんしゅつよう)植物
例えば、タンポポやオオバコの葉のように、いかにも根から出て地表に重なるように展開している(ロゼット状の)葉のこと。また地際から生じていることから、根生葉(こんせいよう)という場合もあります。
コンテナ(こんてな)その他
植物を栽培する容器の総称で、最近使われるようになった呼び方。ハンギングバスケットもコンテナの一種です。
コンテナ栽培(こんてなさいばい)植栽
植物を栽培する容器には、植木鉢(ポット)の他に木箱、プランター、金属缶などがあり、これらを総称してコンテナと呼びます。これらを用いた栽培をコンテナ栽培といい、植木鉢栽培の場合はポット栽培として別に扱われることが多いです。コンテナ栽培は元来観賞樹を大量生産する技術として普及してきましたが、球根切り花の生産場面においても普及しつつあります。コンテナを移動させることによって施設の稼働率を高める利点があります。
根毛(こんもう)植物
根の先端近くに見られる細かい産毛(うぶげ)のような細胞のこと。土壌中の水や養分を吸収する働きをもつ非常に重要な部分です。根の表皮が分化して細長く伸長することによって形成されています。また非常に寿命が短く、根の成長と共に先端部分に次々と新しく形成されるため先端以外の場所では、枯死していくことが普通です。特例として、イネ科のなかには2~3年の長期にわたって生存するものもあります。
根粒(こんりゅう)植物
マメ科の植物の根にリゾビウム属の細菌が感染し、活発な細胞分裂がおこることによってできる粒状の塊。この内部では、リゾビウム菌が植物から栄養をもらい、空気中の窒素を固定して植物の成長に役立っています。このような関係を共生といいます。活発に窒素固定能力を行っている根粒の内部は赤いです。これは、赤色色素(ヘモグロビン)が多く含まれているからです。