Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

テキーラ・マティーニ

サウザ シルバー 3/4
ドライベルモット 1/4
ステア/カクテルグラス
レモンピールを絞りかけ、お好みでオリーブを飾る

テキーラ・マンハッタン

サウザ ゴールド 5/6
スイートベルモット 1/6
アロマティック
ビターズ
1dash
ステア/カクテルグラス
マラスキーノチェリーを飾り、レモンピールを絞りかける

酒は平和の象徴だ

最近、酒っていうのはほんとうに素晴らしいものだとつくづく感じ入る。大袈裟ではなく、平和の象徴だ。まったくもってボーダーレスなんだもの。

移民の国であり世界の酒の大消費地アメリカがそれを示している。ライウイスキーやバーボンウイスキーといったアメリカ産以外の酒の歩みを少しだけ見つめてみよう。

19世紀はビールが大きく伸張する。アイルランドやイギリスからの移民が自家製エールをつくり、東部にはエールハウスなるパブやサルーンが数多く生まれた。19世紀半ば以降にはいまも名高いいくつかのビール・ブランドがドイツ系移民によって誕生した。

20世紀のアメリカはホワイトスピリッツが飛躍する。主役はウオツカ。とくに1970年代からさまざまなカクテルベースに活用されはじめる。一般的にはロシアの酒として知られているが、現在の生産量世界一はアメリカである。しかもロシアの現代の若者たちはウオツカをあまり好まなくなってきているらしい。ウオツカに関してはすでにアメリカの酒といえるだろう。

1990年代後半のこと、マンハッタンの酒場で知り合ったカップルがスタンダードな「マティーニ」をわざわざ「ジン・マティーニ」と呼んでいたのには驚いた。「わたしは、ジン・マティーニはあまり飲まない。マティーニはウオツカ」。カップルの女性のほうがこう言った。

ただし、アメリカでは納得がいく。ジンとベルモットをきちんとステアできないバーテンダーが多いから、ピリピリ、ジンジンした味わいにしばしば出くわす。日本のように繊細な技術に達しているバーテンダーは少ない。だからクセのないウオツカベースに落ち着くのではなかろうか。


さて、ボーダーレスの典型はカクテル。近年、国際情勢がズン、ズンと重たくなってきて、負の連鎖がつづき、これからどんな方向へとすすむのだろうか不安にかられる。でもだ、カクテルを飲みながら、いま何かの問題で微妙な関係にある両国名産の酒のミックスだったりして、これってアレレと気づいて思わず笑っちゃうことがある。

揉めている関係各国の首脳の皆さん、会談前夜に美味しいカクテルを一杯やってから翌日の会議に臨んだらいかがだろうか。飲んで、まあるくなろうよ。みんな仲良くしよう。

この8月、北米自由貿易協定(NAFTA/カナダ・アメリカ・メキシコ)再交渉のニュースが流れた夜に、「テキーラ・マティーニ」「テキーラ・マンハッタン」と2杯つづけて飲んでみた。「マティーニ」はジン、「マンハッタン」はライウイスキーもしくはバーボンウイスキーをベースとするが、あえてメキシコの酒テキーラをベースにしたのだ。

テキーラ サウザでアレンジカクテル

テキーラは「サウザ」がいちばんだ。連載69回のなかでメキシコ・サウザ社の創業者ドン・セノビオ・サウザが1873年、テキーラ村産ブルーアガベを原料に蒸溜した酒をラベルに史上はじめて“テキーラ”と明記して、アメリカでおこなわれた酒類コンペティションに出品したと述べた。これが「サウザ シルバー」。サウザ社とアメリカとの関係はとても長いのである。

この「サウザ シルバー」はホワイトペッパーや柑橘系の爽やかな香りが特長的だ。味わいはスパイシーさと柑橘系の酸味があり、原料のアガベ独特の甘いコクとのバランスがいい。カクテルベースとして味わいに厚み深みを感じさせながらも口中に心地よい切れ味をもたらす。

では「マティーニ」のベースにこのテキーラを使うとどうなるか。レシピはクラシカルな配合の3対1。ドライベルモットの独特の甘酸味とミックスされると、とてもまろやかな味わいでスタンダードなジンベースの「マティーニ」とは随分と印象が異なる。ステアにより個性的な風味のベルモットに包まれ、しなやかな風味である。

一方、「マンハッタン」のベースは「サウザ ゴールド」にする。「サウザ ゴールド」の香りは甘いキャラメルやバニラといった感覚がある。口にすると爽やかなオーク樽の風味とほどよい甘みが重なり合ったなかに、ホワイトペッパーのようなスパイシーさが漂う。

「サウザ ゴールド」とスイートベルモットが出会うと、これもまた柔らかいしなやかな感覚がある。比率は5対1。あえて「サウザ ゴールド」を多めにして独特の甘みのあるベルモットを強いアルコール感で受け入れ、しかも飲み口のいいシルキーな口当たりをもたらす。

いつもの「マティーニ」や「マンハッタン」ではなく、ちょっと気分を変えたい、異なる口中への刺激を求めたい、そんなときは「テキーラ サウザ」で香味を変えてみてはいかがだろうか。優しい穏やかなこころ持ちになり、スタンダードのジンベース「マティーニ」、ウイスキーベース「マンハッタン」を再び新鮮な気持ちで飲んでみようと思えるだろう。

アレンジカクテルを堪能する面白さはここにある。それになんたって酒の世界に国境はない。

「テキーラ サウザ」には、他にスタイリッシュでとってもピュアな感覚のブルーアガベ100%使用の正統派「サウザ ブルー」、そしてオーク樽3回熟成の情熱のクラフト・テキーラ「サウザ オルニートス ブラックバレル」がある。

下記の関連エッセイをご一読いただき、これらも是非お楽しみいただきたい。

テキーラの歴史や製法に関しての解説はこちら

「スピリッツ入門 テキーラ」

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 川田雅宏
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

ブランドサイト

テキーラ サウザ シルバー
テキーラ サウザ シルバー

テキーラ サウザ ゴールド
テキーラ サウザ ゴールド

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