世界一美しい響きをめざして

大ホール

サントリーホールの設計にあたっては「世界一美しい響き」を基本コンセプトに掲げ、第一線で活躍する指揮者や演奏家はもとより音楽を愛する各界の人々の意見が幅広く取りいれられました。大ホールは、日本では初のヴィンヤード(ぶどう畑)形式。全2006席がぶどうの段々畑状にステージ(太陽)を向いているため、音楽の響きは太陽の光のようにすべての席に降り注ぎます。音響的にも視覚的にも演奏者と聴衆が一体となって互いに臨場感あふれる音楽体験を共有することができる形式です。側壁を三角錐とし、天井は内側に湾曲させ、客席のすみずみに理想的な反射音を伝える構造です。客席はブロック分けされていますが、その側壁も反射壁として有効に活用されています。壁面の内装材にはウイスキーの貯蔵樽に使われるホワイトオーク材を、そして、床や客席の椅子背板にはオーク(楢)材をと、ふんだんに木を使用し、暖かみのある響きを実現。音響的な効果とともに、視覚的にも落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

サントリーホールはそれ自体が素晴らしい楽器(共鳴箱)です。
消え入るようなピアニッシモの美しい響きをホールのすみずみまでに伝えるため、客席配置をヴィンヤード(ぶどう畑)形式とし、床、壁、天井、座席などの形状や材質を入念に検討し、模型を用いたさまざまな音響テストを幾度も繰り返して、理想の姿を追求しました。
目標に掲げた音響特性は、「余裕のある豊かな響き」「重厚な低音に支えられた安定感のある響き」「明瞭で繊細な響き」「立体感のある響き」の4点で、残響時間は満席時、中音域で2.1秒となっています。

オルガン

大ホール正面に位置するオルガンは、ストップ数*74、パイプ総数5,898本を有し、世界でも最大級です。オーストリアの名門リーガー社のマイスターが、ホールの音響特性にふさわしい柔かく暖かみのある響きを求めて、1本1本のパイプ、1つ1つのリードに至るまで手作りで製作し、ホールに据えつけてからも微調整を重ね、完璧な整音を施しました。
このオルガンは、ストップ数が多く、コンサートホールのオルガンとして幅広いレパートリーに対応できます。

* ストップ数:音色を使い分ける機構の数

演奏は、オルガンに組み込まれたメインコンソール(演奏台)の他、ステージの上からリモートコンソールを用いて行うこともできます。
左側がメインコンソール。4段の手鍵盤と足鍵盤を備えています。手鍵盤の左右にある丸いノブがストップです。オルガンの音楽には、オーケストラなど舞台と一緒に演奏するものもあります。そんな時、オルガニストは舞台に背を向けているのでモニター画面で指揮者を映しています。
右側は、リモートコンソール。これを演奏すると電気信号がオルガンに流れ、写真奥のオルガンから音が出ます。

ステージ

ステージ機構や音調、調光システムには、最新の技術を導入し、あらゆるオーケストラ編成に適したステージを素早く構成できます。ステージの上部にある音響反射板は、高さを調整することで最適な音響効果を得られます。また、ステージのセリは合理的で美しい扇形とし、39分割された各パートを1cm刻みで床面から1mの高さまで上下できます。2017年の改修では、客席・舞台照明のLED化を行いました(一部除く)。

ぶどう柄の座席

客席の椅子はヴィンヤード形式にちなんで、表地はワインレッドのぶどう柄。オーストリアのバックハウゼン社がデザインした1930年代のウィーンで流行した図柄です。椅子幅も広く、座席間も足を伸ばせるゆとりをもたせ、ゆったりと演奏を楽しんでいただけます。また、車椅子をご利用のお客さまにはユニバーサル・デザイン対応の座席もご用意しています。

サントリーホール バックステージツアー

サントリーホールのオルガン演奏を
楽しめるホール見学ツアーです。
ホール施設には様々なこだわりのある
箇所がたくさんあります。
ステージ周辺や楽屋、アーティスト・ラウンジなどのバックステージを、演奏家のようにご覧になりませんか。
ご応募をお待ちしております。

※ニュース&トピックス欄でご案内しています。