リキュール(Liqueur)という呼び名はラテン語のリケファケレ(Liquefacere=溶かす、溶かし込む)、またはリクォル(Liquor=液体)が、フランス風になまったもの。
薬草や果実などの成分が溶け込んだ液体が、リキュールの初期からの姿であったことを物語っている。
では酒としてのリキュールの語が登場する記録として最も古いとされる文献はイタリアにある。
1332年、リクォーリ(Liquóri / Liquóre の複数形)が薬用として輸出されたとの記述が残っているという。
リキュールという名が定着する以前のフランスでは、エリクシル(Elixir)と呼ばれていた、とする文献は多い。だが、それは現在わたしたちがイメージするリキュ-ルとは異なり、薬酒的な意味合いの強いものであっただろうと思われる。
エリクシルとは、アラビア語のアル・イクシル(al-iksir)に由来する錬金術の用語で、卑金属を貴金属に変える触媒となる霊薬を意味した。またこれは数多くの病気を治す力を持っていると考えられていた。西欧中世の修道院では、自家用にいろいろな薬効のある薬(アルコール抽出)をつくっており、これらをエリクシルと名付けていた。
フランスFrance | リキュールLiqueur |
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イタリアItaly | リクォーレLiquóre |
スペインSpain | リコールLicor |
ドイツGermany | リケールLikör |
アメリカAmerica | コーディアルCordial、リキューアLiqueur |
イギリスEngland | コーディアルCordial、リキューアLiqueur |
コーディアルとは心をハツラツとさせ、元気づけるという意味。イギリスではアルコール分の入っていないシロップもコーディアルということが多いので、リキューアといったほうが無難。