いまわたしが気に入っているバーボンのハイボールは、クラフトバーボン「ベイゼルヘイデン」のジンジャーエール割だ。
バーボンとしてはライ麦比率が高い「ベイゼルヘイデン」は、ライウイスキーのスパイシーさとはまたひと味異なる、独特のフレーバーがある。アルコール度数は40%と抑えてあり、極めてスムースな口当たりながら、あと口にハーブティーのような感覚が浮遊する。
これにジンジャーエールをミックスすると他のバーボン・ハイボールにはないコクを生み、紅茶的な風味のある甘みを導き出す。クセになる味わいだ。
日本で現在よく飲まれているドライタイプのジンジャーエールは20世紀はじめに誕生し、1930年代に世界に広まっていったもの。開発したのはカナダ人の薬剤師であった。これもドラッグストア関連の人物である。
さて、19世紀からソーダ水がアメリカの国民的飲料になり、ソーダ・ファウンテンが興隆し、アイスクリーム&ソーダとともにさまざまな味わいの炭酸飲料が開発されていった。では酒とソーダ水のカクテル、ハイボールとの関係はどうだっただろうか。
真偽は定かではないが、目立って取り上げられるとすれば「ジン・フィズ」がある。このカクテルは1888年、ニューオーリンズ『インペリア・キャビネット・サロン』のオーナーだったヘンリー・ラモスがレモンスカッシュにジンを混ぜて誕生したとされている。
それより少し前、1883年にワシントンD.C.のレストランバー『シューメーカー』のバーテンダー、ジョージ・ウィリアムソンが店のオーナー、ジョー・リッキーの協力を得て、「ジン・リッキー」(ジン、ライムジュース、カットライム、氷、ソーダ水)を考案したといわれている。ただし1900年頃の説もあり、考案年は定かではない。
この「ジン・リッキー」、最初はバーボンウイスキーベースであり、「ジョー・リッキー」と呼ばれていた。ところがカクテルが普及していくうちに、いつのまにかジンベースになってしまったといわれている。
ここでのライムだが、「ジョー・リッキー」がつくられた当初は、加糖されたコーディアル・ライムジュースだった可能性もある。