2022年9月14日(水)~11月13日(日)
※各作品の出品期間は、出品作品リスト(PDF) をご参照ください。
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
※会期は変更の場合があります。
※本展では一部の作品に限り撮影可能です。詳細は会場の案内をご覧ください。
※展覧会会場では、章の順番が前後する場合があります。
大阪市立美術館は、日本美術だけでなく、国内屈指の中国美術コレクションを所蔵していることで有名です。
なかでも中国書画は、東洋紡績株式会社(現・東洋紡)の社長を務めた阿部房次郎氏によるコレクションが中心です。室町時代以来、日本人が好んで賞玩してきた中国書画とは一線を画し、いわば本場中国の保守本流を追うような堂々とした書画が目を引きます。中国美術史の王道を行く作品が日本に存在することは奇跡と言っても過言ではありません。
また、関西の実業家・山口謙四郎氏による石造彫刻コレクションも充実しています。石窟内に彫り出されたものではなく、丸彫りの単独像を多く含むことに特徴があり、年代がわかる在銘作品によって中国の彫刻史を通覧できる点でも貴重です。
本章では、阿部コレクションと山口コレクションを中心に、質・量ともに世界に誇る、中国美術コレクションの一端をご堪能ください。
大阪市立美術館は昭和11年の開館以来、関西を中心とする社寺等から貴重な宝物の寄託を数多く受け入れています。昭和24年(1949)に文化財保護法が制定される以前から、地域の文化財の保存と活用を目指した、文化財行政を担う先駆的公立美術館のひとつであったと言えるでしょう。
一方で同館は、社寺寄託品だけでなく、館蔵の仏教美術コレクションも充実しています。その拡充に大きな役割を果たしたのが、大阪で弁護士・政治家として活躍した田万清臣氏と夫人の明子氏の存在です。
本章では田万コレクションを中心に、大阪市立美術館が所蔵する仏教美術の名品をご紹介いたします。田万夫妻は日本・東洋美術にわたる稀代のコレクターであり、かつ篤信の仏教信者でもありました。作品に対する二人の個性的なまなざしと、真摯な信仰心に裏づけされた祈りの世界をご覧ください。
日本美術のなかでも人気の高い中近世美術は、大阪市立美術館コレクションの花形でもあります。「新蔵人物語絵巻」、「化物草子」、「百鬼夜行絵巻」といったユニークな絵巻作品や、「四季花鳥図屏風」、「邸内遊楽図屏風」などの華やかな大画面作品からは、多彩な作品や絵師たちを生み出した、時代の厚みと多様さが見て取れるでしょう。
また、尾形光琳関係資料は、光琳の子・寿市郎が養子先の小西家に伝えた文書や画稿類を集めたもので、同館を代表するコレクションのひとつです。なかでも、光琳の生家であり京都屈指の高級呉服商・雁金屋の各種図案集は、江戸時代初期の流行や、売れっ子デザイナーとして活躍した光琳の資質を余すところなく伝えてくれる貴重な資料です。
本章では、現代人も酔いしれる、魅惑の中近世美術をご堪能ください。
大阪市立美術館の工芸品を代表するのが、1912年に来日したスイス人実業家U.A.カザール(Ugo Alfonso Casal)氏によるコレクションです。近世後期から明治期にかけての漆工品や印籠・根付など約4000件にのぼり、実に同館収蔵品の半数を占めています。
豪華な蒔絵の婚礼調度や、印籠・根付に見る精巧な手わざは、まさに日本が誇るべき工芸の神髄です。近代の日本で、こうした輝かしい技術の評価が遅れていたなか、日本とその文化を愛してやまないカザール氏は積極的に収集を行いました。昭和初期、本来であれば氏のコレクションは神戸港からアメリカへ渡るはずでしたが、太平洋戦争の勃発により大阪の地に留まることとなりました。
本章では、日本に遺された貴重なカザールコレクションを中心に、華麗にして精緻な工芸品の数々をご紹介いたします。趣向を凝らしたこまやかな細工とともに、洒落っ気たっぷりの意匠にもどうぞご注目ください。
大阪市立美術館のコレクション第一号は、日本画家・橋本関雪による「唐犬」です。昭和11年(1936)の落成記念に開催された帝展出品作を買い上げたもので、開館当時における「現代美術」でした。
また、近代日本画の名品がそろう住友コレクションの成り立ちも特筆すべきものです。所蔵品が貧弱であった戦中期、美術館の敷地も提供した住友家が、作家への揮毫料などもすべて負担して展覧会を開き、その出品作品が同館に寄贈されました。
このように大阪市立美術館は、古美術だけでなく近現代美術も収蔵・展示してきたという点で、日本で初めて成立したハイブリッド型の公立美術館と言えるでしょう。このいわば二刀流であることが同館の大きな特徴であり、魅力なのです。
本章では、近代美術の名品をご紹介いたします。今では大家たちの作品も、当時は現役作家による最新作であったことに思いを馳せながらご覧ください。
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