金麦のこだわり
金麦の香味の土台となる麦汁をつくりこむ、“仕込”工程。
もちろん、天然水100%仕込です。
全国に4か所あるサントリーのビール工場の中で最も多く金麦がつくられている〈天然水のビール工場〉群馬・利根川ブルワリーで、金麦のおいしさに日々向き合う金麦醸造家、竹雅亮に仕込のこだわりを聞きました。
“金麦”ブランドでこれまで使用してきた“旨味麦芽”に加え、金麦醸造家が金麦にとって適した麦芽づくりから携わった“国産麦芽”を最適なバランスでブレンドしたのが、“贅沢麦芽”。
この麦芽から、金麦らしい麦のうまみを引き出すために、温度や時間など、仕込工程においてもさまざまなこだわりがあります。
1. 粉砕
麦芽を保管するサイロから金麦に必要な麦芽を運び込み、香味のもととなる成分を引き出すために最適な細かさに粉砕します。
2. 糖化
粉砕した麦芽に温めた天然水を混ぜ、麦芽の成分を抽出します。
麦芽に含まれる酵素の働きによって、でんぷんやたんぱく質を酵母が活き活きと発酵するのに必要な糖やアミノ酸に変換する工程です。
金麦ではこの工程で、「三段階うまみ抽出製法※」を採用しています。
この製法は、三段階の温度帯で温度をキープし、ていねいに麦のうまみを引き出す製法です。
※三段階うまみ抽出製法は金麦のみ用いられている製法です。
3. 濾過
役割を終えた麦の殻などを取り除きます。
4. 煮沸
煮沸釜で約100℃で麦汁を煮沸します。
この工程ではアロマホップとビターホップを添加します。
煮沸開始時のホップ添加では主に苦味を、
煮沸終了時のホップ添加では主に香りを付与します。
どちらも金麦の狙いの苦味・香りになるように、最適なタイミングを
見極めています。
5. 清澄化
煮沸によって生成した熱凝固物とホップ粕などを分離させ、取り除きます。
そして、最適な温度帯まで冷却し、できあがったものが麦汁です。
この後、酵母が添加され、この麦汁を“お酒”へと変えていく発酵工程へと送り出されます。
糖化工程の温度・時間、濾過開始のタイミング、煮沸工程での温度・時間・ホップ投入のタイミングなど、仕込工程にはとてもたくさんの工程条件があります。
麦芽もホップも農産物ですので、いつでもまったく同じ状態というわけではありませんが、金麦としてのおいしさはいつでも保たなければいけません。
どの条件を変更すれば、どんな風に麦汁品質、できあがった金麦の品質に影響するのか。
とてもいい香味ができたときに、どの工程のどんな条件設定のおかげだったのか。
ひとつずつの工程で行うことやそれぞれの条件の意味を理解し、繊細に調整していくことが、金麦醸造家の腕の見せどころですね。
ふだん家で金麦を飲んでいるときも、ついつい製造工場と製造日を確認して、「この金麦はあのとき条件をこう調整したものだ」と考えたりもします。
仕込は、金麦の香味の土台をつくる重要な工程です。
狙いの麦汁ができないと、どれだけ上手く発酵させても狙いの香味にはなりません。
工程の意味、条件、分析値などの情報と出来上がった金麦の品質との紐づけを意識することを、とても大切にしています。
金麦は、4つのビール工場でつくられています。
工場ごとに工程に特性があり、それぞれの工場で金麦にとって最適な温度や時間などの条件を繊細に調整しています。
さらに、月に一度、金麦醸造家をはじめ金麦づくりに携わるメンバーで“金麦会議”を開いています。
この会議では、それぞれの工場でつくられた金麦の味わいとすべての条件を照らしあわせ、細かなところまで議論します。
それぞれの工場で工夫しているポイントなど、金麦がよりおいしくなるためのアイデアを交換し、自工場で実践します。
最近はオンライン会議をフル活用していますので、互いにいっそう丁寧にコミュニケーションを取ることも心掛けています。
こういったことを繰り返しながら、4工場の金麦醸造家たちが力を合わせて、どこでつくられた金麦でもお客様の日々の食卓でおいしく楽しんでいただけるよう、つくり込んでいく。
これが、金麦づくりにおいて私の一番好きなところですね。
それぞれの素材や工程特性などを理解してコントロールし、金麦の味わいにつくりこんでいくことはとても難しい作業ですが、4つの工場から全国においしい金麦をお届けするために、これからも、日々、金麦づくりにこだわっていきます。
今は家で過ごす時間も増えている方が多いかと思いますが、金麦を飲むことが、お客様の日々の小さな幸せにつながると嬉しいです。