金麦のこだわり
金麦には、味わいをさらに追求するために、麦芽づくりからこだわるプロフェッショナルがいます。
それが、サントリーモルティングに所属する兼城賢二。
長年、麦芽に向き合ってきた兼城だからこそこだわる、麦芽への想い、金麦への想いとは?
そもそもアルコールをつくるために必要な糖分は、大麦を発芽させた麦芽に含まれるでんぷんから生まれるのですが、そのために必要な酵素は、大麦の発芽によって大麦自身の中につくられます。
このときの酵素がたんぱく質など様々な成分も複雑に変化させ、その成分がビールの色や味わいの特徴を決めるのです。
つまり、麦のうまみが特長の金麦にとって、麦芽はとても大切なもの。
だから、麦芽づくりには様々なこだわりの工程があります。
1. 大麦の精選
大麦の粒を選り分け大きさを揃えることで、より均一な発芽を行うことができます。
2. 浸麦
大麦を半日かけて水に浸け、一度水を抜いて休ませる。
この工程を何回か繰り返し、時間をかけてゆっくりと発芽に必要な水分を吸水させます。
3. 発芽
細やかに温度と湿度を管理した環境で均一に発芽させ、でんぷんやたんぱく質の分解ぐあいを進めたり抑えたりしながら、狙いの品質の麦芽をつくります。
4. 乾燥
熱風をあてて麦芽を乾燥させることで、酵素反応や成分変化の進行を止め、ビール特有の香りや色の成分をつくります。
金麦は発売以来、うまみに寄与するたんぱく質が多い旨味麦芽を使用してきましたが、この味わいに加えて、もっと進化させようと考えたとき、新たに取り入れたのが、金麦に相応しい麦芽を実現するために自分たちの手で国産麦芽を製麦することでした。
しかし、大麦は農産物なので、天候によっても産地によっても収穫される年によっても、成分や発芽の傾向が異なります。
だから、同じ条件で発芽させても、毎回できあがる麦芽が違うのです。
産地・品種ごとに1年間に何十回も製麦試験を行っても、翌年はまた違うデータが出てきてしまいます。
それでもそんな試験を数年以上くり返し、実績や知見を積み重ねつつ、金麦にふさわしい条件をトライ&エラーで何回も検証したり、金麦醸造家全員でディスカッションしたりしながら、金麦にとって理想の麦芽の設計を行いました。
まるで生徒を育てる先生のように、様々な個性のある大麦たちを、それぞれ理解して、金麦に相応しい麦芽に育て上げるイメージでしょうか。
今までとは違う狙いの品質のものを、きちんと狙い通りにつくることが、麦芽づくりのプロとして、一番の腕の見せ所でしたね。
かなり苦労はありましたが、今までの旨味麦芽による味わいに、自分たちの手で製麦できる国産麦芽が足されることでより厚みが増し、複層的で上質な味わいが完成しました。
それが、新しくなった金麦に使われている「贅沢麦芽」です。
おいしい麦芽って、そのまま食べてもおいしいんです。カリッと香ばしく、お酒のおつまみにもなりますね。
大麦を発芽させる工程で、最初に伸びてくるのは実は根っこで、芽は発芽中の麦の中で育っているんです。
この芽が麦の中で4分の3ぐらい成長している麦芽がビールづくりにとってベストな状態。
だから、発芽中の見えない芽の育ち具合に、いつも思いを巡らせています。
そこまで麦芽づくりにこだわれるのは、今回の新たな取り組みによって、思いもよらない味わいの可能性が見えてきたからです。
みなさんにとって金麦が、一日の終わりの食卓で飲んで、疲れが癒されたり、リフレッシュされたり、明日も頑張ろうと思えるような存在であってほしい。
そして、そんなみなさんの期待をさらに超えるために、製麦の技術を進化させ、もっとおいしい麦芽をつくっていきたいと思います。
旨味麦芽に国産麦芽を一部ブレンドした、ほんとうに贅沢な「贅沢麦芽」の金麦を、ぜひ味わってみてください。