伝統の技と熟成の魔法～イタリアの誇り～
2014年も残りわずか。そして長い間続いてきたこの「チーズとワイン」は、今回で最終回となります。最後を飾るのは、イタリアチーズの王様、「パルミジャーノ レッジャーノ」。ワインのお供に、あらゆるお料理に、あなたの美食健康ライフをより充実させてくれる、ラストに相応しい偉大なチーズです。
名高いこのチーズは、食通を唸らす生ハムやバルサミコ酢を生み出す美食の土地、北イタリアのエミリア ロマーニャ州で作られます。長い名前は、主産地であるパルマ県とレッジョ エミリア県に由来し、厳密には生産地域が細かく指定されています。世界中の人々を虜にする芳醇な香りと凝縮した旨味は、この土地が育む豊な自然環境と、700年以上受け継がれている伝統的製法なくしては作り得ない味です。熟練の職人たちにより手作りされ、今も昔も地元の人々にとってかけがえのない財産であるパルミジャーノ レッジャーノは、*PDO（原産地呼称保護）製品の認証を受け、パルミジャーノ レッジャーノ協会が行う厳重な品質管理の下、チーズの王様に相応しい最高品質を守り続けています。
その全形は一個平均38kgにも及ぶ巨体で、圧倒的な存在感を放ちます。一個作るのに使われるミルクの量はなんと600リットル以上。12ヶ月の熟成の後、一個一個選別作業が行われ、検査に合格すると「パルミジャーノ レッジャーノ」の証である焼印が側面に押されます。この時点でも出荷は出来ますが、基本的にはさらにゆっくりと丁寧に熟成され、合わせて18～24ヶ月熟成したものが主流です。これだけでもチーズとしてはかなりの長期熟成ですが、中には36ヶ月、48ヶ月熟成といった超レアものもあります。パルミジャーノ レッジャーノ独特の風味、食感、香りは、この熟成の間に生まれるのです。
日本では英語訳である「パルメザン」の名で粉チーズとして有名になったように、料理への活用は万能。本物のパルミジャーノ レッジャーノの味わいを楽しむには、塊で購入しておろし金でおろしてみて下さい。思わず深く息をすいたくなる程、台所いっぱいに甘くフルーティーな香りが広がります。茹でたてのパスタにバターを和え、削りたてのパルミジャーノ レッジャーノを散らすだけで最高に美味しい一皿の出来上がり。リゾットやサラダ、スープなどにも、かけるだけでグンとコクを与えてくれます。最後に残った固い皮はスープの出汁になるという、丸ごと楽しめるチーズです。中でも、一番の贅沢は、塊を一口大に砕いて、手でつまんでシンプルにそのままかじること！パルミジャーノ レッジャーノの全てを五感で感じ取ることができます。そして忘れてはいけないのがワイン。一かけらに様々な味わいが凝縮しているこのチーズは、すっきりとした白ワインやコクのある赤ワイン、スパークリングや濃厚なデザートワインなど、あらゆるワインと合わせられる可能性を持った、ワインの最良のお供と言っても過言ではありません。
* PDO
EUが定める農産物の原産地呼称保護制度Protected Designation of Originの略称。イタリア語ではDOP（Denominazione di Origine Protetta）。PDO製品は、その性質が限定産地の原材料、土壌、気候、その他地域の要素に由来し、かつ同地域内で生産、加工されなければならない。
