今回のティスティング会では、ビエンメ社の24ヶ月熟成のパルミジャーノ レッジャーノを試してみました。熟したパイナップルやリンゴ、バターのような香り、表面にはアミノ酸の白い結晶があり、口に含むとジャリジャリと音を立てて、噛む毎に甘味と旨味が広がります。
合うワインとして様々な候補があがった中で、一番のお勧めに選ばれたのは、エミリア ロマーニャ州のお隣、ヴェネト州生まれの「ボッラ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ」です。
1883年創業のボッラ社は、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の舞台になったことでも知られる歴史の町、ヴェローナの近郊にあります。創業当時はまだ素朴な地酒であったソアーヴェという白ワインの品質を磨き世界に紹介。そしてイタリア白ワインの代名詞といわれるまでに育て上げました。現在はヴェネト州を代表する名酒の生産者としてきわめて高い信頼を得ています。
「ヴァルポリチェッラ」は、一般的に軽やかで心地よい赤ワインとして知られていますが、この「アマローネ」は「苦み」という意味をもち、力強いボディの最上級品。収穫後に厳選した房を翌年の2月中旬まで約4ヶ月間陰干しし、半乾燥状態にして糖度が上がったブドウを使います。そのため豊かなタンニン、極めて濃厚な果実味、高いアルコール分、そしてわずかに残る糖分が、深みと艶に結びついており、イタリア最高の赤ワインのひとつとして高品質を誇っています。アマローネは法律で2年間樽熟成する事が義務づけられていますが、ボッラ社のものは最低4年の逸品です。
妖艶な濃い色調。まずはこのワインのドライレーズンや熟したプラムのような華やかな香りにうっとり酔ったら、チーズをひとかじり。口の中でしっとりと砕け、豊かなアロマが鼻に抜けると、甘味が広がります。そしてワインを一口。アマローネのトロリと滑らかな舌触り、しっかりとした果実味とボリューム感が、パルミジャーノ レッジャーノの甘味と結びつき、舌の上のみならず頭から手足の先まで全身にこの味わいが浸透していくような、深い余韻と温かみを醸し出します。食の国イタリアの歴史をも感じさせてくれる、リッチなマリアージュです。
寒い時にふくよかな赤ワインは良いものですが、何かと乾杯する機会が多いこの時期、やはりスパークリングワインは欠かせません。泡を楽しみながらパルミジャーノ レッジャーノをかじる、というのも何とも粋ですよね。試してみたい!というあなた、スペインを代表するカヴァのワイナリー フレシネ社の顔、スタイリッシュなブラックボトルの「フレシネ コルドン ネグロ」をお勧めします。グラスに注ぐときめ細かな泡がシュワシュワと立ち上がり、グリーンがかった淡くピュアな黄色が、キラキラと光ります。レモンやシトラスのようにクリーンでキリッとした酸味のドライな口当たり。爽やかな泡がパルミジャーノ レッジャーノのジャリジャリとした食感と口の中で元気にはじけます。瓶内熟成18ヶ月以上の年月の中で生み出されるワインの旨味と、同じく長期熟成が成すパルミジャーノ レッジャーノの旨味の掛け合いの相乗効果が楽しめます。特にパーティーやアペリティフにお勧めのマリアージュです。1人でプチ贅沢したい時や、あまり多くの量が飲めないという方にも嬉しい200ml、375mlの飲みきりサイズがあるのがまた注目ポイントです。
チーズとワイン、その組み合わせは無限大。好みによって、季節によって、シチュエーションによって、たくさんの可能性を秘めています。どうかこれからも、チーズとワインが、皆様の生活をより豊かなものにしてくれますように・・・