楽園からの贈り物 ~チーズ界のプリンス~
スキーにスケートなど、様々なウィンタースポーツが目白押しのこの季節。家族や友人とワイワイ応援する時はもちろん、テレビの前で一人観戦する時にも、ワイン&チーズがあればそれだけで気分が盛り上がるもの。そこで今回は、ウィンタースポーツ観戦にふさわしい雪国生まれの大型硬質チーズ「ボーフォール ダルパージュ(beaufort d'alpage )」をご紹介致します。
なだらかな曲線を描く特徴的な側面に、力強い味わい。「チーズ界のプリンス」とも称されるほどの美味しさは、フランス東部、アルプスを望むサヴォワ地方で生み出されます。サヴォワ地方というとイメージしづらいかもしれませんが、約20年頃前に話題となった町、アルベールヴィルの在る地域と言えば、ピンと来る方も多いのではないでしょうか。「ボーフォール」の名は、そのアルベールヴィル近くにあるボーフォールタン渓谷に由来します。冬が長く厳しいサヴォワ地方の人々にとって、保存性の高いチーズは雪に閉ざされる間を生き抜く食料として、大切な役割を担ってきました。
「ボーフォール」は、険しい山岳地帯や厳しい気候を逞しく生き抜くことが出来るタリーヌ種、アボンダンス種という2種類の牛の新鮮なミルクから作られ、最低でも5ヶ月間の熟成期間を要します。中でも、夏(5~9月)の放牧期間に作られるものは、「エテ(été 夏)」と呼ばれ価値が高まります。「エテ」の中でも標高1500m以上の高地牧草地で過ごす牛のミルクをシャレー(chalet山小屋)で1日2回搾乳し、その後すぐに手作りされるものは「アルパージュ(alpage 夏期山岳高地放牧地)」と名乗る事が出来、最高級とされます。つまり、これが「ボーフォール ダルパージュ(beaufort d'alpage )」です。
青く澄んだ空、清々しい空気、多様な高山植物群とその花々が咲き誇る放牧地「アルパージュ」、そこはまさに牛たちの楽園です。壮大な山々をたくましく踏みしめ、自生する草花を気ままに食し、のんびりと反芻する。こんな環境で育まれた牛のミルクから、丹誠込めて作り上げられたチーズ「ボーフォール ダルパージュ」は、大自然のエネルギーと人間の巧みな技の結晶です。夏に作られたチーズは、翌々年の秋~冬になると熟成を経て深みを増し最高の食べ頃を迎え、期間限定で販売されます。しなやかな舌ざわり、どことなく味噌を思わせる甘くスモーキーな複雑味のある芳香、力強いコクの中に上品さを兼ね備えています。