チーズとワイン

世界のチーズ事典

世界のチーズから、それに合うワインをお探し頂けます。

ガローチャ

Garrotxa

2013年08月

ナイフを入れて現れるのは、しっとりとしたオフホワイトの生地。外見の印象よりもフレッシュ感がある味わいは、ヨーグルトのような酸味と山羊乳のほのかな甘みが感じられ、バターミルクのように濃厚です。後味にはヘーゼルナッツを思わせるコクが長く余韻をのこします。フランス産の山羊乳製チーズとはまったく異なるシェーヴルといえるでしょう。

ガローチャ

スペイン カタルーニャ発 とっておきの秘蔵っ子!

ビールに枝豆、海水浴に花火大会。夏は充分満喫したし暑さはもう飽き飽き、なぁんて思っていても、ツクツクボウシの鳴き声が聞こえ始めると、移り行く季節にちょっぴりセンチメンタルになってしまうもの。今回は、残り僅かな夏を存分に楽しむのにぴったりの、シュワっとフルーティーなカヴァと、あらゆるワインを更に美味しくしてくれる、とっておきのチーズをご紹介します。

その名も「ガローチャ」。スペイン カタルーニャ地方ガローチャ村で作られる山羊乳製セミハードチーズです。チーズの名前にもなっているガローチャ村は、ピレネー山脈麓にあり、降雨量が多く様々な動植物が生育する自然豊かな一帯です。山深いこの地方では昔からどの家庭でも山羊乳製チーズが作られていましたが、近代化の流れとともに、昔ながらの農家製チーズは大規模な工場製チーズにシフトし、伝統的なチーズは急速に姿を消しました。そんな中1980年代にアルチザンチーズ(※)のリバイバル運動が活性化。一時は消滅しかけたこの「ガローチャ」も、村の山羊牧畜協同組合の努力により、滅亡の危機から復活を遂げたのです。

このチーズ、まず見た目のインパクトに驚かされます。
「すごい皮だなぁ・・・」
とティスティング会のメンバーから声があがった通り、表皮がモコモコとしたグレーのカビに覆われているのです。雨の多い多湿な土地を思わせるこの自然のカビは、湿った土や独特のキノコのような香りがします。熟成が進むと、時に鮮やかな蛍光イエローのカビが班点状に現れる事があります。地元の人が「ガローチャ」を「花が咲いた外皮」という意味の「ペル フロリダ」と呼ぶのは、そんなカビに由来するのではないでしょうか。「本当に食べられるの?」と心配になるくらい無骨な外観ですが、一度ナイフを入れると中からオフホワイトの生地が姿を現し、ヨーグルトの様な酸味を感じさせる爽やかな香りが立ち始めます。口の中でしっとりと溶け、山羊乳独特のほのかな酸味と甘み、後味にナッツを思わせるコクが長く余韻を残します。
「これ山羊乳なの?!へぇ~見た目とは違って優しくて良い味だねぇ。」
という感想に、その場にいた皆が賛同していました。

※アルチザンチーズ・・・昔ながらの伝統的な製法と職人の技により、少量ずつ丁寧につくられるチーズ。

このチーズに合うワイン

 そもそも今回このチーズを選んだのは、同郷カタルーニャ産のスパークリングワイン「カヴァ」とこのチーズを合わせたら、残暑厳しいこの時期にピッタリの爽快な組み合わせになるのではという期待からでした。よって狙い目のカヴァ2種類、そして赤白ロゼと、様々なワインを合わせていきました。 続きを見る

この記事はフェルミエ監修の元に作成しております。
株式会社フェルミエ 取締役社長:本間るみ子 執筆:犬田ゆり
東京都港区愛宕1‐5‐3 愛宕ASビル
Tel:03‐5776‐7722 Web:www.fermier.co.jp

フェルミエ

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