そもそも今回このチーズを選んだのは、同郷カタルーニャ産のスパークリングワイン「カヴァ」とこのチーズを合わせたら、残暑厳しいこの時期にピッタリの爽快な組み合わせになるのではという期待からでした。よって狙い目のカヴァ2種類、そして赤白ロゼと、様々なワインを合わせていきました。
各自しばしのティスティングタイムによる沈黙の後、あるメンバーの
「・・・これ、合わないワインはないですよね?」
という一言に、私は思わずウンウンと頷いてしまいました。
「確かに、どのワインともそれぞれいい。すごいチーズです。困りましたねぇ。」
と、おすすめワインを2つに絞りきれないという結果に。この「ガローチャ」、バランスは取れているものの全体的に控えめで、単体で食べるとインパクトは強くありません。ですが、ワインと合わせると、その特徴に上手く寄り添い、どのワインとも興味深いハーモニーを醸し出してくれるオールマイティーチーズに変身するのです。
中でもとりわけ評価が高かったのが、「フレシネ セミセコ ロゼ」です。高品質と手頃な価格から世界中で愛されているフレシネ。スペイン バルセロナから南西に40km離れたカヴァの故郷サン サドルニ ダ ノイアにあるラ フレシネーダ(トネリコの木という意味)と呼ばれる地に、生涯をカヴァ造りに捧げたペドロ フェラーによって1861年に設立されました。カヴァは、カタルーニャ語で「洞窟」を意味し、1986年スペインのD.O.ワイン(原産地呼称)に認定され、産地とブドウ品種、製造法(瓶内二次発酵製法)が厳しく規定されています。さらにフレシネはブドウの栽培から収穫、醸造、熟成に至るまで全てに独自のこだわりを大切にして、オリジナリティー溢れる様々な味わいを生み出しています。
その中で「フレシネ セミセコ ロゼ」はカタルーニャ地方原産黒ブドウ トレパットを主体に、ガルナッチャをブレンド。深みのある美しいロゼカラーが目を引く華やかなロゼスパークリングです。そのエレガントな外観、フランボワーズやイチゴのような甘い香りは、「ガローチャ」の素朴な田舎娘の様なイメージとは相反すると言えます。しかし口に含むと、チーズのねっとりとした口溶けの上にワインのフレッシュベリーのような酸味が爽やかに広がり、「ガローチャ」の印象がガラリと変わり始めます。熟した果実を思わせる自然の甘みが、チーズの優しいミルクのような味を包み込みます。最後に口の中でシュワシュワッと泡が溶ける時にお互いが1つになって甘みが広がり、後にはアーモンドの様な香ばしさが続きます。「今食べたのは本当にあの地味なガローチャ?」一瞬そう疑ってしまう程、「セミセコ ロゼ」によって大変身を遂げるのです。外観は違ってもこんなにも相性が良いのは、同じグラウンドで育った同郷の仲の良さでしょう。
他にオススメのマリーアジュとして、フランスのスッキリとした辛口白ワイン「ファミーユ カステル シャルドネ」とは、どちらも主張し過ぎない存在で、軽やかな組み合わせ。「もう一口」と次々にワインが進む美味しさで、会話も弾みそうです。
同じシャルドネでも、アメリカ カリフォルニアの「カルロロッシ シャルドネ」は、オークのニュアンスをしっかりと感じ取れ、リンゴや洋梨、シトラスを思わせる香りとフルーティーな味わいが特徴。「ガローチャ」の甘みをぐんと引き出し、「これこれ!美味しいんだよね!!」とやみ付きになってしまいそうな口当たりの良さなので、チーズ&ワイン初心者の方には特におすすめです。
この夏の締めくくりとして、持ち寄りワイン&チーズパーティーなんていかがでしょう?乾杯はもちろん、「フレシネ セミセコ ロゼ」で!白、ロゼ、赤・・・色々なワインと「ガローチャ」を合わせて、あなただけのお気に入りの組み合わせを見つけて下さいね。