日本とフランス、つくり手たちの情熱を感じて
ここ数年、日本でグンと注目度が高まっているコンテ。これを食べてチーズに目覚めたという声も多く聞かれます。本国フランスでは、AOP(※1)チーズの中で断トツの生産量。名実共にフランスの国民的チーズとして愛されています。
生まれはスイス国境沿いのジュラ山脈一帯、フランシュ コンテ地方。1,000年以上も前から地元の人たちの生活を支え続けている大型硬質チーズは、自然豊かなジュラ山地の風土と、コンテへの誇りに溢れるジュラの人たちの生き様そのものと言えます。
もともとは雪で閉ざされる冬季の食料を確保するため、ミルクを保存する方法として作られたのが始まり。その重量なんと1玉約40kg、1つ作るのに約450リットルのミルクが必要です。現在コンテの生産には、約3,000の酪農家、160のチーズ製造所、15の熟成蔵が携わっています。まず酪農家たちは各村のチーズ製造所に毎日絞り立てのミルクを持ち寄ります。そして共同でチーズをつくり、その後専門の熟成士が最低4ヶ月間手間暇かけて熟成させます。数ある製造所や熟成蔵ごとにテロワールの個性があり、さらに職人の妙技の違いもそのままチーズへと映し出されるため、同じものは1つとしてありません。1玉1玉ごとに変化する風味の多様性はまさに、チーズの奥の深さを表しています。
以前は冬の間の食料資源であったため、春~夏に作ったものを半年ほど熟成させ、その冬に食べきってしまうのが普通でした。しかし冬でも食料が手に入るようになった昨今、熟成士たちは18ヶ月以上、24ヶ月以上、時に30ヶ月を超える「長期熟成コンテ」を作り上げるようになりました。時とともに風味が増し、ノワゼット、栗、チョコレートといった芳醇な香りを広げます。そんな「プレミアムコンテ」は、より味わい深く濃厚なものを求める現代人の嗜好と相まって需要が高まり、チーズ商たちは評判の熟成士からこぞって買い付けるようになりました。
※1 AOP:EUが定める「原産地名称保護Appellation d’Origine Protegée」制度の略称。土地に根ざした伝統ある特産品の品質を保証し、その名称を保護する制度。現在、AOPに認定されているフランスチーズは46種。